第3話 カップについて
前のお話で「陶芸」のことを書きましたが、実は、作るのも好きだけど、カップ自体が好きなんです。
今回は「好きなこと」というより「好きなもの」について書きましょう。
初めての出会いは、はっきりと覚えていませんが、確か中学1年生の頃。友達のプレゼントを探していて、コーヒーカップにしたのが始まりだったと思います。
私は、その人のイメージで、その人の誕生日や記念日にコーヒーカップやマグカップをプレゼントするのが好きでした。
その極みが、中学時代一番好きだった人のイメージで買ったコーヒーカップ。紺色の四角い、やや小ぶりのカップに、同じ色のソーサーがついていました。お誕生日プレゼントにあげたかったんですよね。……できませんでした。も〜、あまりにも片想いすぎて(笑)。話しかけることもできないのに、突然コーヒーカップを渡すとか、無理無理無理。
かくして、そのカップはずっと私の部屋の棚に飾られていました。彼のことを諦められた時に、思い切って捨ててしまった、大変可哀想なカップでした(泣)。
あとは、本当にいろいろ。気に入ったら買ってきてしまう。値段は「お〜っと!(汗)」の手前くらいまでは買ったかなあ(笑)。
友達からプレゼントしてもらった茶色いガラスのティーカップも好きでした。
自分で陶芸をしている子から貰ったカップもよく使っていました。素朴な土だけの色に、可愛い猫のデザインが施された、それは可愛いカップ。ただ、北海道へ引っ越す時に、少し衝撃がかかったようで、ヒビが入って、原型は留めているものの、中身が漏れてしまうので使えません。ごめんねぇ(涙)。
大人になって、憧れの人から貰ったティーカップは、全くもって飾り棚の
贈り主は、物凄く誠実で一生懸命で、自分の仕事に誇りを持っている男の人でした。関東に住んでいたので滅多に会うことができず、主にメール、時々電話。
ある日、「仕事をやめたんだ」とメールがあったときには驚いて! 理由を聞けば、事業主が建築基準法に違反した物件を設計してくれと言ってきて、自分は設計士としてそれはできない、と反発したことから始まったそうで。彼は、自分が誇れない仕事はしたくないと、無理をいう事業主を見限ったそうです。
とてもとても疲れている彼に、私は何とか元気を出して欲しくて、アップルパイを焼いて、紅茶を用意して
「お疲れ様です。あなたのために作りました。届くといいな」
そう言って、その写真をメールで送りました。
彼は、
「ありがとう。本当に涙が出た。ありがとう。頑張るね」
そう言ってくれました。
そして、新しい仕事に就けたとき、二人で大喜びしました。彼の仕事振りを見ていてくれた別会社の社長が、彼のことを気に入って、是非うちに、と誘って下さったそうです。
やはり、真面目に誠実に一生懸命、正しく仕事をしている人のこと、見てくれている人がいるんだなあ。そう思いました。
その後、すぐ、ティーカップが届きました。
「この前のアップルパイと紅茶、凄く嬉しかった。よかったら使って下さい」
と。
私にとって、彼は、恋人ではなく、本当に憧れの人でした。互いに相手がいたわけではないのですが、なんでだろうなあ……。彼にとって、私は重すぎる存在になることがわかっていたというか、やはり彼が自分には勿体無い存在に思えたのでしょう。
いつの間にか、昔話になっておりましたが(笑)、そんなわけで、このティーカップは、私にとって凄く大切な宝物。あ、それを大事に飾ってあるのは、「浮気心」ではないですからね(笑)。
あとは、再婚祝いに、従姉妹から貰った、カップ&ポット。重ねると雪だるまの形になって可愛いです。
それから、やはり友達からお祝いに貰った大きなマグカップ。これは、大きさ的に、スープカップとしても使っています。賑やかなデザインのもので、凄く気に入っています。
今、一番気に入っているのは、手書きのお花模様の背の高いマグ。
これは、夫と一緒にリサイクルショップをウロウロしていた時、一目惚れして買ってもらったものです。なんと100円(笑)。
値段じゃないですよね。自分がいいなって思うものは、自分にとっては価値があるものなので。でも、値段が安かったこともあって、デザインが気に入っていることもあって、デイリーに、それこそ毎日使っています。
コレクターと言うほどでもないのですが、やはり、自分の好きなものが傍にあると、とても気分が落ち着きますよね。
好きなものが多いので、「ちゃんと整理する」が、私の今現在の大きな課題ではありますが(笑)。
※近況ノートに写真があります。
https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714/news/16818093077012722086
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