第10話 驚きの結果
10話 驚きの結果
「む、ムチャだ!いい加減止めさせろ!ウメコちゃんが!」
後ろから追い付いて来た眼鏡のリスナーが震えながら俺にそんな事を言う。まあ止めないんですけどね初見さん
「そう、そこだ。パワーの低さは手数で補え。流れる水の様に、少しずつ少しずつ、そうだ。」
[マジでスパルタやんけ!]
[でもこのオッサン、絶妙に良い一撃の時は弾いてあげてるやん。過保護]
[いやここ迷惑リスナーとはいえ他人の船の中では?]
[それよりエビタイ号なんて名前であの武器……まさかやはり]
ちょくちょく気付いてる奴が居るな。まあ隠してるワケじゃないから当然か。
ふとデカい虫と戦っているの姿を見る。船長の得物は短めの槍。いわゆる短槍だな。1メートルも無いぐらいの棒の先に枝分かれしたナイフ程の刃が付いているモノだ。う〜むしかし、伸び悩んでいるのが分かる動きだな。
デカ虫と一進一退の攻防を繰り広げていた船長。しかし彼女は一瞬こちらに意識を向けた瞬間に虫に突き飛ばされこちらまでフッ飛んで来た。
「よそ見とは感心しないな。少しソレ貸してくれないか?」
「鍛えるって言うから格上と戦ってるのに何も言ってくれないから!」
思ってたのと違う!と怒りだす船長。だって技術的には悪くない水準に見えたんだよなぁ。昨日の夜に過去の船長の動画を見た限りではな。
彼女に足りないのは思い切りか……ここぞ!と言うときに踏み込む度胸。後ろに人が付いてればもうちょっと踏ん切りが付くと思ったんだがな。これは直接言っても効果は薄いだろうし、気付いてくれないかなぁ
あっこういう思考師匠っぽい
「あぁ、すまない。少しソレ貸してくれないか?」
俺は船長の短槍を借りる。甲虫がこちらに飛び掛かって来たのでタイミングを合わせ首と胸の隙間に刃を差し込む。ズッ………とズレる身体が勢いを殺せずに背後の壁にぶつかり止まる。ピクピクと身体が動いているが、次第に弱くなり動かなくなった。
「リスナーさん。アンタも本来はこの辺のダンジョンに見合うレベルしてないんだろ?ソイツの素材まるまるあげるから帰ろうぜ。」
そして不服そうな船長にもフォローを投げておく。
「すまない。俺も人に教える経験があまり無いからとりあえず戦わせれば良いなと思っていた。ちょっとラールッドと練り直そうと思う」
────────
「はぁ……どうすっかなぁ」
「技術的にはだいぶ良いセン行ってるから後は度胸ってんだろうけど、なぁ」
翌日、俺はラールッドとファミレスに居た。議題は「俺達の船長強化計画」だ。
船長が強くなれば話題が集まる。
↓
話題が集まれば視聴者が集まる。
↓
視聴者が集まれば金が集まる。
↓
金が集まれば嬉しい。
この黄金の方程式を成立させる為にどうするか、方法を探っているのだ。
しかしいきなり実戦はイマイチだったし、ひたすら模擬戦かなぁ等と話をしていてふと、窓の外を見る。と俺の事をさんざんクズだの言ってくれていた翠歌舞が歩道を歩いていた。…………つけられている?!あっ走り出した。クソッ!そっちじゃない!
「すまん!」
俺は席を立つと店を出て追跡者を追いかける。
路地裏に駆け込む?バカ!お前の武器はスピードだろうが!閉所は駆けるのに向いてないのに
舞は反撃を繰り出して追跡者のチンピラを1人ノシて2人目と交戦に入ってからの……背後の3人目が振りかぶったバットを………させないっ!
膝を蹴り飛ばし、下がった頭を掴み膝を入れる。メキッと嫌な音を立てて3人目が崩れ落ちる。
振り向くと舞が嫌そうな顔をしてこちらを見ていた。
「なに?助けたつもり?今更善人ぶって何のつもりなの?」
………うん。感情的になってたら話が拗れるだけだ。とりあえず、
「おい、起きろ!」
俺はチンピラの1人をシバく。ノックアウトから復活したチンピラは逃げ出そうとしたからその鼻先に刀を振り下ろす。ハラハラと散る前髪、チンピラは凍りついた様に固まる。
「おっと動くなよ?俺もお姫様の前でお前のきたねぇ血をぶちまけたくは無いんだ。俺に斬らせないでくれよ?」
チンピラはコクコクと頷く。しかし後ろから舞が食ってかかってくる
「ねぇ!聞いてんの?!それで今更護ってますアピール?!」
「黙ってろクソガキ!」
「ヒッ」
………いけないいけない。お姫様にクソガキなんて言ってはダメだ。ついクズだクズだ言われた恨みが噴出しちまった。
「で、だ。チンピラ君は何故に彼女をマトに掛けたんだ?」
チンピラは震えながら何かを言おうとして震えて…………いやこの震え方は?!
チンピラは泡を吹いて倒れ、白目を向いて痙攣を始めていた。気付いたら他の2人も同様に。
「クソッ……奴らの手口だな。」
「そう、兄さんの次は私なのね。」
……このお姫様はホンマに……ワイがなしてこんな生活しとるおもてんねんクソがよ。な〜にが私なのね。よ!そうしない為にこんな事しとるんやないかい!せや!船長と組ませたろ!
「おい、舞。嫌いな相手の頼みで嫌だろうが、ウチの船長と会ってくれないか?お前の安全の為にもな。有名になれば手を出しづらくなるハズだ。」
「なに?配信者になれって事?バカにしないで!そもそも私は〜…………」
私は〜どうとかこうとか、まくし立てられたがとりあえずエビタイ号のポート住所を渡して俺はその場を後にした。
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お読みいただきありがとうございます!
今回は当面の敵みたいなのが出てきそうでしたね。今後どうなるか、明日の自分が頑張って考えてると思います。
良かったらチャンネル登録と高評価、ぜひよろしくお願いします(/・ω・)/
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