第一章・召喚、そして異世界魔王との邂逅(4)
牢を出た後、リリスは黙って俺を城の奥深くへと連れて行く。
俺は自分に何が起こるのか、リリスは俺に何をしようとしているのか、全く予想がつかなかった。
後を追うしかない自分の無力さ。
メイと離れ離れになってしまったことへの寂しさ。
リリスの妖しい美しさとその魔力には恐ろしさを感じつつも、俺は彼女の後についていくしかなかった。
俺が連れてこられたのは、怪しげな雰囲気を醸し出す部屋だった。
リリスが指を鳴らすと、部屋の隅にあったランプが一つ一つ灯り、暗かった部屋が一気に明るく照らされる。
その光の中で、部屋の全貌が明らかになり、俺は息をのんだ。
(拷問部屋…?)
壁には謎めいた瓶が並び、その中には色とりどりの液体や不気味な標本が入っている。
部屋の隅には大きなベッドがあり、その隣には囚人を拘束するための十字架がそびえ立っていた。
俺は恐怖で体が硬直していたが、リリスは何事もないかのように微笑んでいた。
そして、彼女は手を使わずに、魔力とテレキネシスを使って俺を動かし始めた。
俺の体は彼女の意のままに浮かび、抵抗することなく十字架の方へと移動していく。
俺は十字架に背中を向けた状態で拘束され、手足がそれぞれの端に固定された。
魔力を使って拘束する様子は、まるで手品のようだったが、俺にとっては楽しいものではない。
目の前に大きな鏡がある
(これが…俺?)
そこに映るのは、麻のズボンとボロボロの皮シャツを纏った、俺自身の姿だった。
髪はボサボサに乱れ、何日も手入れをしていないことがわかる。
鏡に映る俺の顔は、垢で汚れ、日焼けで荒れていた。
それが自分だとは、どうしても信じがたい。
その姿は、かつての自分とはかけ離れているように思える。
以前の自分がどのような生活を送っていたのか、その記憶は曖昧で断片的だが、こんなにも貧相で痩せ細った体つきだとは思えない。
筋肉は衰え、肌は荒れ、全体的に弱々しい印象を与える。まるで長い間、栄養不足と過酷な労働にさらされた人間のようだ。
鏡に映る自分の姿に驚愕している様子を見て、リリスは小さな笑みを浮かべた。
「くくく…」
笑い声は、何かを楽しんでいるかのように、妖しく響く。
俺は、心の中の動揺を抑えながら、リリスを観察した。
彼女は、その存在感で部屋全体を支配しているかのようだ。
大柄でありながらも、肉感的なプロポーションをしており、その曲線美はどこか非現実的であるように感じられた。
黒いレースのベルベットドレス。
彼女の肌にぴったりと密着しており、妖艶な魅力をさらに際立たせている。
レースの縁取りやベルベットの質感が、彼女の魔性を強調している。
リリスのその妖しい美しさに胸が苦しくなる。
禍々しい角でさえ、彼女には似合っていた。
彼女の美しさは、ただの人間を遥かに超えており、それが同時にリリスの危険性を物語っている。
彼女の周りには、見えない力が渦巻いているかのようで、その力に圧倒される。
リリスはゆっくりと俺に近づき、その濃い瞳でじっと俺を見つめた。彼女の目には計算された冷たさが宿っており、その眼差しは俺を貫いていくようだった。
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