第3話 直接頭の中に聞こえる声
え!? なんで? 今のはさっきの光は何?
グレインが「ブレインシェア」と唱えて私が光って……どんな効果があるの?
「成功だ。魔術で使い魔と
『成功だ。魔術で使い魔と
グレインが話している内容と頭の中に直接響いてくる声が一致している。
すごい、直接頭の中に言葉が聞こえる。
『ミャ~コ! 俺の言葉分かるか?』
今度は声に出さずに直接念話のみ。
『わ、分かります。さっきまでよりもずっと意味も詳しく』
「おお! 分かるのか? 子供の頃からずっと夢だった猫ちゃんとお話しすることができるなんて」
今度は声に出してくれる。
声に出す方が会話としてしやすいのか、グレインは声に出すようにしたようだ。
ついでに言うとグレイン……声だけじゃなくてネコ好きの素が出てるから。
でも、私もネコとお話しできるなんて羨ましい……って今はそんな場合じゃない。
『あ、あの……グレイン様。私は
「え!? 別の世界の人間だって?」
驚いたグレインは私の体を両脇に手を差し込むようにして抱き上げる。
私の全身を右に左に動かして全身を眺めた後で、持ち上げて目の高さを合わせてくる。
目が合うのは嬉しいんだけどこの
『はい。今、グレイン様の魔術で私とグレイン様が意識を共有できるようになったからこうやって話せるんですけど、【使い魔】っていうのになったタイミングで私の意識が目覚めたみたいで……』
「えっと、ミヤコって言ったね? ミャーコと音が似ているけど、これは偶然なのか?」
『あ、私の世界では【
「なるほど、こちらとは違う名づけの方法だが、東方にはファミリーネームが先に来る国があると聞いたことがある」
『はい。だから私は人間なんです』
「確かに、俺は今、君と意識を共有してやり取りをした結果、とてもではないがこの世界のネコが考える思考ではないと思える」
グレインが私を抱えたまま部屋の中を歩く。
うろうろと歩き回るのは小説にもあったグレインが考え事をする時の癖。
魔術師としてはガタイの良い彼がうろうろしているとまるでクマさんみたい。
何かこの世界と私の世界の違いを証明できたらいいんだけど……
『この状態で私が美弥呼だと証明できたらいいですか?』
「ああ、できることなら」
『分かりました。ちょっと待っていて下さい』
「ん? どこに行くんだ?」
戸惑うグレインの腕からするっと抜け出すと、私は部屋の中を走ってもう一度机の上にジャンプした。
机の上にはインク壺があって、そこにちょっぴり指先? を浸して爪を出す。
毛先にインクが付いてるのが流れてうまい具合に爪ペンみたいな感じで字が書ける。
ゲームの世界だからか中世っぽい世界観なのにしっかりとした紙があるのが助かる。
真新しい紙に『美弥呼』と漢字で書いて見せる。
『これが私の名前【美弥呼】を私の世界の漢字という文字で書いたものになります』
グレインの目を見て意識を繋げる。
グレインは感心した顔をしている。
「なるほど。こんな文字は見たことがない。これは確かに異世界のものだろう」
『ええ。逆にこっちの文字は見たこともないです……私の世界には類似する文字がないみたいです。でも……実はさっき読めちゃったんですよね』
「え!? 初めて見た文字が読めたのか?」
『えっと……さっき【平民の入学許可】って書類が机の上に置いてありましたよね?』
「すごいな。本当に読めているんだ……ブレインシェアした後なら理解できるがそれ以前から読めていたというのは不思議だな」
『それを言ったらこうやって【念話】できるようになる前からグレイン様の言葉は理解できました』
二人でしばしの沈黙。
「と、とにかくその件は保留しよう。再現性がないから実験や検証の仕様がない……そもそも、今まで誰も気付いていなかったがひょっとすると動物を『使い魔』にする魔術はどこかから持ってきた魂を定着させる魔術だったとか……」
何かブツブツと考察を始めたご主人様を見ながらいろいろと衝撃の展開で疲れてしまった私の意識はフワッと途切れるように暗くなった……
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グレインの魔法でやり取りできるようになりました。
GW中は2話投稿予定です。次回投稿は本日22時になります。
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