神獣が聖女になった 〜人間と神獣の世界平和への道〜
菜乃みう
第1章 聖女と媚びの男の子
第1話 聖女誕生
「神獣、エミ・クロックを聖女とする!」
神官たちの発言に、人間はおろか、神獣も驚きを隠せなかった。
わたし、エミ・クロック、薄いピンクのストレートの髪と、濃いピンクの瞳を持ち、治癒の能力を使う神獣。
長い間、神獣と人間は、どちらが優れ、どちらが世界を支配するかで争ってきた。
そんな争いに巻き込まれたくはないから、神獣の里と呼ばれる、神獣の街の都会を抜け出して人間の街に来た。
最初は憎悪の目で見られたけれど、今では皆わたしに優しく接してくれて、同じ人間のように扱ってくれた。
聖女さまも同様だった。わたしを可愛がってくれた。
謎の病で、聖女さまが急死し、聖女さまらしいずば抜けた能力を持った神殿の女性は、わたししかいなかった。だから、わたしが聖女となった。
神殿の前の階段を降りながら、言う。緊張というレベルじゃない。
「こ、こんにちは。神獣で、聖女となりそうなエミと申します。」
大衆のあからさまに顔に出る憎悪や、「お前は場違いだ」と言わんばかりの鋭い視線がグサグサ肌に刺さってくる。
そりゃ場違いなことはわたしだって、いや、わたしが1番分かってるよ!!!
わたしが治癒の能力を持っていなかったら、はたまた、わたしが女の子でなければ、こんなわたしに不釣り合いな聖女さまの座に着くことはなかったのだろうか。
昨日は雨が降ったからか、階段の下には、丸い水溜まりがたくさん作られている。水面にわたしの姿が映り込む。長い薄ピンクのストレートの髪に、真っ白なドレスと、腕に羽衣を掛けた人間の姿が見えた。
いっそこのまま人間として生きたいなぁ。
「なぜこんな間抜け面が聖女さまになるのですか!!しかもよりによって神獣だなんて!!神殿が神獣を飼っているとは!!信じられません!!」
そんな感じのわたしに対する悪口があらゆる方向から聞こえる。悪口のASMRを聞いている気分。
こんなあからさまな悪口を聞くためにここに来た訳では無いんだけどなぁ。
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はじめまして。菜乃みうと申します。暇人です。
第1話、ご覧頂きありがとうございます。
聖女発表された瞬間に神獣も驚いたのは何故でしょうか。答えは神獣もその場に居たからです。スパイ活動とかしてたことにしましょう。
20時くらいに第2話公開予定ですので一目でも見ていってくださいな。
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