第49話 生活
お風呂場で話し合っていた三人だったけど、しばらくするととりあえずみんなでお風呂に浸かって話すということで話が落ち着いて、お風呂に体が浸かったことでローズさんの体がお湯で見えなくなり、ようやく僕は目を開いても良いということになり、今目を開けた。
「……」
ローズさんが、この湯の下では服もタオルも何も着ていないと考えると少し複雑な気持ちになりそうだけど、それは気持ちの問題だと思うからできるだけ気にしないようにしよう。
僕がそんなことを考えていると、そのローズさんが口を開いて聞いてきた。
「ウェン様は、これからどうなされるのですか?」
「え?どう、とは?」
「一度私のことは除いて考えるとしても、これから先、魔王様とシャルさんのことを幸せになされるというのであれば、当然今後はそのお二人の傍に居るということですよね?」
「はい、そうなると思います」
「でしたら、普段の生活なども共になされるのですか?」
「普段の生活……」
そういえば、まだそこまで詳細なことを考えていなかったけど、シャルとネルミアーラさんのことを幸せにするって考えた場合、当然僕は今ローズさんが言ったようにシャルとネルミアーラさんの傍に居ることになる。
つまり、シャルやネルミアーラさんと一緒に生活をするということ。
「今すぐにそういったことをするとは考えていなかったので、まだ何も考えてなかったです……確かに、どうすればいいんでしょうか」
僕が素直に思っていることを口にすると、次はローズさんではなくネルミアーラさんが口を開いて言った。
「何を言っているのウェンくん、ウェンくんは今日からこの広い魔王城の中で私と一緒に生活するのよ……食堂から今浸かっているお風呂まであるし、なんだったら空き部屋もあるから、私としてはウェンくんと同室が良いと考えているけれど、もしウェンくんが自室が欲しいと言うのならそれを用意することだってできるわ」
「そ、それは、この魔王城が僕の家になるってことですか!?」
僕が驚きながらもそう聞くと、ネルミアーラさんは僕の右腕を抱きしめるようにしながら言った。
「そうよ、最初は広くて少し迷ったりするかもしれないけれど、その時は転移魔法もあるから問題は無いでしょうし、私も一緒に生活しながらウェンくんに色々と教えてあげるから、きっとすぐに慣れるはずよ」
こ、こんなにも立派な魔王城が僕の家に……僕が少し困惑と驚愕によって頭が追い付かないでいると、今度はシャルが僕の左腕を抱きしめるようにしながら言った。
「何言ってるの!ウェンは私の家の屋敷で私と一緒に生活するに決まってるじゃん!私の屋敷も公爵家の屋敷だから、十分広いけど、この魔王城みたいに無駄には広くないし、空き部屋だって何部屋かあるからその部屋を自由に使えるから!それに、私の家だったらウェンも何度か来たことあるから慣れる慣れないっていう点で言ったら絶対私の家の屋敷の方が良いはずでしょ?」
シャルの家は公爵家の家で、確かに屋敷はおそらく人間の王族の人とかを除いたらかなり大きい方の屋敷で、僕はシャルと幼馴染という間柄のため今までの間で何度も入らせてもらったことがある。
だから、確かにシャルの言う通り慣れる慣れないっていう話ならシャルの屋敷の方が良いのかもしれない……けど、シャルのご家族も居るのに、突然一緒に生活を始めてしまうのは申し訳ない……それに。
「ネルミアーラさんとシャルは、それぞれが僕と生活するっていう前提で話してるみたいだけど……僕は、ネルミアーラさんとシャル二人のことを幸せにしたいから、二人と一緒に暮らしたいよ」
「ウェン……」
「ウェンくん……」
僕が自分の思いを伝えると、二人はそう声を漏らした。
……今後二人と幸せに生活していくためにも、このことはちゃんと考えないといけない。
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