第3話 早合点だと思うその考えの浅はかさは愚かしい
== 3 ==
<ソフィア=フォン=ミモザ>。
美少女ゲーム、【
そんな彼女だが、【AAS】に登場するヒロインの中でダントツに人気がある。
ひと目で育ちが良いとわかる御嬢様な
魔法の才能を認められて貴族学校に入学した主人公(【AAS】はデフォルトネームがない)を、優しく導いてくれる善性。楚々とした雰囲気なのに、子どもの
苦難にはまず自分自身で解決することを考え、それでもなお乗り越えられない困難には周囲に助力を打診できる質実さも兼ね備えている。【AAS】に登場するヒロイン共に、是非見習って欲しい
優しいだけではなく、貴族としての責務も理解している。クラスが魔物に襲われたとき、率先して声を張り上げて体勢を立て直し、得意の細剣で魔物を討ち払う様は惚れ惚れする。その後に、実は怖かったと打ち明けながら、主人公へ内心を打ち上げるシーンは可愛かったなあ。
徐々に頭角を見せる主人公へ思慕を抱くんだけど、前述の通り、彼女にその未来は用意されていない……。「攻略ルートがないバグが発生しているキャラ」と言われているくらい、可憐で人気のあるキャラクターだ。
シナリオが用意されていないからクソゲー!って訳ではなく、かと言ってバグが多過ぎる訳でもないが、【
無駄にちからが入った
ヒロイン達といちゃこらして愛を育てて、母国を脅かすとある皇国の皇子を討つ
暴力系、護られキャラなのに
だいぶお粗末な展開だったし、当時はネットも中々発達してなかったのもあって地雷と見分ける
話を戻そう。
数あるヒドイン達を一切寄せ付けず
彼女はうつくしく、聡明であるが故に。貴族学校に巣食う【
僕は彼女が犠牲にならないシナリオを探し当てるために、何度も彼女の断末魔の悲鳴を聞いて軽く鬱になりながら、それでもこのゲームの頭からプレイしたものだ。
結局イベントスチルを全開放したにも関わらず、彼女の生存ルートが用意されていないと
そんな
その
僕は思いつく悪罵を、僕を転生させた野郎にぶちまけたかった。
くそったれめ。
もし、シナリオという強制力がこの世界にあるとしたら、彼女への魔の手を退けられるのは
前世で何の
ソフィアは、使用人に囲まれておどおどしているが、愛想が良い表情を浮かべて、またぺこりと頭を下げている。
その様子はとても初々しく、見るもの全員の庇護欲を掻き立てる。そこには、僕自身も含まれている。
──【AAS】プレイヤーが誰もが夢見る彼女の生存ルート。
──それを、今の僕は叶えることが出来る!
ただのいちプレイヤーじゃない。そして、前世のようにただ言われるがままに動く機械でもない。僕は、僕の意志で、僕の手で、
もし、転生に意味があるのなら。きっとこの出会いが、
──彼女を護ること。
暗い覚悟を決めた僕と、何故か目があったソフィアはびくりと肩を震わせていた。
そして──そんな僕を見ているものが、他にも居たことに。僕は気付きもしなかった。
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