第9話 彼女達と上手くやっているはず…。
コウは、買うものがあると言いながら、ケンセキと腕を組んで、二人だけになると、市場を見てまわっているだけだった。その顔は本当に嬉しそうだった。エルフ特有の長く細く横に伸びた耳と美事な銀髪で少しばかり目立つ存在だったが、それも含めて、ケンセキは心地良かった。
「何か買わないのか?」
「う~ん。あ、あの無花果。二つ買って、一緒に食べる?」
その言葉通りに、二つ買い、食べながら歩く二人だった。
「こうして歩くのは始めてだよね。」
「そうだな。」
「まあ、あんたはカロン達ばっかり見ていたもんね。」
カロン達は、美人だった。湯谷で彼女らと一緒になった時、負けた、と思ったのを覚えている、コウは。
「う~ん…その言葉、そのまんま返してやりたいな。」
明日の宝石は、最終的には22名だったが、そのうち8人は女性だった。平均より多かったが、全員が美人だった。ただ、コウ達4人は、その中で3番手のどんぐりの背比べだった、つまり真ん中あたりだった。カンロ達には、見る度に熱い思い…性欲がかなりあったかもしれないが、こみ上げてきたものだが、手を出せない雰囲気があっというまにできて、どちらかというと、コウ達のグループと話をすることが多かった。その下は…彼女らが他のメンバーを理想とするというかになって、彼とは距離を取ってしまった。じゃあ、コウ達とはというと、彼女らが彼とは話を親しくするだけに留めていたことと、
「男同士がいいよな。」
と言って、何のかんのと邪魔する、牽制するメンバーが何人もいて、彼女らと付き合うなどはできなかった。ちなみに、
「男同士がいいよな。」
と言う連中は女と上手くやっていたのだが…。ケンセキは、チーム内どころか、他のチームの女性との仲まで叱責された。
「でも、あんたは娼館通いしてたじゃない?」
「男のだな…処理は必要で~…。でも、他の連中だって同じじゃないか…いや、確実に俺の何倍も通っていたぞ。あ、それにお前だって、他のチームの連中と…知ってたぞ。」
はじめは目くそ鼻くそを笑うだと笑っていた彼女も、後半まで来て、しまったという顔になった。
照れ笑いで誤魔化しながら、腕を組む力を強めて、
「まあ、それは忘れて…お互い、時間を取り戻しましょう?」
と体をすり寄せるようにした。
「一応、順風満帆だし…な。」
「あなたのおかげだって感謝しているわよ。」
「お前達が助けてくれてるおかげだよ。俺も毎日が楽しいよ。」
「う~ん、私達はたいして…まあ、とにかく、あなたの味方だからね。」
「ああ…時間を取り戻そう。」
「ああ、それから娼館に行きたくなったら、私が面倒見てあげてもいいよ。もったいないものね。」
そう言って見上げる彼女に一瞬、どぎまぎしてしまったケンセキの隙をついて、コウは素早く自分の唇を彼の唇に重ねた、ほんの一瞬だが。
「冗談は言ってないよ。」
と悪戯っぽい目で彼がを見つめた。
その日はそこまでだったコウのことで、ソアラが彼の部屋にやってきたのは、それから2週間もたたない時だった。
「私だって処理してあげるから。」
と言うと、彼の前で服を脱ぎだした。
数日前、依頼された仕事を完了されて、実は二日間わざと帰りを遅らせたのだが、戻ってくるとコウだけは冒険者ギルドへの手続きに同行した。他のメンバーは、直ぐに体を洗いたいと言って、湯屋に向かった。
「え?」
という他の顔を見て、
「だって~、誰か手伝った方がいいじゃんない?」
と言ってついてきた。
「助かったよ。」
「何かやった?」
「誰かついてきてくれるだけでも助かるよ。それに、相談したり確認してくれる奴がいるだけで、安心して交渉も手続きもできるよ。」
「そうなら、うれしいわ。」
と言って腕にまとわりついた。確かに以前は一人でやらされていた、と二人の心の声はハーモニーしていた。そして、彼女は彼の宿までついてきた。いや、彼の部屋までついてきた。
「おい、何のつもりだ?」
部屋にまで入るのを許しておいて、彼は訊ねた。
「だって~。今日あたり、女を買いたくなっているんでしょ?前にも言ったように、私が代わりをしてあげると言ったでしょ?無料だから感謝してよ。」
「おいおい、なおざりにやられても嬉しくないよ。」
「二人で楽しくやりたいの、それじゃ嫌?」
彼女に妖しい笑顔で言われると、彼はゴクリとつばを飲んだ。彼女の顔もほてっているようで、体ももじもじしていた。彼女も、体が熱くなって、どうしようもなくなりかけてきていた。そのままねどちらからともなく、唇を重ね、舌を絡ませあうことになり、涎むをこぼしながら長い接吻がはじまつた。
それが終わると、ベットに互いを押し倒して、服を脱がせあい、ほぼ全裸になると音を立てて抱きついて・・・、くんずほぐれつ、喘ぎ声が・・・となるには、時間はかからなかった。
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