第9話 よくある展開




「なぁ、良かったのかマッカン、ありゃお前に気があるんじゃないのか?」


 エビタイ号のシートで銃の手入れをしつつ、そんな事を言ってくるラールッド。まったく高校生じゃないんだからそんな茶化しはやめてくれよな、男女が会話してるとすぐに色恋に持って行こうとするなよな


「ま、まあまあ、今日は私に戦い方を教えてくれるんでしょ?切り替えていきましょう?」


「(´Д`)ハァ……昨日の森で良いか?俺達についてくるならあのクマぐらいやれなきゃな」


「ええっ、いきなりあんなに強いモンスターと戦うんですか?!」


「その方が話題性もあるし、なによりある程度難易度が高い地域だと野次馬を避けられる」


「良い案だなマッカン。マザー個体も討伐したばかりだから今は通常個体ばかりだろうしな。キバれよヨシノ」


「うっ………はぁ〜い」



───────




「さて今回もやって来ました!過密の森!この間は失敗しちゃったけど、今日はこの2人に私を強くして貰うために来ました!もちろん、ハニトーはお預けです!」


 ヨシノが元気よくカメラに向かって挨拶している…………ん?何か目線で訴えて来てるな。挨拶しろって事か?


「ああ、前回はインパクト重視な上に海賊のシーンからだったから挨拶を忘れていたな。俺はマッカン。こっちの色男はラールッドだ。」


 コメント欄は昨日に比べていくらか流れが良い。おそらくあのカスミって配信者が宣伝してくれたんだな。ありがたやありがたや




カスミ

[ちょっと!投げ銭出来ないじゃないの!お礼を受け取らなかったからここから投げ込もうと思ったのに!早く有名になりなさいな]



ん?今のコメントは……


「あっ!カスミさんいる!ありがとうございます(/・ω・)/頑張って収益化頑張ります!」


 しばらくは集まったファン相手に少し雑談をしてやっとヨシノが本題に入る。


「よし、ここからはこのマッカンが軽く戦い方を教え……「ちょっとまったーーー!!!!」うるさ(ヽ´ω`)」


 いきなり自分達の頭上に探査船が現れ、そこからスピーカーでがなり声が降ってくる。


「ゲートポートで君たちの話をたまたま耳にした者だが、君たちが去った後に1人の女子高生が現れ、「そのマッカンと言う男はクズだ!」と触れ回って居た!そこで私はウメコちゃんが悪い男に騙されていると確信して助けに来たんだ!さぁ!コレに掴まってウメコちゃん!」


 探査船からロープが垂れてくる。ほーん、そういう事か。これは俺のせいだな………まったくままならないが、これもツケって奴か。


「あー、誰か知らんが俺はそんなつもりは無いぞ!そもそも本当にクズ野郎なら俺の評判を落とす奴を野放しにしてるワケ無いだろ」


「うるさい!お前に話はしてない!さぁウメコちゃん!」


 あんまり音をさせてるとまたモンスターが集まって来るからアイドリングはカンベンしてほしいんだがなぁ……


「アリガトね!親切な人!リスナーさんかな?でもこの2人はすごく強くて頼りになるしちゃんと信用出来るから大丈夫だよ!」


「嘘だ!そんな怪しげな小太りの男が何で信用出来るんだよ!それにずっと黙ってるそこの!お前も持ってる銃が曰く付きなんじゃないかって掲示板で話題になってたぞ!二人がかりでウメコちゃんを攫うつもりだなこの海賊め!」


「俺が攫うつもりなら昨日やってる。それにこんなに長ったらしく演説をさせないでとっくに撃ち落としてるよ。頭上でホバリングするとか「マトにしてください」って言ってる様なモンだ。今は船長の修行回を撮る所なんでな。お引き取り願おうか」


 ラールッドも少しゲンナリしていた。


「このまま帰ってくれ。帰らないならせめて着陸してくれよ。ホバリングしてゴウゴウ音がしてたらモンスターが寄ってくるぞ!」


 俺が言うのが早いか遅いか、軽自動車サイズの甲虫が弾丸の様な速さで飛んできて船に突っ込む。

 ドガシャアアアン!と大きな音を立てて探査船の外装にめり込んだ甲虫はモゾモゾと船倉に潜り込んで行った。


「いわんこっちゃない………行くぞ」


 俺は垂らされていたロープに捕まり、それを伝ってリスナーの船に乗り込んだ。



───────



「ヒイッ!………く、来るんじゃない!お前はお呼びじゃないんだ!」


 眼鏡を掛けた痩せた男がこちらにナイフを突きつけていた。マジかよコイツ、状況読めてないな?


「マッカン、アレはお前に任せる。俺はこの船を着陸させとくぞ」


「ああ、ありがとう。船長!実戦だ!しかもお誂え向きに閉所かつ一対一、修行には持ってこいだ。獲物は持ってるな?船倉に行くぞ」


 船長の獲物は……やっぱ“ソレ”か血は争えんな。いや合わせたのか?


「は、ハイ!よ〜し皆さん!私がめちゃくちゃ強くなるとこ!見てて下さいね!」





────────


お読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


毎日投稿とか言いながら昨日すっぽかしやがった。お前はいつもそうだ。いろんな事に手を付けるが、一つだってやり遂げられない


誰もお前を愛さない


(´;ω;`)ブワッ

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