第9話 聖堂騎士

「くそう・・・またシアとララの奴に取られたぜ」

「まぁそういう事もあるさ、でもポーションが結構ドロップしたんだ稼ぎは悪くなかっただろ」


 彼らが狙っていたコボルトキングは、赤い胸当てを付けた女性と黄土色のローブを付けた魔法使いのコンビニに先を越されたようで、コボルトキングの痕跡を見つけ、辿りついた付いた時にはその2人がドロップアイテムらしい希少鉱石らしいものを袋詰めしている所だった。「やあ三ツ星の皆さんご苦労様」と言われて引き返すしか無かった彼らは、現在冒険者組合に併設された酒場でヤケ酒を飲んでいたのだった。


「この前も聖堂騎士の奴にしてやられたしツイてないぜ」

「まぁダンジョン攻略の成果は早いもの勝ちだしな、じゃあおれはハモが待ってるし先に帰るぞ」

「はい、今日はありがとうございました、またよろしくお願いします」

「お疲れ様です!」


 ランと呼ばれる年配の運搬人は1杯だけ酒を飲むと、自身の取り分の中から酒代である銅貨3枚をテーブルに置き去っていった。


「おい聖堂騎士だぜ」

「あぁ・・・あれはレイバーの団だな」

「こりゃ6階層までしばらく稼ぎ悪くなるぜ」

「明日はどうする?」

「うーん・・・明日は8階層あたりで稼ぐか?」

「荷運び人はどうする?」

「ランさんじゃないとその階層は厳しいぞ?」

「ランさんには帰りに声をかけとくよ、無理だったら野良で探して7階層だな」

「7階か・・・明日からしばらく混みそうだな」

「仕方ないだろ、レイバーの団が出たんじゃよ」


 今日一日「三ツ星」と呼ばれて居るらしい冒険者グループにつくことで、少しだけダンジョンの事が分かって来た。

 ダンジョンは中の魔物を倒すと硬化を落として光の粒になり消える。

 たまに宝箱や別のアイテムがドロップする事があり、コボルトだと宝箱は傷を治すポーションで、アイテムの場合は金属屑になるようだ。

 金属屑は材質により価値が変わるけど、鉄貨よりは価値があるようだった。

 コボルトリーダーやコボルトキングはコボルトよりは価値が高いものが出やすいらしく多くの冒険者が狙う獲物らしい。

 ただのコボルトやリーダーは守る場所から移動しないけれど、キングとキングが指揮出来る範囲に居る魔物は行動が変わるので討伐難易度が跳ね上がるらしい。

 キングは1回討伐すると1月ほど出没しなくなるそうだ。

 ちなみに通常冒険者が探索するのは10階層までらしい。それは10階層を守るキングは徘徊せず、強さもそこまで出没する魔物とは一線を画しているそうで、それを討伐してそれ以降の階層に進めたのは約400年前聖女と7人の勇者達が居た頃まで、それ以降では、それ以外の聖女と勇者達が10階層の魔物を討伐し、再度10階層のキングが出没するまでの間に20階層まで探索した程度の事らしい。


 スコルがダンジョンの100階層の事まで書き記していたのは、400年前の聖女や7人の勇者の伝記でも読んだのかもしれない。日本語で書いていたのは他の人に知られてはまずい内容だったのかもしれないな。


 ん?あぁスコルが書き記していた勇者候補にライバーって奴いたな。

 アムール・ライバー。聖堂騎士枢機卿直轄団。銀髪でアイスブルーの瞳。白銀の剣と盾と鎧を纏う。珍しい水と風の2属性の魔法に適性がある。複合魔法による氷槍や氷嵐といった殺傷性の高い魔法が使える。別名「銀氷騎士」「氷の貴公子」「白髪鬼」「白い魔王」。だったよな。

 スコルの先導役としてダンジョン探索をしてるのかな?

 ん?確認しなくて良いのかって?大丈夫だよ、そんな暇があるなら明日は10階層まで行ってみようよ。そして倒せるなら10階層のオーガーキング倒しちゃお?

 あぁオーガーキングはこっちの言葉で直訳すると人食い巨人の王って意味ね。

 オーガー自体は村の周囲の森の深い場所にも居たからどんな奴か大体分かるんだ。目の辺りを光線でピーってすると脳が焼けて簡単に倒れてくれる簡単な敵だったよ。背が高いけど飛べる俺には関係ないしね、逆に目がデカいから当てやすくて倒すのが楽だったんだ。

 地面の下に居て罠張って待つタイプとか、水の中をずっと泳いでる奴とか、飛んでる小さい奴とか、木とか岩に擬態している奴とかの方が倒しにくいんだよ。

 ちなみに鈍重だけど硬い鱗や甲羅を持ってるタイプは簡単だったよ、動きが遅いから、同じ箇所に光線当てるの簡単だから、すぐに貫通出来るんだよね。

 大きくて素早いやつも居るけど、そういう奴はすぐに息切れするんだよね。へばった所を光線あててすぐにさようならだったよ。

 うん、浮遊と瞬間移動と光線の組み合わせって反則だよね。大体の魔物を「そこのMP!」状態に出来ちゃうんだよね。

 分からない人も居るんじゃないかって?大丈夫だよ、分からない人には「ggrks」って言えば良いんだよ。

 筆者と同類なら可愛い妖精ちゃんに罵られて「ブヒィ」と言って喜んでくれるし、知的な読者なら「興味深い」といってメガネクイクイしてる筈さ。

 メガネクイクイが分からない?ほらメガネが本体って感じの奴いるだろ?

 えっ?ミキさん?いやイメクラの女教師じゃなくて、ガリ勉タイプの方な?

 こんな作品見ている人に女教師タイプのセクシー美女が居る訳ないだろ?

 いや美女は居るかもしれないよ?でもセクシーはどうかな?可愛いタイプの美女は居るかもしれないけどさ。

 うん、マリさんみたいな感じ、何でこんな所にいるのって聞いたら、こういうの好きだからやってるんだーってあっけらかんと言っちゃう感じの可愛い美女は居ると思う。

 話脱線し過ぎ?すいません・・・。話を戻すとだな、つまりガリ勉優等生タイプの方の奴だよ。いつもは鼻の所でクイクイしているのに、こっちが論破しそうになると横のフレームの方でクイクイして真っ赤な顔するタイプ。

 えっ?会った事無いから分からない?いや俺も会った事は無いけどなんとなくそんなイメージなんだよ。記憶は共有しているのに、そういう感性的な所は共有じゃないのな。性自認の男女差なのかな?

 一緒じゃない方が楽しい?まぁそうだな・・・うん・・・いつも一緒だったらそれはそれで良いけど、違う所があってこうやって言い合える方が良いな。違うからパイタッチ楽しみに出来るんだしな。ってうるさいなぁっ!

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