第26話 五人目は魔族で
翌日、何人かの歴戦者と思われる男女が朝から、ケンセキ達の宿を訪れた。
「気持ちは固まったか?今までとは比べ物にならない危険な場所にいくし、あくまでも俺達5人の兵隊に過ぎない。それでいいな?」
面接するように、ケンセキと4人が座る宿の食堂のテーブルの前に整列する彼らは頷いた。
「わかった。悪いようにはしない。10日後には出発する。それまでに、準備しておけ。これは支度金だ。」
ケンセキは金貨を5枚づつ彼ら一人づつに渡した。
そして、数時間後、ケンセキはまた、
「気持ちは固まったか?」
と問うていた。今度は、城塞都市守備隊の本部地下の牢獄の前だった。
「同族を救い、力を得るか?」
暗い牢獄の中にいる女は、頷いた。
「わかった。お前が安全に暮らせるため、奴隷契約をしてもらう。もちろん、奴隷のように扱わない。この4人と同じ、平等だ。俺の妻であり、同士で、戦友だ。」
牢の中には魔族の女が一人いた。
「わかったわ。お前の支援魔法で力を得ること、それで堕ちてもよい。お前に抱かれてもいい。力を得て、あの糞魔王を倒して、同族を救えるのなら・・・そして復讐できるのなら。」
女、魔族の女は先の戦いでケンセキが捕虜にした魔族の女兵士だった。魔王とは異なる部族で、聖騎士崩れと言うべき女だった。
「じゃあ、さっそく出してもらうか。食事は、もうとったのか?」
「ああ、あの糞魔族の兵士でいたころの食事よりかなり良かったわ。」
と彼女は答えた。
「おっと、その前に奴隷契約をしてもらう。」
「私が怖いか?小心ものだな。」
「その小心者に負けた魔族の部隊の生き残りには、言われたくないな。」
「ああ、そのとおりね。どうすればいい?」
「ここから手のひらを合わせろ。」
「わかった。」
二人は、牢の鉄格子を通して手の平を合わせた。互いに言葉を交わした。ケンセキは魔法を展開した。魔族の女は、それを受け入れた。彼女の額には、奴隷紋紋が現れた。
「すまない。彼女を牢からだしてやってくれ。」
看守が牢の鍵を開けた。ゆっくりと彼女は出てきた。人間とよく似た、人間型魔族、長身で赤胴のように輝く髪の赤銅色の胸の大きい、決して巨乳ではない、スタ゜ルのよい、人間の目から見ても、そこそこの美人、上の下くらいには、だった。
「来い。これから準備をするぞ。」
彼女は、彼に黙って従った。気が付くと、彼女の周囲に4人の女がいた。
「彼女達とともに勇者を、俺と一緒に超える。そして、糞魔王を殺す、勇者達が来る前にな。」
「あの魔族女の顔ったらなかったわね。」
コウが含み笑いしながら言ったのは、数日後のことだった。その時、彼女はケンセキと二人っきりで薬種屋にいた。エルフの植物の知識が役に立つからだった。
彼女は、彼に体を擦りつけながら、さもおかしそうな調子で語った。薬草の便や箱を物色しながらも。彼女の微かなエルフの?あるいは彼女自身の臭い、決して不快ではない、が鼻腔をくすぐり、彼女の柔らかい肌の感触が快く伝わってきた、彼に。
「魔族の夜の営みが、単純、大雑把で、荒っぽいらしいな。」
と彼も、少し可笑しそうに答えた。ふふ、と小さく笑い、
「それもあるけど、その前…。魔族の正騎士の誇りとやらも忘れてしまって、呆けた、性に餓えた、淫乱女の顔。あそこまでなるか、って感じ。」
その顔を思いだして、彼女は声を押し殺して、笑った。ここが店主の視線を感じる薬種屋の中でなければ、彼女は大笑いしたろう。
「まあ、お堅い正騎士様には、魔族であっても、初めてのことだったろうからな。それに、俺も無理させてしまったしな、彼女には。」
と彼は苦笑しながら、小さな声で言った。
「失禁してビクビクさせちゃってさ、あれもわざと、あんな風になるようにしたの?この変態。」
少し、ムッとした顔の彼に、さらに自分の体をすり寄せて、
「たまには二人っきりでも…。」
と拗ねたように耳元で彼女は囁いた。それには、彼は逆らえなかったし、言いだしてしまった彼女は撤回も、後戻りもできなかった、体自体が。そのため、薬種屋での用事が済むと、2人は寄り道をした。男女が密会する宿で二人だけの、裸での時間を過ごしたのだ。
「落ちついた?旦那様も私達も、無理させすぎたかもしれないけど、あんたの意志だったし、旦那様もあんたなら、このくらいは可能だと思ってね…。それだけ期待している、愛されていると思いなさい。」
ケンセキ達が借り切っている宿の食堂で、二階から降りて来たが、ニワはまだ少し夢うつつのような魔族の元女正騎士に向かって、イスに座ったままで、少し揶揄うように呼びかけるた。不快そうな表情を見せたが、反論する気力がないという感じで、テーブルの彼女の向かい側のイスに座った。
「あれがあなた方の力の正体?」
「まあ、そうね。あなたも、勇者を多分越えたわ、私達と同様に。でも、それは私達と一緒にいるから、それを忘れないようにね。」
念をさすように言うニワに、可能は、
「分かっているわ。」
と素っ気なく答えた。
昨晩、ケンセキは彼女に支援魔法を目一杯かけた。パワーアップの仕方のこつみたいものが分かりかけてきたからだったし、彼女の地力が高かったこともあって、思いきりかけてみたのである。九分通り、予想の九分通りのパワーアップ、ほぼニワ達が達しているパワーアップ後の魔力、体力に達した。そこまでで、やり過ぎた結果からか、彼女は体を痙攣させて、失禁までして、ぐったりとなってしまった。しばらくして、おきだした彼女は性に餓えた女、そのものだった。彼は、その彼女を、まるで貪るように、彼女も同様だったが、抱いた。彼女は、悲鳴としか言えない喘ぎ声を出して…。さらに、ニワ達四人も参戦し、彼女を弄んだ。6人は互いに彼を介してフィードバックの悪循環を続けて、その夜を過ごした。あまりの快感に完全にぐったりした彼女の脇で、彼と女4人は営みを続けて、朝、次の仕事の準備のため出て行った。ニワは、彼女の様子を見るため、宿に残っていた。
「私達の旦那様に恋した?」
「そ、そんなことは…。」
と言いかけてから、
「お、お前達は如何なんだ?あれのために、恋する、愛するなどできるのか、それでいいのか?」
と詰問するように言った。
「良いんじゃない?なら聞くけど、愛とか恋って何?どういうものかしら?」
ニワの耳には、魔族元女正騎士の反論は聞こえてこなかった。
「なら、恋だ、愛だと思って、一緒にいれば良いんじゃない?」
彼女は、ちいさく頷いた。
「まあ、旦那様に後ろから押さえつけられながら、動けなくなるまでしてもらって、目いっぱい強くなればいいんじゃない?」
ニワの言葉に頷くしかなかった。
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