第12話 3度目の正直
マーニの背後から抱きしめ胸の辺りを触った。
『何をするのっ!』
ブンブンと体を振り羽根を羽ばたかせて俺を振りほどこうとするけど強く抱きしめそれをさせなかった。
『ちょっと放してっ!』
『3度目の正直だよ』
『何の3度目よっ!』
『俺はマーニが体を得たらパイタッチをすると決めていたんだ、けれど2度も抱きしめあったのにパイタッチをしなかった』
『それで3度目だって言うの!?』
『そうだっ!』
『はぁ・・・触るのは良いから撫でるのは反則・・・』
『揉む為の膨らみも突起も無いんだから仕方ないだろ』
『揉むのは許して無かったでしょ?』
『触ったら揉むに決まってるだろ!?』
『私との約束破る気!?』
何となく不味いと思った、俺はパッとマーニの体を離したけれど遅かった。俺はマーニの収納に閉じ込められてしまったのだ。
『しばらく反省していなさいっ!』
『暗いよ狭いよ怖いよ~』
『暗いけど狭くは無いでしょ・・・』
確かに両手を広げても、羽を動かしても何かにぶつかる様子は無かった。
『私がソールの中にいた時こんな感じだったよ』
『マーニは外の景色を見ていただろう!?』
『コツを掴めば見る事が出来るはずよ、出来るようになるまでその中に居なさい!』
『うわーん、暗くて怖いよぉ!』
『確かにソールの光魔法が無いと少し暗いわね・・・』
『でしょ?出そう?ピカピカ周囲を照らすよ?』
『大丈夫よ、見えない事は無いもの』
『うわーん』
ひどいよひどいよマーニのペッタンコ!
『聞こえてるわよ』
マジかよ、心の中が全部知られちゃうのかよ。
『ソールがエリさんの気持ちに鍵をかけてたみたいに、慣れれば漏れなく出来るわよ』
なるほど・・・といってもどうやってたのかが分からん。
『頑張るのねっ』
『うわーん!』
くそぉ・・・どうすればいいんだ・・・うーん・・・。
『頑張れ頑張れ!』
まぁいいや・・・別に居心地が悪い訳じゃないし・・・外の事はマーニに任せて俺はのんびりしようか。
『えっ?』
なんだかんだで俺が外の事はずっと頑張って来たしな・・・マーニもたまには苦労すればいいんだ。
『ちょっとっ!』
うわぁ・・・マーニちゃんの中・・すごくあったかいナリ・・・。
そう考えた瞬間にマーニの収納からポンと追い出されてしまった。
『何考えてるのよっ!』
『追い出すの早いだろっ!「も、もういきそうナリ・・・」からの、「ソールちゃんのは大きくて硬いだすなあ~」までがセットだろっ!』
『それをされたくないから追い出したのよっ!』
『もう・・・ノリ悪いなぁ・・・』
『ノリで穢されたくないのよっ!』
『別に減るもんじゃ無いし良いだろ・・・パイタッチと一緒だぞ?』
『何かがとっても減ったわよ・・・』
『じゃあさっそくパイターッチ!』
『もういいわよ・・・好きにして・・・』
『わーい!』
マーニの許可を得たので、俺はマーニのペッタン胸を正面から触ってスリスリした。
触りながら周囲を見ると義体や聖獣や装備が片付けられていた。
『みんなをどこにやったの?』
『ストレージよ』
『ふーん・・・かわいそうじゃない?』
さっきみたいな空間に入れるのはなぁ・・・。
『時間は停止してるから大丈夫よ』
『はぁ?そんな機能あったの?』
『それが出来なきゃ生ものを収納した時に腐るでしょ・・・』
『な・・・なるほど・・・』
確かに外で狩った珍しい魔物を収納して貰ったりしていた。確かに時間が経過するなら腐るな・・・。
『ソールって頭が良くなってもどこか抜けたままね・・・』
『そういうのは可愛げの部分って言うんだよ』
『可愛げねぇ・・・』
『可愛かろう?』
『姿だけはそうねぇ・・・』
リアル妖精だもんねぇ。
『それでこれからどうするの?』
『このダンジョンコアって収納出来ないかな・・・』
『ストレージした瞬間にダンジョンが崩れて中にいる人が埋まったりしない? それにまだ一緒にテレポートする実験して無いでしょ? 私だけが助かってソールは瓦礫の下かもしれないわよ?』
『ダメかぁ・・・』
『その方が賢明ね』
外で手に入れた硬貨でガチャるとか出来ないかなと思ったんだ。なんせ地上の貨幣の価値と虹色のクリスタルの貨幣の価値にはギャップがあるのだ。
ダンジョンで落ちる金貨は約100万円の価値で外では扱われていた。けれど結構大きくて重い。だからか鉱山で産出される金で10分の1の重さの小金貨が作られ約10万円の価値で流通している。
銀貨も同じで、約1万円の価値で流通するダンジョン産のものと、鉱山で産出する銀で作られた10分の1の重さのものが約1000円の価値で流通している。
銅貨も大体100円の価値で流通するものと、鉱山で産出する銅で作られた10分の1の重さの10円の価値のものが流通している。
ちなみにダンジョン産の鉄貨は貨幣としては殆ど流通せず、鉱山で産出する鉄とともに鋳つぶされ鉄製品になっていた。ダンジョン産の鉄を混ぜると強度が増して錆びにくくなるとかでこの世界では当たり前の事として行われていた。ちなみに冒険者達が使っている剣や槍や弓の矢じりなどはこういった鉄で作られていた。鍛冶屋では鉄貨を持参すると割引が受けられるみたいで、「三ツ星」の冒険者達は冒険者ギルドに売らず取っておいていた。
『銅貨や鉄貨をまだガチャで交換してないし、あったら便利だと思ったんだけどね・・・』
『私ならテレポートですぐに来れるわよ』
『あっそうか・・・』
『ソールと一緒にテレポート出来るかテストしましょう?』
『それが出来ないと不便になるなぁ』
『多分出来るわよ、城の文献に、魔王が軍団を連れて突然現れたってシーンあったでしょ?』
『そうだね!』
『じゃあ短い距離から試すわよ』
『はーい』
マーニと実験して分かった事は俺を収納に入れた状態であれば瞬間移動が出来る事が分かった。
そしてマーニの収納の中に居る状態で俺が魔法を使える状態に出来た方が良いなという話になり、俺はマーニの収納に入った状態で特訓をした。
何度か俺がマーニをからかい、マーニが俺を収納から追い出すというハプニングはあったものの、出来るようになった。どうやったか説明するのは面倒なので省くけど、俺がマーニの収納に入った状態でも11階層から100階層の魔物を難なく討伐出来る状態になるまでマーニから「合格」が出なかった事を読者の皆様に伝えておく。
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