第一話 

夏の太陽が照らす中、部屋の中でクーラーを効かせながらエロゲーをやっている。


簡単なプロフィールを紹介する。


名前:阿部 次郎

年齢:23

性別:男

職業:サラリーマン

身長:180cm


冴えないサラリーマンの俺は、一人部屋に籠ってエロゲー。


仕方ない。


俺には友達も恋人もいないのだから。


「ホントにクソだなこの主人公」


このエロゲーの主人公は友達もいて彼女も複数いる。


別にそれは構わない。


だが、俺の推しの第三のヒロインである『三咲マリ』がこんな主人公に食い物にされた挙句、悲劇的な末路しか辿らないのが気に入らない。


「マリ~!!俺はお前を救いたい!お前を幸せにしたい!!」


「うるせえぞ!!クソ兄貴!!」


妹から怒られた。


いい大人がゲームのキャラに夢中になっている様は気持ち悪いだろう。


「さっさとリアルの彼女でもつくれよ」


妹が酷い事を言ってくる。


俺は不貞寝をした。


眠りに落ちる直前、俺は呟く。


「俺はお前を救いたい」

「ん?ここ俺の部屋か?」


いや、違う。


ここは俺の部屋じゃない。


アパートの一室だ。


「怖い。何がどうなっている」


とりあえず俺は外に出る。


(俺の住んでいる町じゃない。でもどこか見覚えがある)


歩道を歩いている高校生位の少年にここがどこか尋ねることにした。


「すいません。ちょっと聞きたいことがあるのですが…」


「何でしょうか?」


(!!!こいつ…いや、まさか)


俺は驚愕する。


今、おれが声をかけた奴はエロゲーをやってた主人公に他ならないのだから。




「あの、どうかしました?」


「いや…ここって平安町ですよね」


「はい」



平安町はエロゲーの主人公達が住んでいる町だ。


「光一高校へ行きたいのですが、どこですか?」


光一高校は、言うまでもないだろうが説明すると主人公やヒロイン達が通う学校

だ。


「ああ、それでしたら」


今、説明している主人公の名前は橘ワタル。


異性からとてもモテて友達も多いという俺が嫌いなタイプだ。


何よりこいつのせいで俺が気に入ってる三咲マリがバッドエンドを迎えている。


(けどこいつ、生で見たら結構な美少年だな)


悔しいが容姿は整っている。


中性的で女にも見える。


女にモテる理由が良く分かる。


「ありがとう。場所は分かったよ」


「そうですか、なら良かったです」


俺はその場を離れアパートに戻る。


すると、さっきまでなかった筈の制服がそこにあった。


光一高校の制服だ。



「なるほど良く分かったぜ。つまり俺はエロゲーの世界に転生したわけか」


なら俺のやることは一つだ。


それは三咲マリを救うこと。




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