第7話 相性がいいって・・・

 元修道女魔法騎士のソウラは、剣も魔法の発動は速い、それはかなりなものだった。しかし、威力に欠ける。コウは、エルフだけに弓と魔法は得意だし、短剣の腕も自衛以上であるが、魔法は速射性はかなりなものだが威力が不足、詠唱をすればかなりの威力が期待できるが、かなり時間がかかる。詠唱だから時間がかかるという以上だった。聖槍使いのソウの槍術は素早い、こちらも威力に欠ける。聖槍の力も相手のかく乱ができる代わりに、魔法攻撃は弱い。セキは素早いが、一つ一つの技、一打一打が力不足である。つまり、この4人のグループはスピードが命だが、彼女らだけでは決定力が不足なのである。

 だが、4割威力が増せば、彼女らの攻撃でもかなりのダメージを与えることができる。魔獣達がかなり弱ったところで、自分も加えた4人で援護して、コウの詠唱による強力な攻撃魔法で一気にとどめを刺す。それが不足なら、自分の集約した魔法攻撃で・・・。これに聖女ニワの聖結界を加えれば、2~3日で仕事を完了できると、ケンセキは見積もっていた。


「え~と。」

 1日で終わった、いや半日で仕事は完了してしまった。正確には、現地での事前偵察後夜営、翌日から・・・だから、2日、1日半である。どちらにしても、早けくとも3日か4日はかかると思っていたのにである。

「2倍以上だよな・・・?」

 ソウラやソウの剣、槍だけで、魔獣が次々に倒れていく。コウの火球一発で、魔獣の戦闘力が失われてしまう。セキの蹴り一発で魔獣が吹っ飛んだ。ニワの防御結界に体当たりした魔獣がのびてしまった。完全に倒したわけではない、立ち上がろうとする気力や力は残っている、しかし、すぐに襲い掛かってくる状態にはない。

 魔獣が弱いのではない。グリーンウルフ。平原に住む狼型魔獣である。この地方では比較的小規模な群れがいくつも徘徊し、凶暴である。だから、掃討を依頼されたのである。

 

「ニワの加護の力が相乗効果?いや、そういうことはきいていないし、みたことがないな。それにもっと驚いたことに。」

というところまで思っていたところに、横合いから突進してきた別の群れの一匹を彼は、剣に魔法を纏わせた一撃で倒した。いや、真っ二つにしてしまった。

「俺まで強く、かなり、なっているぞ?なんなんだこれは?」

と疑問に震えながら、初めは戸惑っていたものの、次第に調子に乗りすぎて先走る彼女らを追って、しっかりと倒した相手に止めをさし、彼女らの不意を襲おうと背後や死角から迫るグリーンウルフを倒し、

「コウ!危ないじゃないの、私に当たるところだったんじゃない?」

「ごめんなさい。さっきの帳消しにしてあげるから赦してよ。」

「あれとこれとはレべルが違うわよ!」

「取り合えず、降ろしていいか?ソウラ?」

「ごめん。降ろして・・・てか、いつまで私をお姫様抱っこしているのよー!」

「あんたねえ。助けてもらっておいて、その言いぐさはなによ?」

はニワ。

「う・・・ありがとう、ケンセキ。」

 調子に乗ったコウが、火球をあたりかまわず連発したため、その一発がソウラに直撃しかけたのを、ケンセキが助けたのである。そのソウラも、魔法を纏わせた剣の斬撃の衝撃波でコウに放ってしまい、コウはケンセキに助け出されたのである。そういうフォローにも、ケンセキは動き回らなければならなかった。周囲の警戒、撤収時期の見極めも彼が行っていた。

「終わったな。」

 獲物の死体を収納魔法でアイテムボックスに積み込むと、彼らは撤収した。


「一体なんなのよ?」

「まあ・・・相性がよかったということだろうな。しかも、お前らの力がフォローバックして俺のところに帰ってきたようだよ。」


 ただ、ケンセキは魔獣が多い地域を抜けたところで、まだ早いが夜営して、明日、ゆっくり帰ろうと提案した。

「え?」

「どうして?」

「早く帰った方がいいんじゃない?」

「このまま帰ろうよ~。」

「ああ、そういうことね。」

 "聖女・・・ニワはさすがに、とにかく、こいつらを束ねていたことだけはあるな。"ケンセキは、小さなため息をついて思った。

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