第5話 宴会
「さぁさぁ!お二人も、じゃんじゃん食べてくださいね〜!」
「街を救ってくださったお二人のために、もっと盛り上げていけ〜!」
たくさんの声が交錯し合い、声だけでなくこの場には音楽を奏でている人や踊っている人、食べ物をたくさん食べている人やお酒を飲んでいる人など、本当に様々な人たちが居た────けど、それらは全て、一つの宴会として見事に調和し合っていた。
「……なんだかすごいことになっちゃったね」
「うん、でも!こうなったからには私たちも楽しまないと!!」
「そうだね」
僕たちのために宴会をしてもらうなんて申し訳ないとも思ったけど、この宴会はきっと僕たちのためだけじゃなくて、魔物に襲われたという街の人たちの不安を解消するための宴会にもなるはずだ……だから、僕たちも楽しもう。
その後、僕がシャルと一緒に美味しい食べ物を食べていると、僕は水色髪の女性に話しかけられた。
「ウェンさん、先ほどはこの街を救ってくださり本当にありがとうございました」
そう話しかけられた僕は、一度食べ物を食べる手を止めて言った。
「僕はただできることをしただけですので、本当に気にしないでください」
「そういうわけにも参りません、私は王都より本日は所用でたまたまたこちらに来ていたのですが、もしあなた方が居なければ、王都に帰れなくなってしまっていたかもしれません……ですから、お礼をさせていただきたいのです」
水色髪の女性は、そう言うと僕の方に前屈みになった。
少しだけ胸元の開けた服を着ているからあまりその体勢にはならないほうが良いと思ったけど、そんなことを指摘するのは少し気味悪がられると考えた僕は、それを特に気にすることなく聞く。
「お礼……ですか?」
僕がそう聞くと、水色髪の女性は言った。
「はい……あちらに私の宿泊している宿があるのですが、よろしければそちらで────」
「あ〜!!」
水色髪の女性が何かを言いかけた時、僕の隣で美味しい食べ物を食べ続けていたシャルが大きな声を出すと、すぐに僕とその水色髪の女性の間に割って入ってきて、その水色髪の女性の方へ向けて言った。
「ウェンはそういうのお断りだから!!」
「そういうの……?」
水色髪の女性は、困惑した様子でそう聞き返したけど、シャルは次に僕の方へ振り向いて言った。
「ウェンもウェンだよ!こういう人からは早く離れないと!それとも何?街を救ったからって女の子と遊ぼうとしてたの!?ねぇ!遊ぼうとしてたの!?私が居るのに!?」
こういう人……?女の子と遊ぼうと……?私が居るのに……?
シャルの言っていることは全然わからないけど、とにかくシャルは僕に対して明らかに怒っている様子だったため、僕はそんなシャルのことを落ち着けるように言う。
「お、落ち着いてシャル、シャルが何を言ってるのかわからないけど────」
どうにかシャルのことを落ち着かせようとした僕だったけど────
「もう!とにかくこっち来て!!」
僕はシャルに手首を掴まれると、シャルは水色髪の女性から僕を遠ざけるように歩き始めた……どうやら、シャルのことを落ち着かせることには失敗してしまったらしい。
僕が水色髪の女性に軽く頭を下げると、水色髪の女性は気にしないでくださいという合図を送ってきた……あの人は何かを言いかけていたみたいったから、それを聞けなかったのが申し訳ない。
……それにしても。
「シャル、どうしたの?さっきは突然────」
人気の無いところまでシャルと一緒に歩いてきた僕は、突然あの水色髪の女性や僕に対して怒っていたシャルにそう聞くと────シャルは、珍しく暗い声音で言った。
「ねぇ、ウェン……聞きたいことがあるんだけど────ウェンにとって、私ってどんな存在なの?」
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