第11話

そのあと授業が終わり、帰りの時間になった時……


「今日は一緒に帰ろう。話したいことがある。」


と美沙ちゃんから言われた。

なんの話だろう。

そうきこうと思ったけど、美沙ちゃんを巻き込みたくない。そう思った


「わかった」

「あの場所で待ち合わせね」

「わかった」


あの場所とは、私が最初にいじめられた場所……

あの公園の人があまり来ない木がたくさん生えている場所で、

話す時はあそこで話そう。と言われたから学校終わりで話す時は、

あの場所で話すと決めた。


「これから帰りの会を始めます。」


そんなことを考えていたら帰りの会が始まった。

いつも通り由里香ちゃんたちは話している。

先生は困った顔をするけれど、言えないのだろう。



「これで帰りの会を終わりにします。起立、礼。さようなら。」


やっと帰りの会が終わった。

だけどまだ油断はできない。

由里香ちゃんたちに呼び止められないように、すぐに教室を出た。

後ろを振り向いたが、ついてくる様子はなかった。


「よかった……」


そう1人で呟き、あの場所へ向かった。



「やっぱここは涼しいな……」


この場所は木がたくさん生えているから涼しい。

話すのには最適な場所だ。それにベンチもある。

そう思ってた時……


「ごめん! 遅くなって!」


美沙ちゃんが走ってきた。

そんな急がなくてもよかったのに……


「友だちの話が終わらなくてさ……」

「大丈夫だよ」


なんで私に話してくれるんだろう。美沙ちゃんには仲良い友達もいるのに……


「で、本題に入るね。」

「うん。でも何について話すの?」


そうきいた。何を話すのかも言われてないけど美沙ちゃんの真剣な表情からは重要な話だとわかる。


「由里香ちゃんのこのいじめを止める方法について話そうと思う」

「え……? 止める方法なんかあるの? 」

「止めたいとは思わないの? このままでもいい?」


止めたい気持ちはすごいある。けれどそんな方法があるのか……

そう思った。


「ううん、止めたい。けど……そんな方法があるの?」

「うん、この方法しか多分止められない」


どんな方法なんだろう……


「それはね……亜由美ちゃんのお母さんが関わると思う」

「え……?」


私のお母さん? ずっと仕事ばっかの? なんで?


「私さ、佐久間っていう名字どこかで聞いたことがあったの。

結構調べるのが好きでさ、いろんなことを調べていたんだけど、

佐久間 美優。あなたのお母さんの名前でしょ?」


佐久間美優……。お母さんの名前だ……

でもお母さんどうして……


「佐久間 美優。あなたのお母さんはすごい会社の社長さんだよ。」

「え……?」


そんなのお母さんから聞いてない……

なんで……


「で、由里香ちゃんのお母さんよりも上の立場の……」


お母さん……由里香ちゃんのお母さんよりも上の立場?

ていうかすごい会社の社長?え……知らないことだらけなんだけど……


「ほら、これ見て」


美沙ちゃんが見せてくれたスマホの画面には、

小さい頃に見たお母さんの面影が残っている人がいた。

全然変わっていない……


「お母さんだ……全然変わっていない……」

「お母さんと話して今までのことを伝えるの。

そしたらお母さんは手伝ってくれるかもしれない……どうする?亜由美ちゃんは……。この作戦を実行するのか、しないのか……決めるのは亜由美ちゃんだよ」


どうしよう……。でも……由里香ちゃんを止めたいし……

私がずっと我慢していても違う人に被害が出るかもしれない……


「この作戦……実行するよ……」

「よし、じゃあまずはお母さんと連絡を取らないとね……

連絡はできる?」


お母さんとは連絡はできるけど……ほとんど既読がつかないしな……

あ!



「亜由美、私はお仕事へ行かないといけない。もしどうしても連絡したい。そう思ったら電話して。絶対に出るからね……」



思い出した……

お母さん……そういっていた。忘れていた……


「ある」

「じゃあ……今日実行できるね。お母さんに連絡するのは。」

「うん」

「じゃあもうそろそろ帰ろうか。お母さんに連絡できたら私に連絡して。

次のやることも指示するから」


美沙ちゃんはここまでやってくれた……

でも……少しずつわかってきた。

由里香ちゃんを止めたい……そして私みたいな人を増やさない。

そう美沙ちゃんから感じられた。


「うん、わかった」

「じゃあね」

「じゃあね!」


そういい私たちは別れた。

これが、私の楽しい学校生活が始まる第一歩だった


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