第25話 魔界への入り口②

「今日は、お楽しみかい?」

「せいぜい頑張ってくれよ。」

「いい声、頼むぜ。」

「子だくさんにのためにね、頑張ってね。」

と声を背に受けて、そこそこ食べ、呑んで去っていくケンセキ達の背に声がかかった。ケンセキは、振り返ることもなく手を振って出ていった。


 彼らは小さな宿屋を借り切って寝起きしていた。

「十日間ほどはゆっくりして、準備をしたりするからな。まあ、体をまず休めろ。それから、お前ら二人は、悪いが一室しか残っていないそうだから、一緒に寝てくれ。荷物はいつものところに置いておけよ。」

とケンセキは命じながら、纏いつく様に寄り添っているソアラ達を連れて、自分達の寝室に入った。

 室内に入るとすぐに4人は、鎧を、衣服を、下着を脱ぎ、裸体になった。それぞれ見せつける様に、ポーズをとった。貪欲に何かを求める姿、表情はこの上なく色っぽく感じた。


 ここにたどり着き三か月以上が過ぎた。冒険者ギルドに登録した時、

「お嬢ちゃん達が来るところじゃないよ。」

「坊やは、ママのおっぱいでもしゃぶっていろよ。」

と悪態を投げかけられたものだ。

 城塞都市がいくつかあるが、その周辺には魔族の一団や魔獣が徘徊していて物資の輸送隊が襲撃されることも多く、周辺の農地、牧場、倉庫が襲われて、必要物資の不足が度々あった。度々、魔族の軍が侵攻し、攻城戦等も行われていた。一つ、城塞都市が、彼らの到着直前に陥落、守備兵も市民も全滅していた。

 そして、ケンセキ達が城塞都市のひとつに入る前に、魔族の一団の襲撃が二回、魔獣、巨大な亀形の陸上ドラゴン、何でも巨大な魔獣をドラゴン呼ばわりする傾向があるが、との遭遇が一回あった。瞬殺だった。

 こういった道を、物資や人の通る街道を守ること、魔獣達を狩ったり、魔族の一団を撃退する仕事は、冒険者達の仕事、確実に狩場に来る獲物のはずだったが、冒険者のチームは現れなかった。数と大きさに怖気づいたのか、同業者だから知らんぷりをしたのか、両方かもしれない。遭遇し、倒した証拠を持ってギルド登録の際提出し、報奨金をもらったのだが、また、その光景を見たチームもあったらしいが、ケンセキ達一行に対する評価は、そこそこ強い女達を戦わせる支援魔法使いのハーレムチーム、間違っているとは言えないが、周囲のチームはその評価を変えることはなかった、なんと彼らの戦いぶりを見ていたチームですら。


「ご、ごめんなさい。た、助けて・・・。あんたの女になるから。」

 ちびりながら命乞いする女聖騎士崩れの姿が直ぐに現実化した。次々に難しい仕事をこなす彼らに義憤?と嫉妬を感じた、比較的大きい古参チームが襲撃を試みたのだ。当然返り討ち、瞬殺だった。

「ブスで、事実が分からない馬鹿女はいらない。」

 それだけ言って簡単に、ケンセキは殺したが、女達は、

「もっと苦しめて殺した方がよかったのに。」

だった。彼女らが、散々悪態をつきまくったからだが、残忍そうな笑みを浮かべていた。そんな自分の女達に、快いものしか感じなくなっていたケンセキだった。


 ソアラ達四人は、一層強く彼を求めるようになり、感染するようにケンセキも彼女らを求めるようになっていた。

 旅に出る頃になって、ケンセキの支援魔法の効果が、少しのあいだ持続することと魔法が効く範囲が広がってきていることが分かった。持続時間も次第に拡大し、それが愛し合う、抱き合うことでより持続時間が長くなることが分かった。さらに、地力もパワーアップと比べると微々だが、次第にレベルアップしているのも分かった。それは、フィードバックするケンセキも同様だった。力を求めて…それはあるが、どちらかというと副作用が大きくなって、さらに互いに体を、愛を求め合う、執拗に、の結果、パワーアップしていき、それが副作用を…、という悪循環を起こしていた、いたようだった。


 女達は、競うように、全裸の体をやはり全裸の彼の体に擦りつけ、貪るように彼の唇を求めた。

「臭うな。」

「帰ってきたばかりで…。」

「汗と泥のせいよ!」

「あと、返り血。」

「湯屋にも行かせないで、裸にしたあなた方が悪い。」

 女達は、喘ぎながら抗議した。

「明日は、まず、5人で湯屋に行こう。でも、この臭いもそそられるよ。」

 お前達なら、と心の中で付け加えたが、

「変態!」

と女達は、ハーモニックした。

“もう、体が勝手に求めて、反応している”は5人の共通した思いだった。


 “全員違う顔、体、抱き心地…。その全てが…。この臭いさえも…。最高に思えている…。本当にいいのか?”と思いながら、彼は動いた。“心も体も勝手に…。彼を求めて、愛しているわ~。”彼女らは思いながら、喘ぎ、腰を動かし、何度も仰け反った。体液と汗の臭いが立ち込める中、女達は力が増してゆくと思いながら、体を痙攣させながら、荒い息をしていた。力の還流を感じるケンセキもまた、荒い息だった。全員満足した表情を浮かべ、"この力を・・・もっと強くなった力で・・・それを使って・・・魔王を倒したという名誉を使って・・・。"と思いながら、呼吸が落ち着くうちに眠りに入っていった。ケンセキは、

「勇者は誰だろうな?こいつらに付き合ってやるか・・・。」

と眠りに入る前に考えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る