第25話 徳丸茉莉奈との撮影 1
亀山さんとの撮影を終えた翌週。
徳丸さんとのPV撮影日を迎えた俺は、鮫島さんの車で雪菜とともに撮影現場へ向かっていた。
「徳丸茉莉奈さん。俺と同い年の18歳で子供の頃から女優として活動しており、有名作品が多くあるみたいだね」
「大人気女優だからね。大抵の人は知ってると思うよ」
昨日調べた徳丸さんのことを簡単に口に出す。
「それにしても男嫌いなのは有名だが、嫌いになった理由はわかってないんだな」
男性との共演はNGとまでは口にしてないが、バラエティ番組等でも男性が嫌いであることは公表している。
しかし肝心の理由は全く分からなかった。
「色々な憶測が広まってるみたいだよ。1番有力なのは昔、男関係で何かあったことだね」
「そりゃ何かなかったら嫌いにはならないだろ」
「あははっ。そうだね」
雪菜が笑いながら同意する。
「まぁ、嫌いになった原因は正直何でもいい。問題は俺とコミュニケーションをとってくれるかだ」
「こればかりは会ってみないと分からないね。でも引き受けた以上、最低限のコミュニケーションはするんじゃないかな?」
「だといいが」
最悪の場合、誰かを介してのコミュニケーションとなるが、男性との共演はNGではないようなのでコミュニケーションは問題なくできる気がする。
そんな不安を抱えながら撮影現場に向かった。
撮影現場である温水プールに到着し、建物の中に入る。
「見て、青葉くんよ!」
「やっぱりカッコいいわ!」
「しかも今日は青葉くんの水着姿!」
「写真集でも拝めなかった青葉くんを見れるわ!」
するとすぐに女性スタッフたちの注目の的となる。
「さすがお兄ちゃんだね」
「あはは……やっぱり慣れないな」
そんな感想を抱いていると、鮫島さんが口を開く。
「コチラは完成間近の温水プールです。予定では再来週がオープンとなっております」
そのオープンに合わせてPVを作成しSNSでアップするようだ。
「では更衣室へ向かいましょう。水着に着替えた後、スタッフや監督へ挨拶をする手筈となっております」
どうやら監督たちはすでにプールサイドで撮影準備を始めているらしい。
「分かりました。すぐに着替えてきますね」
俺は近くの男子更衣室へ足を運ぼうとすると「「ガシっ!」」と両肩を掴まれる。
「お兄ちゃん。更衣室に入ったら最初にやらないといけないことがあるのは知ってるよね?」
「……?服を脱ぐ?」
「「はぁ……」」
何故かため息で返事をされる。
「まずはカメラのチェックだよ。お兄ちゃんの着替え姿は世の女性たちが欲しい映像だからね」
「どこに隠しカメラがあるか分かりません。徹底的に探してください」
「わ、分かりました」
2人の圧に押され、首を縦に振る。
(更衣室にカメラを仕掛けるって前世では犯罪なんだけど……)
そんなことを思いつつも探してみると…
「おぉ、出るわ出るわ、カメラたちが」
30台以上のカメラを発見した。
(この世界の女性たちの性欲に脱帽するわ)
そんな感想しか出てこない。
さすがに壊すのは可哀想なので、30台以上のカメラにバスタオルを掛けてから水着に着替える。
そして鏡の前で自分の姿を確認する。
「腹筋割れすぎだろ。体脂肪率、絶対数%しかないわ」
綺麗なシックスパックに加え、鍛えられた腕や背中などが見えており、同性の俺でも魅力的に見える身体だ。
「女性が怖くて襲われた時に対処できるよう、めちゃくちゃ鍛えてたからな。前世の記憶が蘇る前の俺は」
そのため、かなり魅力的な身体をしており、記憶が蘇った後もこの身体を維持しようと頑張っている。
俺は少し髪を整えた後、更衣室を出る。
すると…
「きゃぁぁっ!青葉くんの水着姿っ!」
「嘘でしょ!青葉くん半裸なんだけど!男性の半裸を生で見られるなんて!」
「何あの肉体美っ!完璧すぎるっ!」
「ぐふっ!あ、鼻血が……パタっ……」
半分以上の女性スタッフが大量出血とともに倒れ、それ以外の女性スタッフは俺の水着姿を見て騒いでいる。
「………」
(えぇ、大袈裟な……)
とは思うが、俺も自分自身の肉体はすごいと思っているので何も言えない。
すると「ちょっと、お兄ちゃん!何やってるの!?」と、雪菜が大慌てでやって来た。
「何で上に何も着てないの!?」
「え、だってプールだろ?泳ぐんだから上に何も羽織らなくていいだろ」
「水に濡れてもいい服を渡したでしょ!?」
「あぁ、アレか。要らないと思って更衣室に置いてきた」
なぜか水に濡れても良い上着もバックの中に入っていたが、現在の俺は俺は身につけておらず上半身は裸だ。
「はぁ……」
「青葉さんが上着を何も着ないとは思いませんでした」
少し頬を染めながらやって来た鮫島さんが小言を言う。
「いい!?男の人は裸を見せないの!見せたら女子から襲われるから!」
「普通は何か羽織ってプールを利用します。まぁ、このご時世、男性がプールに来ることなんて滅多にありませんが」
「………なるほど」
言われて納得する。
「俺、やっちゃった?」
「盛大にやっちゃってるね」
大量出血をしながら倒れてる女性スタッフたちを見つつ、そんなことを思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます