15.大阪杯
いよいよ大阪杯、開幕!!
ちょっと古い選曲ですが
ナノ feat. MY FIRST STORY/SAVIOR OF SONGを
ずっと聴いて書き進めていたので、聴きながら読み進めていただくと臨場感出るかなぁと。作者の勝手なおススメですw
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《春のG1大阪杯、順調にゲート入りを終えまして今、スタートしました!
全馬横一線のキレイなスタート。ここからどの馬が先に行くのか!? 》
ゲートが開いて一斉に馬場へ飛び出すと、すぐにゴール前の直線スタンドに集まった観衆の地鳴りのような声援に包まれる。
ここからたったの2分間。
芝コース2000メートルを1週廻って戻って来るまでで『たった一人と一頭の勝者』と『それ以外の敗者』に選り分けられる、特別な2分間だ。
《まず先手を切ったのは今日も行きますサウザントマイルズと
先手を取って和賀さんの馬が飛び出していき、それに前方から競馬を進める各馬が続く。それらの馬を見ながら、後方で足を溜める競馬が持ち味の川原さんの馬やオレの馬は少し離れて追走していた。前方集団に紛れる優馬がチラッとこちらを確認するような動作を取ったが、川原さんの馬がいつ動き出すのかを警戒しているのだろう。
《先行集団からは少し離れて2番人気のファストストーリーは10番手の位置。新進気鋭・川原はここからどんな勝利の物語を描いているのか?それをピッタリマークするように7番ソールスティール、14番ジオウハチマンと続いて3番人気のフォアローゼスと西のレジェンド
観客席の巨大な建物があるゴール前から半周廻って向こう正面に入ると、斜め前からの強い横風を感じる。馬群がまとまって動いているのでそこまで影響は受けないが、これを抜け出して先頭集団に並びかけるとしたら風を突っ切って馬群の外側に回り込まなければ道は無い。それは流石に後方集団に居る誰もが意識しているのか、自分から動き出して進路を切り開いて行こうという者は居ない。
ただ一人を除いては。
先頭を行く和賀さんの馬が第3コーナーのカーブを曲がって後ろ姿が見えなくなるその刹那、川原さんが頭1つ分姿勢を低くして手綱を握りしめようとするのが見えた。それに合わせるように今まで感じていた横風が少しだけ軽くなるような感覚。それと、微かだが、ジオウハチマンが走りながら身震いするような仕草を見せる。
行くなら、ここしかない!
オレも川原さんと同じように……いやそれよりも低く、 たてがみに顔が付くくらいに頭を下げて手綱を出来る限り短く持ち替え、握りしめる。その直後、地面に沈み込むような感覚と、馬がハミを取って意志を持って走り出す絶好の手応え。
ジオウハチマンは他の馬に比べて体重があってどっしりしている分、重心の低い地を這う様な走りを得意としている。そして体勢をより低くした方が風の抵抗を受けずに推進力をフルに活かせる、というのはパドックでの増田調教師のアドバイスと、トレーニングのためロードバイクに乗っていた経験からの閃きだ。
そして予感が正しければ、コーナーを回るタイミングで、これまでの横風が追い風に変わる。
《第3コーナーを過ぎて第4コーナーに廻り切る所で後方集団からはファストストーリーとピッタリくっ付くようにジオウハチマン! 更にはフォアローゼスも来ているぞ! 前を捉えたスリーオクロック、このリードはどうか!?》
先行していた集団がコーナーで膨れて壁になったその外側ギリギリを、川原さんが駆る馬の斜め後ろに陣取って同じペースで駆け上がる。後ろからの強い風が背中を押してくれるような感覚。
行ける! という絶対の確信。
「っせやぁぁぁぁ!!! 」
川原さんが掛け声と共にムチを振るい、もう一段加速して壁を突き破るように馬群を割る。オレもそれに呼応するように馬の動きに合わせて手綱をしごいて加速させた。捕えるべきはあと一頭。
今日の1番人気で、出来るならば負けたくないと願っている馬。このままの勢いで坂を駆けあがる事が出来るのなら、勝てる!!
……そうオレが思えた一瞬後の出来事だった。
スタミナ的にもうこれ以上の加速は無理じゃないか?と思っていた一番人気の馬・スリーオクロックが、横浜騎手がムチを持ち替え一叩きして手綱を押すと、そこからさらに加速しだしたのだ。一体何処にそんな余力を残していたのかと思えるほどの末脚の爆発。
さらに先程まで何の気配も感じなかった馬場の外側後方からとてつもない重圧が迫ってきているのを感じる。
《ここでもうひと伸びスリーオクロック! 川原必死に追うが差せるか!? さらに大外フォアローゼス! さああと100メートルを切った!》
そこでオレは斜め前を行く川原さんの馬と一番人気のスリーオクロックが並ぶのを見ながら、そのスピードから振り落とされるのを感じた。先程までと変わらず目一杯追っているのに僅かずつ、引き剥がされる感じだ。
そしてさっきまで後方に感じていた重圧がオレの真横を貫いて、それが3番人気の滝さんの馬である事が視界の隅に映る僅かな情報から認識できる。
これが、現役トップの人達と馬の力か。
《勝ったのは僅かにスリーオクロック! クビ差、外からフォアローゼス! 半馬身差まで迫りましたがファストストーリーは3着!! やはり最後はこの3強だった!! 大阪杯は現役最強馬スリーオクロック4冠目、下剋上は成りませんでした! 》
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3月最終週・日曜日、阪神競馬場第11レース
G1・大阪杯 芝2000メートル
1着 6番 スリーオクロック 1.58.7
2着 4番 フォアローゼス クビ差
3着 12番 ファストストーリー 1/2馬身
4着 9番 サウザントマイルズ 1馬身
5着 2番 ジオウハチマン アタマ差
いかがでしょうか?レースの緊迫感・臨場感、上手く描けていたかどうかとても気になります。感想・コメントお待ちしております。
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