第3話 プロローグ 3
女の子2人を介抱した俺は雪菜と別れ学校に行く。
俺が通っている高校は男子校なので教師を含め全員が男性だ。
そのため女性と関わることは一切ない。
そんな状況を昔の俺は喜んでいたが、現在の俺はそんなことなく…
「転校してぇ……」
そんなことを思いながら学校を過ごした。
面白いことは何も起きず普通に学校が終わり、雪菜と合流してから帰路に着く。
そして数時間後、事務所の方が来る時間が訪れる。
“ピンポーン”
「来たみたいね」
「俺が出てくるよ」
「あ、私も行くー!」
玄関のチャイムを聞き、俺と雪菜が玄関へ向かう。
そして扉を開けると2人の女性が立っていた。
「初めまして。芸能プロダクション『向日葵』の代表取締役社長、
「
そう言って2人が綺麗な姿勢で頭を下げる。
東條明美さん。
俺が応募した芸能プロダクション『向日葵』で代表取締役社長を務めており、ビシッと着こなしたスーツ姿がとても似合っている美女。
キリッとした目付きと腰まで伸ばした長い黒髪が特徴的で、ホームページに載っていたプロフィールには40代前半と書いてあったが、20代後半と言われても納得できるほど美しい女性だ。
そしてその隣にいる女性が鮫島優香さん。
見たところ20代前半と若い女性で、東條さんと同じくらいスーツ姿が似合っている美女。
水色の髪をポニーテールに結んでおり、スーツの上からでも分かるくらい大きな胸とクールで落ち着いた雰囲気が特徴的だ。
そんな2人に倣って俺も自己紹介をする。
「森本青葉です。今日はわざわざ来ていただきありがとうございます」
「いえ、こちらこそ応募していただきありがとうございます」
応募したのは俺の方なのに、向こうが下手になっていることに違和感しか感じない。
「中へ案内します。こちらへどうぞ」
俺は東條さんと鮫島さんを家の中へ促し、母さんと妹を紹介する。
そして本題へと移る。
「今回は応募していただきありがとうございます」
再び東條さんと鮫島さんが頭を下げる。
「では早速、面接を行います」
事前に面接を行うことは聞いていたので、俺は姿勢を正す。
「我が社は女性スタッフしかいません。そのような環境でも問題ありませんか?」
「以前は女性と話すことが苦手でしたが、今ではこのように全く問題ありません」
等々、東條さんからの質問に嘘偽りなく答えていく。
数分後…
「面接の結果、我が事務所は青葉さんと契約させていただくこととなりました」
「あ、ありがとうございます!」
無事、合格をいただく。
「契約にあたり、青葉さんには我が事務所に所属していただきます。そのためお母様にサインしていただきたい箇所があり……」
そして俺と母さんは契約の手続きへと移る。
「ありがとうございます。これで青葉さんは我が事務所『向日葵』の一員です。これからよろしくお願いします」
「はいっ!よろしくお願いします!」
俺は姿勢を正して元気に応える。
「それに伴い、青葉さんにはマネージャー件ボディーガードを付けたいと思っており、鮫島を抜擢する予定です。理由として彼女は鮫島家で特殊な訓練を受けており男性への耐性があります。そのため絶対襲うようなマネはしません」
「あの有名な鮫島家なら安心ですね。信用して青葉を任せられそうです」
この世界には男性に対する耐性をつけ、絶対襲わないよう教育された家がある。
その家は3代名家と呼ばれ、鮫島家はその中の1つだ。
(あれだけ俺のことを心配していた母さんが信頼できるくらいなのか。鮫島家ってすごいな)
「青葉様。もし私が青葉様を襲うようなことがあれば鮫島家に連絡してください。そうすれば私に相応の罰が与えられますので」
「わ、分かりました」
(鮫島さんのような巨乳美女から襲われるのなら役得のような気はするが)
「では鮫島の紹介も済みましたので仕事の話へと移ります。今回、青葉さんにお願いする仕事は写真集の撮影です」
そう言って東條さんが話を続ける。
「我が社はとある出版社と仲良くさせていただいており、その出版社と協働で男性モデルの写真集を発売することとなりました」
「つまり俺の写真集を発売するってことですか?」
「そういうことです」
俺の写真集を買う人がどれだけいるかは分からないが、応募した以上素直に引き受ける。
「分かりました。精一杯頑張ります」
「ありがとうございます。撮影日は鮫島を通じて連絡させていただきます」
とのことで俺は東條さんと鮫島さんの2人と連絡先を交換し、2人は俺たちの家から出ていく。
「ふぅ、無事合格をもらえて一安心だ」
「お兄ちゃんのルックスで合格できなかったら誰も合格できないよ」
「そうね。青葉以上にカッコいい男性はお父さんを除いて見たことないわ」
「そういえば俺の父さん、バカみたいカッコ良かったなぁ」
そんな会話をしながら俺たちは夜を過ごした。
【1章完結】
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