第12話 思ってたのと違うっ!
思ってたのと違うっ!
私は今、私の心の中で膨らんでいた彼への期待が音を立てて崩れています。
数日前から何か嫌な予感がしてて、でもお父さんの昔の仲間の人には頼りたくなくて、
勢い任せで仲間に引き入れ2人、ゴロツキって感じはしなかったけど、銃を突きつけられても平然としてて「コレだ!」と思ったの。
そしたら私のお父さんの船を知ってる風だったし、みるみるうちに海賊もバッタバッタと倒して捕まってたカスミさんも助けちゃった!しかも、一緒に来てくれたラールッドさんも凄く強くてものすごく強くてあんな大きなクマさんを弾丸の一発で倒してるの。
こんな強い人を引き入れたら私ももっと強くなれるとそんな予感がしたの!
………でも、最初にちょっと不安を感じたのは厄介フォロワーさんが突撃して来た時。一対一の構図が作りやすいからってフォロワーさんの船に乗り込んでそこで戦わされて、それも具体的なアドバイスは無くて、(あっ、コレ大丈夫かな?)ってなったの。
そんなふうに思ってたら、いきなりゲートポートの集会所の近くで黒髪の綺麗な女の子に貴方の仲間のあのクソ野郎の所に行くわよ!と行って連れられたのよね。
ちょっと長ったらしい前置きはここまで。
で、今、
「えっ、そんな誰が?」
「妹さん居たんですか?」
「そんなモンは後だ後!お前らはここに残……いやついて来い!俺が離れたのを見計らって海賊がお前ら2人を攫いに来るぞ!」
──────────
「ねぇ、どうして海賊が私達を狙うの!誰がラールッドさんの妹さんを誘拐したの!何が起きてるの!」
私は半ばパニックになりながらマッカンを問い詰める。でも彼は何も言わずにラールッドさんの指定したポイントに向かって走り続けて何も言ってはくれなかった。
「あの!そっちの、あの……えっと綺麗な人!」
「名前を名乗ってなかったわね。私は翠歌舞。舞で良いわ。」
「翠歌?翠歌ってあの翠歌?!まさか」
「アレと一瞬にしないで。私は12年前にあった方の翠歌。今の蛮の翠歌じゃない。」
「………私は吉野ソメイ、吉野堂吉の娘。ひょっとしたら今海賊に狙われてるのってソレに関係ある?」
返答は舞ちゃんじゃなくてマッカンから、以外な程にあっさりとした声で返って来た。
「それだけ分かってれば十分だ。海賊どもは蛮の子飼いだな。」
────────
「よう、遅かったな。」
「こっちにもイヌが来てな。すまなかった。で、どうする。真正面からは良くないだろ」
「子猫ちゃん達に後ろに回って貰って俺達は大暴れ。コレで行こう。」
「妹は?」
「手札を自分から捨てる程バカじゃないさ」
「行けるか?2人とも」
判断が早い!そんな特殊部隊じゃないんだから必要な会話だけでやり取りしないで!おいてきぼりになるでしょ!
「ええ、詳しい話は後で。行きましょエマ」
だから!なんでそんなにサラッとしてるのよ!私にどういう事か言ってくれないと!パニックになっちゃうよ!
──────────
結局、ついてきちゃった………何の変哲もない倉庫、その裏口から私達は侵入する。………何か話し声が聞こえる……誘拐犯とマッカンさんは知り合いなの?戻って来ないか?とかお前はその程度じゃない、とか言ってるし……
あっ、あの娘が妹さんかな?
「ねぇ、あの娘かな?」
「あの娘って何処に?黒服ばかりじゃない!なんなのあの数」
私が指差す先には黒服を着たマフィア風な男。その足元に黒い布を被せられた女の子が居た。
「黒い布を被せられた女の子?まあ良いわ。あっちの主力はあの2人が抑えてくれてる。行くわよ」
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