第10話 彼女達と上手くやっているはず・・・②
「もう死ぬかと思った。あなた、凄すぎよ。」
「それはこっちのセリフだよ。」
と二人は荒い息で文句を言いあった。汗もびっしょりだった。それでも、多少息が収まると、彼は彼女を自分の上にして抱きしめた。
「とても良かったよ。」
「私も・・・。お互い、損したね。」
"どういう意味だ?俺は、売春婦代だろうけど・・・。まあ、考えるのも野暮だな。"
その夜は、彼は彼女を掛布団にして、彼女は彼を敷布団にして寝てしまった。
そのコウと比べて、ソウラは、裸になってしまった彼女に見とれている暇もなく、彼も裸にされ、唇を押し付けあい、舌を絡ませあいながらベッドの上で抱き合って、上になり、下になりしていた。
抱き心地という点は、ソウラの方が上だ。胸も尻も弾力がある。コウは形がよいが、柔らかい。抱いていると、蕩けそうになるような感じさえする。どちらがいいというわけではない、どちらもいい。そして、
「こ、殺されるかと思ったわ。」
「それはこっちの方だよ。」
と、やはりベットの上で女上位で抱きしめ合いながら、荒い息を吹きかけながら言いあった、同じように。
"本当に可愛いな。"コウに思ったのと同様ソウラにも感じた。幸せそうな顔で寝息をたて始めた彼女を、味わうように優しく抱きしめると、あらためて気持ちがいいと思った。
"こいつら、こんなに可愛かったっけ?"
彼の頭にちらっと疑惑というかがかすめた。そして、そのうち、コウとソウラ2人まとめてということになり、やはり、
「殺されるかと思った。」
「まじ、死ぬと思ったわ。」
「それは俺の方だよ。」
と息の荒い彼は、やはり息の荒い二人を両脇に抱いてベットに仰向けに寝ていることになったのは、コウと最初の一夜を過ごしてから半月もしなかった。
そして、ニワの妖艶な体を抱き、ソウとセキ、こちらは最初から2人一緒に抱き合うことになって、5人全てと愛しあうことになるまでには、それから1か月もたたなかった。
そして、彼がチームに戻ってもうすぐ6か月になろうとしていた時、仕事が終わり、夜営している最中、少し離れたところで、ソウとセキ、下半身を露わにして、木に手をつき、尻を突き出して、両脚をがくがくさせていた、を後ろから抱きかかえるようにするケンセキの姿があった。やはり、3人の息は荒かった。
「まあ、順風満帆ね。全て」
「その通りだと思うわ。」
「彼に戻ってきてもらってよかったと思っているわ。」
ニワ、ソウラ、コウは、その頃焚火を囲んで、ケンセキ達3人を待っていた。その火もケンセキの生活魔法でつけたものだった。
「セキも、あれだけ文句いってたのに。」
コウは嫉妬よりも、皮肉を少し込めていた。
「彼女はどうして、あんな連中の肩を持つのかわからなかったけどね。」
ニワは苦々しいという表情だった。
彼女は、少し前まで今の状況に不満を口にしていた。ケンセキを皆で助ける、常に味方でいる、励ますことに、
「何で私達がそこまで、彼の面倒を見ないといけないのよ?」
と愚痴ったし、かなり苦戦になった時や彼が判断を誤り、助言しなければならなかった時には、以前のメンバーの名をあげて、彼ならこうならなかったと非難した。彼が一人で仕事を受けてこなすことがあることも、報酬の彼の取り分、全員均等だったが、でも不満を口にしたものだった。
「はあー?あいつらが?ずっとケンセキの方がましよ。まあ、その前に出た奴らのことは知らないけど。」
「同じよ。」
「同感。」
とニワ達が反論すると、
「あの人達は、言葉や態度か荒くても、真心があったわ。」
と言いつのった。
「ふん。真心がなくても、チームの金からの借金を返して欲しかったし、報酬の自分の取り分を多くしないで欲しかったわよ。」
「でも、皆に奢ってくれたし…。」
「チームの金でね。自分の金でやってよね。」
「だって…それは…ニワが…。」
「私のどこが悪いのよ。面倒ごとを任されて、文句ばかり言われてさ。」
「彼…他にも…賭け事にかなり使い込んでいたのよね。女も…。」
ニワとセキのやり取りに、それまでおろおろしていたソウが加わった。彼女の言葉に、セキは黙った。
「私は、今の彼とのパーティーで満足よ。」
「前の方が、今より良かったとは思わないわ。」
「私も同感ね。彼に戻ってきてもらってよかったわ。」
最後にボソッとという感じで、ソウが、
「私も…。」
それ以降、ケンセキへの不満を言いつのることは、セキもなくなった。
二人を両脇に、肩を貸しながらケンセキが帰ってきた。
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