第8話 ダンジョンの魔物

 辿り付いたダンジョンの入口は石造りの祠のようなものだった。祠の周囲は建築物が無かったけれど、冒険者相手とみられる移動屋台が囲んでいた。

 祠の前には冒険者らしい人達が並んで居た、冒険者は係員みたいな人に入場料を払って入るようだった。


 入っていく人は3〜6人で組になっていて、必ず荷物持ちらしい大きな背嚢を背負っている人が居た。

 入れ替わりに出てくる人が1組居たので見ると、大型の魔物の牙らしいものや、ただの曲がりくねった枝の様に見えるものがはみ出して居た、どうやらそういったものがダンジョンで得られる収穫物なのだろう。


 こっそりと先頭にいた集団についていくことに決め、その集団の荷物持ち係らしい年配の男の大きな背嚢の上にこっそりと俺は降りた。

 入場料は1人大銅貨1枚。銅貨1枚でパン1個。銅貨10枚で大銅貨1枚の価値なので日本円で1000円ぐらいの入場料という感じみたいだった。


「さぁ気を引き締めろよ」

「「「おうっ!」」」


 ダンジョンの中に入ると、杖とローブを付けたリーダーらしい男性が仲間に激を飛ばしていた。最前列に大きめの盾と棘つきの鉄球が先端についた鉄製らしい棒を持つ男と腕に固定された小さい盾と刺突剣を持つ男が立ち、リーダーと荷物持ちの男が並ぶというフォーメーションを組んで奥に歩いて行くようだった。

 荷物持ちの男も松明を火を付け手に持って居た。大きめの通路は不思議と石壁が微かに発光していて少し明るいけれど、狭い横道や壁が崩れた場所の奥の方は薄暗くて確認するには明かりが必要なようだった。

 このグルーブでは荷物持ちの青年は、小剣を腰に差し背嚢には小盾や小弓がくくりつけているので、雑用係兼臨時の戦闘係という役割も持っている様だった。


「あそこを右なのか?」

「あぁ、コボルトキングは広場の横穴から逃げていったらしい、今はこの奥の方を徘徊していると俺は踏んで居る」

「広場に戻るんじゃないのか? 他の奴らはそっちに言ったぞ?」

「だからこそ広場に戻らない可能性が高い、奴らは鼻が利くからな」

「なるほどなぁ」


 どうやらこのグループはコボルトキングという魔物の討伐を目的としているらしい。ちなみにコボルトキングは俺が付けた名前で、こっちの方の言葉を直訳すると犬顔の王という意味になる。

 このダンジョンの1階は直訳するとこちらの言葉で犬顔となる、俺がコボルトと呼んで居るモンスターが徘徊する迷路型の層になっていた。犬顔を3~6匹率いる、直訳すると犬まとめ役いう意味言葉で呼ばれている、俺がコボルトリーダーと呼んで居る奴と、そういったコボルトリーダーに率いられた集団をまとめているコボルトキングが居る階層らしい。

 コボルトキングに率いられた集団は、集団同士で連携を取り片方の集団と戦っている間に背後の隙をついて襲ってくるなど非常に厄介になるため、見つけ次第早急に駆除するのが推奨されているらしい。


 あぁ、いつもの読者サービスの言葉だよ、だからスルーでいいぞ?

 ん?どうやって知ったか読者に教えた方が良いんじゃないかって?それもそうだな。まぁそれは冒険者の互助組織の建物内にある書庫にこっそり入って本を読んだ事があるからだな。この体は頭が良いから目を通すだけですぐに内容が頭に入って来るんだよ。その内ダンジョンに入るつもりだったしな。

 ちなみに城の書庫とかも入って読み尽くしているぞ?だからこれはこういうものだという説明があっても、そういう所で得た知識を話しているので適当じゃないぞ?こんな感じの説明で良いか?

 うんOKね?ふふ・・・マーニも筆者の「ブヒィ」という歓喜の声が聞えるだろ。

 えっ?聞こえない?

 こんな妖精の事を書くんだから、作者は可愛い女の子だろうって?プッ! 無いわ〜、流石にそれは無いわ〜。キモデブニートが妖精たんデュフフと言いながら書いているに違いない。カシオミニを掛けても良いぜ。

 カシオミニなんてこの世界の無いだろうって?あぁ慣用句だから気にすんなって。


 小剣と小盾の男は斥候役を兼ねているらしく、横道がある所は先行して先の様子を確認し、ハンドサインで後ろを進む3人に指示を飛ばして居た。

 かなり慎重な立ち回りをしているけれど、それを誰も声を出さず淡々とこなしているので、かなりの慣れている事が見て取れた。


 先行していた斥候役が後ろの3人に今までと違うハンドサインを送ったあと戻って来た。各々が持つ武器を少し前に掲げ、荷物持ちも松明を消して剣を抜いたので、多分先に魔物がいて戦闘になるのだろう。


「右曲がりの50m先、4匹でリーダー1、既に察知されてる」

「俺がまず1匹に魔法を打って倒す、マツとオルは各々1匹倒せ、ランさんは無理しないでくれ、矢が勿体ないから弓は大丈夫だ、俺が2匹目への魔法に集中している時に抜けて来たら庇ってくれると助かる」

「「「了解」」」


 リーダーの男は荷物持ちの男に対し丁寧な言葉を使っていたので、もしかして運搬人は助っ人の様な存在かもしれない。


 グループから先行してコボルト達を見ると、冒険者達を警戒をしているようだけど、その場を動く様子は無いようだ。木製っぽい棍棒を構え、唸り声をあげてその場で待機しているのだ。

 この辺は村の近くに居た魔物たちが各々が乱雑に行動している状態とは随分と違う。何かしら上位の存在から指揮を受けているか行動制限の様なものがかかっているような感じだった。


 オルと呼ばれている盾とメイスを持った戦士が雄たけびをあげ飛び込み、その後ろからマツと呼ばれる刺突剣を持った斥候役が追従した。その後ろから杖を持ったローブ姿のリーダーがその後ろで土魔法の呪文を唱えていて、ランさんと呼ばれた運搬人が小剣と小盾を持ちその周囲を警戒していた。

 コボルトは3匹が前に居て、コボルトリーダーが背後で指揮を取ると言った陣形を取るようだった。

 戦士のオルが接敵する前に、冒険者のリーダーの土槍の魔法が前列右側のコボルトの顔に突き刺さった。コボルト達にしたら土槍は戦士オルの陰からいきなり飛んで来たのでコボルトには見えなかっただろう。

 ガツンという派手な音がして戦士のオルが正面のコボルトを盾で吹き飛ばし、その背後から迫っていた斥候のマツが前列左側のコボルトの胸に刺突剣を差して絶命させた。戦士のオルが吹き飛ばしたコボルトの頭部にメイスを振り下ろし止めを刺している間にリーダーの2発目の土槍が一瞬の事に戸惑っている背後のコボルトリーダーの胸部に突き刺さりってよろめめかせた所に斥候のマツが近づいて刺突剣を刺して止めを刺して戦闘は終了した。戦闘時間は1分もかけない早業だった。


「ガイの魔法は相変らず見事だな」

「ランさんに教わった戦術が無ければこんなに見事に当てられませんよ」

「いや、あれだけの威力の土術を短時間に2発撃てるのはお前の才能だよ」

「ありがとうございます」


 運搬人というと冒険者より下っぽいイメージだったけれど、このランさんと呼ばれている人は違うようだった。


「全部鉄貨だったぞ」

「ドロップは外れか」

「怪我無しが一番の報酬だぞ?」

「ランさんには叶いませんね」

「疲れて無いし次行こうぜ」

「じゃあ俺は先行するぞ」


 マツという斥候が先行すると、また全員がまた同じフォーメーションで無言になりついていくようになった。話し声や物音が斥候の邪魔になる事をよく理解しているのだろう。

 

 それにしても外の魔物はちゃんと死体が残るのに、ダンジョンでは魔物はゲームみたいに光の粒になって消えアイテムをドロップするんだな。しかも今回コボルト達から出て来たのは外で銅貨1つ下の価値の通貨として流通している鉄貨だった。

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