先輩と後輩の関係

「睦月君。ホームルームも終わったし行こうか」

「なあ鶴見。逃げはしないから腕を組むのはやめてくれないか?」


俺は、最後の英語時間睡魔に勝ったと思った瞬間にすぐに睡魔に負け短いホームルームの間寝ていたようだった。そして起きたら鶴見に拘束されていた。しかし何故だろう。どこから視線を感じる。名状しがたい視線だ、その視線をさっと周りを見渡すと教室の隅にこっちを向いている女子数名が。俺が目を向けるとさっと全員が目を逸らす。間違いない。あの集団は腐っている。漫研だったらすごく厄介だなと思ったが悪い想像はやめておいた。現実になりやすいってよく聞くし。俺は、素直に鶴見に引きずられ演劇部室に向かうのだった。


●●●


演劇部には部室を除いて活動場所として三つの場所が与えられている。一つはホール、二つ目は、大道具や小道具などの作業場、最後は演技などの練習場。優秀な活動実績があるため学校側も大盤振る舞いだ。ちなみに文芸部は、演劇部の脚本のおかげてそれなりには部費がある。演劇部様々だ。まあ、近い道は印刷代と紙に消えて後は余るがな。


「ところでなんで俺は演劇部室に連行されてるの?」

「あれ?言ってないっけ?」


そう言って鶴見がうん?と首を捻るが俺は、寝起きに問答無用で引きずられてきたんだぞ。わかるとしても体育の授業のあれしか聞いてない


「海堂先輩が用があるからとしか聞いてないぞ」

「あー。ごめんごめん。用件はね、前に言っていた脚本志望の子の顔見せなんだよ」

「あーあー」


そう言えばそんな事を前に言われた気がする。


「さて、演劇部に到着」


そう言って鶴見が部室を開けると海堂先輩ともう一人


「久しぶり~睦月ちゃん元気にしてた?」


と俺を睦月ちゃんと呼ぶこの人は演劇部の副部長様の奥菜友里恵先輩だ。身長は俺より少し低い百五十後半で髪はポニーテールだ。大道具、小道具担当を仕切っている。


「ほんとに久しぶりにですね。調子はボチボチと言ったところですかね」

「ふふふ。今年はよかったわね。可愛い子ちゃんが二人きてるわよ」


奥菜先輩心底嬉しそうな顔をしている。ということは新しい脚本志望の子というのは女子か。


「はあ・・。んで鶴見には顔を見せって聞いたんですけど」

「一年は俺らと違って六限まであるらしい。さっきメールが来た」

「そうですか」

「話は変わるがこの時期何やっているか覚えているか?」


この時期?・・・ああ、あれやるのか。


「一年に劇やらせるんですよね?俺も文芸部にはずなのにいきなり脚本書けって言われたからよく覚えてますよ」


文芸部だって聞いたのにそんな側面もあったとは知らなかったからな。先輩たちは俺が入って嬉しかったのか入部仕立てのころはあの有名な人生謳歌ゲームやっていたからな。先輩達凄い弱かったけど。


「そうそれだ。今年もやろうとは思っているんだがいつ頃やろうかと思ってな」

「別に去年と同じ中間テスト前ぐらいでいいんじゃ」

「それだと二週間で締め切りだぞ?それに睦月は暇だし元々書いているからその速さなんだよ」

「さらっと暇人認定やめてもらえます?」


まあ、間違ってはいないから否定できないんだけどさ。


「それでどのぐらいに締め切りにするかいいか聞いておきたいんだよ。役者側としては締め切り後配役含めて二週間で仕上げるつもりだ」

「私達もそれくらいかかるわね」


と言われてもな。確か俺の場合は短かったし話を考えるより脚本の書き方を覚える時間が多かった。それでも早く終わったが・・。二人とも素人でもと考えると右往左往するだろうし。


「余分にとって中間テスト開けてくらいがいいんじゃないですか」

「まあ、遅くてもそれぐらいか」

「進捗状況によって早めるけどね」


俺は、二人の特に奥菜先輩のセリフに反応する。


「あんまりプレッシャーをかけないでくださいよ。筆を折るなんてことになったら同じ書き手としても嫌ですし」


ネット小説をそれなりに長くやってるから、書き手の仲間ができる。その人たちは今も残っている人もいるがリアルが忙しくて顔を出せなくなったとかもある。これならまだましで本気で小説家を目指している人が筆を折る場面も見ている。ネットとはいえそういうのを見てるのは結講辛い。


「分かった。そう言う所は睦月の方が気持ちがわかるからな。」

「そうね。今まで睦月ちゃんがホイホイ書くから忘れてたけど大変な仕事だもんね」


あ。やっと分かってくれました?ホイホイじゃなくて毎回締め切りに間に合わせるために必死にですからね?


「私達は脚本に関してはほとんど何もわからない。もちろん先輩としてもホローはするけど海堂くんも言ったとうり気持ちが一番わかるのは睦月ちゃんだから図々しいかもしれないけど私達の可愛いを見守ってくれない?」

「俺からも頼む」


二人から頭を下げられる。そんな改まって言われると少し背中がむずがゆい。


「できる範囲でやりますよ。俺もあの先輩達には世話になりましたから」


俺は、そう返す。素直に二人ありがとうと言われて少し照れくさくなり強引に話を変える。


「そう言えば思ったんですけど今まで俺が全部やってましたけどどうするんですか」


海堂先輩は強引に話を変えたことに気づいていないが奥菜先輩は気づいているのかニヤニヤと俺を見ている。ええいやかましい。だがこの話も重要なんだよ。前にも言ったとうり演劇部の脚本は俺が書いていた。これが一年が入ることによってどう変わるかで俺の一年がきまる。


「ああ。それか」


この質問がくるのは予想道理だったのかさらっと答える


「大会とかの脚本は睦月に任せようかと。まあ、一年がやりたいと思っているならお前と一年でオーデションみたいなのを考えている。でも経験の為、文化祭とか定期公演では一年に任せることが多くなるから負担は減ると思っていい」

「了解です」


と淡々と答えたが俺は、物凄く嬉しかった。ああ!あの地獄から解放される。


「それじゃあ、私達の話はここまでにしてやっと全員揃ったみたいね」


そう、奥菜先輩が言うといつの間にか全学年が揃っていた。

















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