第19話 応援
◇シャルside◇
ウェンが目を瞑ったことを確認すると、私はこの女と向かい合った。
そして、この女は小さく微笑みながら言う。
「シャルさん、私はウェン様とシャルさんに危害を加えるつもりはないので、どうか矛を納めていただけないでしょうか」
「そんな格好で私とウェンの前に出てきたことだけでも十分私にとっては危害を加えられてることになるから!もしそんな格好のせいでウェンに変な癖が付いちゃったらどうしてくれるの!?」
「仰っている意味がわからないのですが、どういった意味なのでしょうか?」
私が強く主張したことに対して、この女は首を傾げたとぼけたような表情をしていた。
そんなこの女に対して、私はハッキリと言う。
「私の言ってることが理解できないみたいな顔してるけど、理解できないのは私じゃなくて絶対にそっちだから!」
「そうなのですか?」
「そうなの!」
そう言うと、私は氷魔法をこの女に放った。
すると、この女はその氷魔法を横に避けることで回避する。
「先ほどもそうでしたが、突然攻撃なされるのですね」
「もう今後、その姿をウェンの視界に入れないためにも、絶対倒すから!!」
「私のことを倒す、ですか……可能であれば、是非ともそのお力をお見せいただきたいものです」
「魔王の側近だからって力に自信があって余裕あるみたいだけど、その余裕すぐに無くしてあげる!!」
私は、次に炎魔法をこの女に放った────すると、この女は水魔法を放ってそれを防いできた。
そして、相変わらず小さく微笑みながら言う。
「あなたは、人間の十五歳としてはとても優れた使い手ですが……それでは私に勝つことは不可能です」
「うるさい!」
私は、耳障りなことばかり言うこの女に対して炎魔法を何度も放つ……けど、この女は一歩も動かずに水魔法でそれを防いでくる。
これが、魔王の側近……ふざけたやつだけど、やっぱり強い……!
私がどうすればこの女を倒せるのか、頭を回して考えていると、この女はさっきまでよりも少し口角を上げて言った。
「そういえば、あなたの魔力が突発的に上がったことがありましたね……あの時のあなたの力であれば、私と戦うことに与うかもしれません」
「……なんのこと────」
私がこの女の発言の意味がわからずに、その発言の意味を聞こうとした時────この女は、私の前から姿を消した。
かと思えば、その強力な魔力反応は私の後ろからしてきたため、私が後ろに振り返ると────この女は、目を瞑っているウェンの目の前に居た。
「っ……!」
「さて、このままウェン様に口付けを────」
「ウェンから離れて!!」
私は、その女がウェンに近づいているのを見た瞬間に、風魔法でその女のことを吹き飛ばした。
そして、私は暗い声で言う。
「今、私のウェンに……何しようと……絶対に許さない……」
すると、受け身を取ったその女は、私のことを見ながら口角を上げて言った。
「ふふ、やはりあなたの力の源はウェン様のようですね……今のお力であれば、私と戦うに与うでしょう」
「うるさい、もう絶対に許さないから!!」
◇魔王side◇
「そんな格好で私とウェンの前に出てきたことだけでも十分私にとっては危害を加えられてることになるから!もしそんな格好のせいでウェンに変な癖が付いちゃったらどうしてくれるの!?」
「私の言ってることが理解できないみたいな顔してるけど、理解できないのは私じゃなくて絶対にそっちだから!」
ローズとあのウェンくんに纏わりついてる女の会話を聞いて、私は────初めて、あのウェンくんに纏わりついてる女の言葉に賛同していた。
本当に!あんな格好でウェンくんの前に出るなんて、信じられないわ!!
いつもは、私にとってあの女はただの邪魔者だけど……
「ローズを倒して、ローズに反省の時間を与えなさい!!」
ローズにあんな格好でウェンくんの前に出たことを反省させるために、今だけはいつもウェンくんに纏わりついてる邪魔なあの女のことを、応援することにした。
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