第10話 ダンジョンコア

 ダンジョンは、1階層と2階層がコボルト、3階層と4階層ハーピー、5階層と6階層がゴブリン、7階層と8階層オーク、9階層と10階層がオーガーが居た。現地語を直訳すると犬顔、羽付き、賢い鬼、二足の豚、人食い巨人なので全部俺が読者に分かりやすく付けた名前だ。

 2層づつ配置されているけれど、下の層の方はコボルトだったらウルフを伴っていて、ハーピーだったらホークを伴っていて、ゴブリンだったらエイプを伴っていて、オークだったらボアを伴って居て、オーガーだったらライノを伴っていた。

 これも現地語の魔物名はあるんだけど、爪が長い狼に似た魔物、羽先が刃物のように鋭い鷲に似た魔物、長い剛毛で覆われた猿に似た魔物、長い1本角が生えた猪に似た魔物、皮膚が鱗状のサイに似た魔物だったので、なんとなくそう呼称しているだけだ。


 ハーピーはフロアは広い層で飛んでいるため冒険者達には厄介な相手みたいだった。冒険者達は盾を上に掲げて上からの投石を躱し、たまに急降下突撃してくるハーピーや鷹を牽制の魔法や槍や弓で仕留め事はあるぐらいで、通過を優先していた。

 聖堂騎士たちは主に1と2と5と6階層に居て、3階層と4階層はアムール・レイバーという団長が、直訳すると氷嵐となる魔法で、飛んでるハーピーとホークをずたずたにして仕留めていた。

 聖堂騎士は下の階層に通じる以外の道を封鎖して冒険者を通さない様にしていた。だから7階層と8階層に固まって集まり魔物を討伐していた。

 尚、オークは背丈が2mを超え皮下脂肪の様な皮膚が厚いためなかなか攻撃が通らず、冒険者達は集団で苦心して仕留めている感じだった。

 9階層以降のオーガーともなると、背丈が3mを超えるし、オーガーキングともなると10mを超えているため冒険者でも手が出なくなるようで活動している冒険者は皆無になっていた。


 俺は魔物たちを素通りして10階層に辿り付き、フロアの1番奥に居座っている12mのオーガーキングの目の前を浮遊し、最大出力で一気に目玉に光魔法のレイを当てた。オーガーキングはビクンと震えたあとゆっくり崩れ落ち光の粒になって消えた。

 残された場所には金貨1枚と銀貨3枚と金色の宝箱があったのでそれを回収した。宝箱には多分スコルの紙に書いてあった回復の効果がある指輪が入って居るのだろう。

 他の魔物はスルーしてオーガーキングを倒した事で空いた扉を抜けて11階層に入った。


 11階層に下りるとそこに居たのは色違いのコボルトだった。元々がどちらも灰色だったのに、今度は茶色い毛になっていたのだ。12階層でも色違いのコボルトとウルフだった、13階層は元々白い羽だったのに青い羽になっていた、そんな感じに20階層まで同じ構成で色違いが続き、10階層の肌色のオーガーではなく、緑肌のオーガーを同じ最大出力の光線で瞬殺し金色の宝箱だけ回収して開いた扉から進んだ。

 そんな感じで100階層まで何事も無く進み最後の金色の肌のオーガーをビクンと痙攣させて倒し宝箱を回収した。

 その先の部屋にあったのはどこかで見た事がある虹色に輝くクリスタルだった。俺が死ぬ前に俺を突き飛ばした女が持っていたスマホに写っていた奴だ。

 これってもしかしてガチャするための端末か何かじゃないか?思って近づいたけど何も反応が無かった。引くのに課金して購入したチケットとか石とかが必要なのだろうか。


 お金といえば、オーガーから宝箱と一緒に出て来た金貨や銀貨しか持っていない。

 金貨を取り出し虹色のクリスタルに近づけるとスゥっと吸い込まれて消えてしまった。そしてクリスタルにこの世界の10を現す文字が表面に浮かび上がって来た。そして銀貨を入れると表示が11になった。

 あれ?これってガチャ出来る流れだよね?クリスタルに触れてみると「1回引くか10連で引くが選べます」とババアに言われた時みたく脳内に言葉が伝わって来た。


 俺は1回手を放して落ち着く事にした。

 現在持って居るのは金貨25枚を超えている。そして銀貨は多分200枚ぐらいだ。何故なら下の階層のオーガ―程落とす金貨や銀貨が多かったからだ。

 でも金貨1枚で10連って随分高いガチャだな。金貨1枚って大体こっちの価値で100万円だぞ?この世界は1ガチャ10万なのか?

 でも全部課金して550連か・・・天井は設定されてたりしないのかな?確率表示は?20連ごとにSR、40連ごとにSSR、60連ごとにURとかに、80連でLR、100連で好きなアイテム1個選べるとかそういう風になってないのか?


 虹色のクリスタルに手を触れて質問すると色んな事に答えてくれる事が分かったので質問する事にした。

 この虹色のクリスタルはダンジョンを管理しているもので、所謂ダンジョンコア的なものだった。

 ダンジョン内でドロップするメダルを対価にガチャを引くことも可能との事だった。

 金貨がレアガチャ10回分で銀貨が1回分、銅貨がコモンガチャ10回分で鉄貨が1回分。

 レアガチャの排出確率はLRが0.01%、URが0.1%、SSRが1%、SRが10%、Rが89.99%。コモンガチャの排出確率はRが1%、Nが99%だった。

 レアガチャには天井が設定されていて1万回で自由に取得するものが選べる。

 LRで当たるのは妖精で、世界で1体づつしか存在できないため取得できるのは闇の妖精だけ。

 URで当たるのは聖獣でこれも世界で1体づつしか存在出来ないものだけど、取得できるのは牛や馬や鳥に似た生き物がいっぱい取得出来るようだった。

 SSRは10階層毎の階層ボスが稀に落とす宝箱である金箱から出てくるものと同格の装備品やアイテムで、これは複数取得出来るようだった。

 SRはそれ以外の階層ボスが稀に落とす宝箱である銀箱から出てくるものと同格の装備品やアイテムでこれも複数取得出来るようだった。

 Rは通常の魔物が稀に落とす宝箱である銅箱からの装備品やアイテム、Nは通常の魔物が落とすドロップ品が出てくるらしい。


 俺は10階層毎のボスを1回しか倒さなかったけど全て金箱が出てきた。その理由を聞いたら長い時間討伐されないで居ると金箱が出る確率が上がるそうだ。

 どれぐらいで確定で出るようになるかと聞いたら50年ぐらいらしい。


 魔物のパターンが少ないのは400年前に訪れた聖女が、後の魔王やその配下の人型の魔物でも躊躇なく討伐出来るようにするための訓練場として設定したかららしい。

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