四夜目・ガリバー絨毯

…展示場にはあらゆる織物おりものが置かれていた。


 タペストリーに絨毯じゅうたんに着物。

 壁や卓上にと色とりどりに陳列ちんれつされている。


 値札がついているものもあり、エキゾチックながらに関心していると、ふと机の上に広げられた一枚の織物へと目がいった。


 …小さな人びとが動く絨毯。


 小人たちは織物の毛足けあしを農作物としてみているらしく、刈り取っては模様の一部である小屋の中へと入れていく。


 見れば文明が進んだ箇所かしょもあるようで、ビルの合間に小さな車も走っていた。


「こちら、お気に召しましたか?」


 見れば、ひとりの女性店員の姿。

 彼女が絨毯を持ち上げると小人たちは一斉いっせい雪崩落なだれおちてしまった…

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