『庭』に関する覚書

尾八原ジュージ

覚書

 2024年5月3日に完結したホラー長編『庭』ですが、例によってプロットなどもなく、行き当たりばったりで書いていたので、途中で方向転換したり、こっそり公開分を修正したりしていました。


 こちらはそういったことに関する覚書です。なお、大いにネタバレを含みますのでご注意ください。





=======

・連載のたびにつのるヤバさを更新するかと思いきや、今回はそうではなかった。なぜかといえば過去作に接続せねばならなかったため、オチるところがだいたい決まっていたから。

・とはいえヤバいことに変わりはなかった。まず「なんでこんな曰く付きの土地に、火事もあったのにわざわざ住まにゃならんの?」というところをなんとかしないとならなかった。そういうわけで、イヤな家に住まわされる若夫婦が誕生した。

・あくまで『巣』の関連作品なので、それと矛盾が出ないように……ということである程度の方針が決まっていたのが、楽でもあり厳しくもあった。

・二~三万字くらいで収まると思っていた。

・連載開始時、孝太郎については「実家との関係に問題がある」と「家庭内での争いをなるべく避けたがる」という点だけ何となく決まっていた気がする。いつの間にかヤバい人にスライドしていったが、基本的には「揉め事が嫌い。平和に暮らしたい。親しい人以外はわりとどうでもいい」というスタンスで、厄を振りまいたりもしないため、比較的無害ではある。おそらく今後「リスクを冒して排除するに足るほど嫌いな人間が現れる」か「リスクなしで人を消す方法を見つけてしまう」ということがない限りは、孝太郎は新たに人を殺したりせず、温厚で無害なよき社会人、よき夫として生きていくと思われる。よき父になるかどうかはちょっとわからない。

・両親が孝太郎のことを雑に扱っていることは決まっていたので、そういう人が子供の名前に親孝行の「孝」を入れてくるのイヤだな~と思って名前が決まった。

・『巣』の美苗が母性の強い人(と私は思っている)だったので、違う感じの人にしようと思って、桃子が最初の語り手になった。名前が『巣』の「桃花」に似ているのは、何か伏線になるかもしれないと思ったため。なってよかった。

・「離れ=人が自然死としか思えない感じに死ぬ部屋」という話が唐突に出てくるので(『巣』を読んだ方はご存知とはいえ)、もう少し伏線になりそうなイベントを増やしたい。あれこれ手入れする必要があるな……と思っているので、あまりに大きな変更になりそうだったら近況ノート等で告知したい。

・鬼頭雅美に加えて、森宮詠一郎は今回ぜひ出したいと思っていた。出せてよかった。

・たぶん今作の時代においては、志朗貞明は二十歳前後で、まだ一応修行中の身だと思う。よむのはかなりの精度でできるけど、霊的な危機から自分を守ることがまだ上手くないのでは……と思われる。もしも今作で谷名瀬家に近づくことがあったとしたら、何もしないうちに体調を崩して使い物にならなくなったと思う。

・物語を進める上で、もうちょっと人がいるといいな……と思って早和子が出現した。ここまで重要人物になるとは思っていなかった。最終的に厭なところをほぼ全部押し付けてしまった気がする。これといって悪いことはしていないのに……。

・もしかすると早和子もしくは彼女の会社は、小早川まりあ(志朗の弟子。まりちゃん)の父親と関係があったりしないかな? と思っている。まりちゃんパパは内装関係の仕事をしているはずなので……さすがに彼女の会社に勤務してたりは……しないかな……? 面識くらいはあるかもしれない。

・鬼頭雅美は正直もっと出したかったが、出てくるたびにちょっとずつ死にそうになるので温存せざるを得ない。

・本作のラスト、時期的には『みんなこわい話が大すき』で色々あった志朗が入院しているあたりなので、メンテナンスが行き届かず、三輪坂綾子がマンション内をうっかりウロウロしているという設定になっている。


=======



 2024年5月4日現在、こんなところでしょうか? 何かあれば適宜書き足したいと思います。

 本作の連載にお付き合いいただいた皆様、どうもありがとうございました!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『庭』に関する覚書 尾八原ジュージ @zi-yon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る