第18話 ざまあ、ざまあ、そしてざまあされて
「君がチームを引き継いでくれて嬉しいよ。チームを移ってみて、君が同じチームにいてくれて助かっていたことも、俺が今のチームに入れたのも、君の推薦みたいなものだということが分かって・・・。あの時、君がチームに不満を持って出ていって・・・君の不満をくみとってやれなくて・・・リーダーとして失格だった。こうして、自分達だけうまくやっていて申し訳ないよ。すまなかった。」
ツムジ市の居酒屋兼酒場で、再会したチームの元リーダー、ゲイシの言葉にケンセキは、目が点になるのを必死でこらえた。ニワ以外の女達は、皆ポカーンと口を開けていた。
"リーダー・・・ゲイシ。あいかわらず、たくましく、イケメンだな。今のチームの居心地は・・・それなりの地位を得ているようだな。"目が点になるのを抑えながらも、向かい合っている元リーダーの充実した表情に満足感を感じるケンセキだった。チームの中でのことを問おうとケンセキがした時、
「カンロさんは、まだ、同じチームに?」
ニワが割って入った。
「ああ、そうだよ。今日は、来れなくて残念がっていたよ。て、君は?」
「ケンセキさんと入れ違いに聖女が入ったでしょう?その三代目ですわ。最初の聖女さまより、ずっと、下位ですけど。」
ニワは、皮肉っぽい表情を浮かべた。
「ああ、みんな出て行ってしまったんだ。君は、残ってくれているんだね。」
「彼は、いいリーダーだからね。みんなそう思っているわ。私達4人はね。そうでしょう?」
ようやく回復した二人は、最上の笑顔を浮かべた、つもりだったが。
「そうか、それならよかった。それから・・・。」
立ち上がったマァナッツは、ケンセキに手を差し伸べた。同様に手を差し伸べて手を握った。
「君達の活躍は聞いているよ。でも、自分の本当の力を見失わないようにな。」
少し疑わしそうな、心配しているような、否定的なような表情だった。そして、すぐに、
「カンロにも君が元気だって伝えるよ。喜ぶよ。あ、これは飲んだビール代だ。」
と言って、法外にも金貨を置いて、背を向けて行ってしまった、小柄な女魔導士らしい美人を連れて。ちなみに彼は、ビール一杯、彼女はワイン一杯しか飲んでいなかった。そのすぐ後に、ケンセキは4人から抓られた。
"自信と余裕が感じられるな。カンロさんも、らしいな、そうなら表情にでるからな・・・。あの魔導士の女は恋人?美男美女はうまくいかないものだな・・・。"
「カンロに・・・なんて思っていないでしょうね?」
「あんたは、私達だけの者なんだからね。」
「だめ。」
「私らは一蓮托生。余りはないのよ。」
4人の言葉に何か言おうとしたが、考えたことを口にすることなく、彼女らをまとめて抱きしめるケンセキだった。
「おい。俺を追い出しておいて、なんていう様だ。」
としばらくして、怒鳴りつける髭面がいた。元のチームのメンバーである。
"こりゃ、次々来るわね。みんな、私達のことを聞きつけてきた・・・来るわけね。派手なことの連続だつたものね、このところ。"
二ナはため息をついた。
そもそも4人での旅立ち早々、野盗の群れ、十数人に取り囲まれた。察知はしていた。わざと取り囲まれながら、有利な態勢、場所を確保した。
「ハーレムご一行だよな、ひ弱な支援魔法使いさん。」
大半が女達の相手、残りがケンセキを狙った。ケンセキさえ倒せば後は簡単、彼は女達を使っている、それなしには弱いと考えたらしい。情報がいびつな形で、素早く流れているらしい。
身体強化魔法をかけられる者は目一杯かけ、攻撃魔法を放てる者は支援にまわる。聖剣か魔剣等を持った連中が先頭に立つ。女達に対してはかなり用心している。ケンセキに対しては、一気に3人で突っこんできた。連係は一応していたが、彼の動きを見ると言う感じではなく、また、実力も、この中で、並程度に思われた。魔剣らしきを持ったのが一人いたが、その魔剣?も格が低いものだった。その剣が割れ、火球がぶつけられ、3人はほとんど瞬殺できた。
ニワ以下に挑んだ男女も、倒れるまで大して時間はかからなかった。ちなみに、ニワが一番速く片付けてしまった。聖女だから、戦闘力がないと見て、人数も少なく、油断もしていたらしい。
「手伝ってもらう必要はなかったわよ!」
むくれるソアラに、
「判っていたけど、早く終わらせた方がいいと思ったし…手持ち無沙汰になったから…まあ、多めに見てくれよ。」
ケンセキが彼女の手を握り謝ると、すかさず抱きついてきて、
「後はどうするの?こいつらの仲間は、まだかなりいるんじゃない?」
と耳元で囁いた。
「根拠地に乗りこむのは、リスクがあるから、襲ってくるのを待とうか?」
案の定、仲間の復讐に燃えた頭を先頭に翌々日の夜、夜襲してきた。返り討ち、準備を整えている中に突入、罠にかかって、皆が体を一斉に崩して、無防備になったところに5人が逆に突入。完全に圧倒、後半は残党狩りという様相になった。
当然、最寄りの市で賞金首をさしだして、賞金を得たし、彼らの持ち物を売ったりした。その後は、難度の高い仕事を次々短時間でこなした、最早隠すことはせずにだ。そんなことでチームのランクは上がり、個人は1ランク上がったりだけだが、注目度急上昇中だった。
それを耳にして、思いや目的は異なるが、元のチームメンバーが接触してしてきたのだ。
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