第3話 誰とつるんでいるって?

「おい、最近、あいつとしきりにつるんでいるそうじゃないか?お前らしくもないぞ、そんなにあんな奴が気に入ったのか?」

 マリエッタに出会うなり、そんなことを問い詰めたのは、彼女の属するチームのリーダーだった。逞しいガタイともう少しで一応金髪になったかもしれない赤髪を短く刈り込んだ、髭面の男だった。次のチームの仕事の打ち合わせの会合に彼女が、冒険者ギルドの集会場のテーブルに着いた時だった。

「つるんでいる?誰とつるんでいるのよ、私が?ロレンツィオのことなら、たまたま暇だから付き合って、分け前をもらっているだけよ。それと、新入りの実力を確かめたかっただけよ。」

 マリエッタは、いかにも、それだけのことよ、変な詮索しないでよね、と不機嫌そうな顔で言った。

「その割には、仲良く酒を酌み交わしていたそうじゃない?」

 その声は、リーダーの隣の席からだった。そこには、ロレンツィオの連れの聖槍使いの女が座っていた。"なんであんたがいるのよ、そこに。"と思ったマリエッタだが、

「私のおかげで仕事がうまくいったから、そのお礼を受けただけよ。他にある?」

とつまらなそうな顔をして答えるマリエッタ。それに納得してないという感じの女を彼は制して、

「まあ、お前が色恋沙汰なんか…しかもあんな男に…はあるはずないからな。」

 この話は、これで終わり、という顔のリーダーだった。“ふん。あんたが、どこかに行っているから、悪いんじゃない?”しばらくすると他のメンバーも来た。ロレンツィオが来ると、女は何食わぬ顔で彼の椅子の隣に座った、すかさず。“フン。鼻の下を伸ばして…。”


 ハイエルフの下級とは言えない貴族の娘であるマリエッタが、冒険者として、「明日の宝石」チームに入って3年以上になる、ピチピチの22歳になったばかりのハイエルフの女性が、マリエッタだった。ハイエルフだけに、精霊魔法、弓矢の腕は優れていたが、彼女の場合は剣も槍も、はては格闘技までも、その腕はかなりなものだった。既に、「明日の宝石」に勧誘された時には、「ハイエルフの若き剣聖」と呼ばれて名が知られていたほどだった。ハイエルフとしてはかなりの長身で、人間から見ても女性としては長身の部類にはいっているが、見事な長い銀髪を伸ばし、胸も大きく、尻も形よく、ほどほどに大きく、ウェストもしっかりくびれ、肌も輝くほどに滑らかな・・・ハイエルフの美人そのものだった。気品があり、勝気そうで、理知的だが、どこか可愛いところもある・・・当然男好きする女だった。色気だって感じる。だが、今は全く浮いた話は全くない。それには、一応理由がある。

 単に相手にしない、ということである。笑顔見せはするが、それ以上踏み込もうとすると、嫌よ嫌よも好きのうち、一押せ二押せ三に押せ式に迫ってひどい目にあった例が累々であり、体は清潔に保ってはいるが、肌がきれいでいるためには努力しているが、あまりおしゃれということは興味がないように見えた。健康的な、そそるような太ももを惜しげもなく晒すなど、露出が目立つ装いなのだが、目の保養程度にしか男達は関係をしなくなっていた。


 その彼女が一人、旅にでているのは、家同士で決められた婚約者との結婚が嫌だったかららしいのだが、確かに彼女は言うのだが、その後で、

「婚約者が嫌いだったわけじゃないのよね・・・でも。」

と最後のところの言葉はいつも濁していた。

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