第15話 豊村花凛とのCM撮影 3
その後、ストライクが取れるようになった豊村さんと数ゲームを終える。
「豊村さんの上達が凄すぎる……」
さすがアイドルといったところだろう。
運動センスはズバ抜けており、俺のアドバイスを活かしてスコアを伸ばしている。
「青葉さんのおかげです!私、今とっても楽しいです!」
その言葉に嘘はないようで、満面の笑みで豊村さんが言う。
「それなら良かったよ」
アイドルの笑顔には男性を元気させる効果があるようで、自然と笑みをこぼす。
「っ!そっ、そういえば足立監督が呼んでましたね!は、はやく行きましょう!」
急に頬を染めた豊村さんが足早に歩き出すので俺も後を追い、足立監督のもとへ向かう。
「素晴らしい撮影だったよ。私たちは今から撮った内容を確認するから2人は休憩に入っていいよ」
とのことで俺たちは休憩に入る。
「お兄ちゃん!花凛ちゃん!」
すると、すぐに妹の雪菜が駆け寄ってくる。
俺のボディーガードである鮫島さんも雪菜と一緒に遅れて駆けつける。
「撮影、とっても良かったよ!続きも楽しみにしてる!」
「2人とも素晴らしい撮影でした」
「「ありがとうございます!」」
2人からの褒め言葉に笑顔で返答する。
「でもさすがに腕が疲れましたね」
「そうだな。俺も右腕が筋疲労を起こしてるよ」
こまめに小休憩を挟んだとはいえ数ゲームを2人で行ったため、腕には疲労が溜まってる。
「なら私がマッサージしてあげるよ!お兄ちゃんが女性の私に触られたくないなら遠慮するけど……」
「雪菜から触られても拒絶なんかしないよ。でもいいのか?」
「うんっ!」
「ならお願いするよ」
俺と雪菜は3人がけのソファーに座り、雪菜へ右腕を差し出す。
すると優しい手付きで俺の右腕をほぐしてくれる。
「ど、どうかな?」
「あぁ。とても気持ちいいよ」
「えへへ〜、もっとしてあげるね!」
そう言って俺の腕をしっかりとほぐしてくれる。
その様子を豊村さんと鮫島さんが“ジーっ”と見ていた。
「ど、どうかしましたか?」
「なっ、なんでもないよ!」
「い、いえ。兄妹でマッサージをされる方は初めて見ましたので」
「な、なるほど」
確かに昔の俺は兄妹である雪菜ですら距離を置いていた。
そのため兄妹だろうがマッサージをお願いすることはないようだ。
「私はお兄ちゃんの女性恐怖症が治って嬉しいよ!お兄ちゃんへマッサージができるからね!」
幾度となく聞いてきた発言に俺も嬉しい気持ちとなる。
「俺も雪菜と普通に話すことができて嬉しいよ」
本心で思ってることを伝え、一所懸命に俺の腕をほぐしてる雪菜の方を向く。
そしてマッサージを解除してもらい、俺は雪菜の頭に手を乗せ、優しく撫でた。
「ありがとう、雪菜。すごく楽になったよ」
「ふぁぁ……」
俺が頭を撫でると“トロンっ”とした表情を見せる。
「きゃぁぁっ!青葉くんが女の子の頭を撫でてるよ!」
「羨ましいっ!あの子が羨ましいよっ!」
「なんで私は青葉くんと兄妹じゃないの!兄妹なら青葉くんとイチャイチャできるのに!」
「それよ!今から青葉くんの姉に立候補しようかな!?」
「「「それ名案っ!」」」
そして周囲の女性スタッフたちが訳のわからないことを話していた。
(俺の姉に立候補したいほど男との触れ合いに飢えてるのかよ……)
そんなことを思いながら周囲の女性スタッフたちに目を向ける。
そのため、俺たちのことを羨ましそうに見つめる豊村さんと鮫島さんに気づかなかった。
その後、4人でゆっくり休憩を行っていると女性スタッフから呼ばれ、足立さんのもとへ向かう。
「撮った映像を確認したよ。このままCMに使ってもいいくらい素晴らしい出来だったよ」
「「ありがとうございます!」」
足立さんの発言に素直に喜ぶ。
前世でも収録撮影なんてしたことはないので、こんな感じの内容でいいか不安だったが、監督は満足のようだ。
「少しだけ撮りたい場面があるから、もう少しだけお願いね」
「「分かりました!」」
その後は足立監督の指示を受けながら指示通りの動きを行い、撮影が終わった。
「「ありがとうございました!」」
「コチラこそありがとう。とても良い撮影だったよ」
撮影を終え、俺たちは足立監督へ挨拶をする。
そして雪菜と豊村さん、鮫島さんの4人で控え室に向かっていると…
「青葉くんっ!またねー!」
「私のアドレスが書いた紙を控え室に置いてあるから連絡してね!」
「私はいつでも青葉くんのお姉ちゃんになるから!」
女性スタッフたちから様々な言葉をもらう。
今日は女性スタッフたちのサポートがあったからスムーズな撮影ができたため、俺は女性スタッフたちの方を向く。
「今日はサポートありがとうございました。皆さんのおかげでとても良い撮影ができました。またご一緒に撮影ができると嬉しいです」
そして笑顔で感謝を告げる。
「「「はぅぅ〜」」」
「青葉くん優しいっ!優しくてカッコいい男の子なんて漫画の世界でしかいないと思ってたよ!」
「一生、青葉くんのファンになります!」
そんな嬉しい言葉をたくさんもらう。
「お兄ちゃんったら……」
「ふふっ。心配し過ぎだよ、雪菜ちゃん」
「やはり青葉様は他の男性と違いますね」
そして俺の側にいる3人が、そんなことを話していた。
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