第5話 3大異世界チート
スコルの奴が最近俺の事をソールと呼び出した。俺は自分で名前を伝えた事は無いのでこれには驚いた。
ソールが妖精を指す言葉では無いようなので、たまたま偶然付けた名前が当たったのか、それとも何か特殊な力で知ったのかは分からない。
特殊な力が何かって?ほらあるだろ?異世界チートの定番能力である鑑定って奴がよ。鑑定と収納と身体強化は異世界チートの3大ツールだろ?
あぁ?回復と結界と瞬間移動が良いって?あぁ、保守的なマーニにはそれが良いかもな。
でも瞬間移動はマーニの力だけど結界と回復は俺の力だからな?
収納と身体強化は私の力だって?まぁそうなんだよなぁ。良いなぁ・・・好きな能力と実際持ってる力が逆な感じだよなぁ。
いいよ、俺が光でマーニが闇だもんな。仕方ないよ。
俺達が持ってる力の正体についてはラステア聖国の本聖堂の厳重に封印されてた書庫の中にあった文献で見つける事が出来た。
俺が持ってるのが聖女だけが使う事が出来るとされる光の力で、マーニが持っているのが魔王だけが持っているとされる闇の力だった。
俺が聖女を導くとされる光の妖精なら、マーニは魔王を導くとされる闇の妖魔という存在らしい。
妖魔というものが描かれた絵もあったけど、俺と見た目は変わらず、ただ俺が金髪碧眼白い肌なのに対し、銀髪紅眼黒い肌だった。色で同じなのは羽が同じ透明な事ぐらいのようだった。
能力だけじゃなく色的にも俺はマーニの方に憧れるんだよなぁ。なんかこう中二心にぐっとくるというかさ。第一あのババアは「見つけ」「守り」「導く」って言うのをマーニの方に言ってた可能性があるもんな。それなら俺達聖女らしいあの幼女じゃなく魔王の所に行くべきじゃね?と思う訳だよ。だって聖女が守るのあのブクブク太った教皇とその一派とか、王宮で美女を大量に侍らせてる国王とその一派なんだろ?守る価値あるのかって思うんだよな。
むしろ魔王様に蹂躙して頂いた方が良くねって思うわけだよ。村人達のような素朴な人は殺さないでねって魔王様を導くのが俺の役割じゃね?ってさ。読者のみんなも分かるよな?わかる人はハートと「(^O^)/ハイ」を宜しくな(ゲス顔)。
あれ?突っ込まねぇの?
もう良いって?諦めんなよっ!諦めたらそこで試合終了だぞっ!?もっと熱くなれよっ!
暑苦しいって・・・ごめんよ?うん・・・だってこの「守り」って任務つまんねぇんだもん。導くってのも気が乗らねぇし。
何マーニってあのロリっ子を可愛いと思ってんの?うーん俺はなんか羽の方がゾワッとするから嫌なんだよぉ。追いかけられると逃げたくなるんだ。ソールとスコルって名前だからかね。好みからいって、やっぱ俺がマーニでお前がソールなんじゃねえかって最近思うんだよな・・・。だって俺の方が攻撃的な性格で、マーニの方が保守的な性格だろ?
レイは攻撃的だろって?いやでもお前のスヴェルで無力化されちゃうじゃん。あくまでフォトンレーザーの効果だけみたいだしさ。闇を打ち払え無い光ってなんだよって思うんだ。
ん?慰めてくれるのか?ありがとよ。
本聖堂にあった資料によると、ババアはエッダというらしい。いやまた北欧神話関連の名前かよって思ったよ。
エッダは世界の中心にある実体の無い木で、ババアのような実体のある木を世界中にランダムに発生させて1体だけ妖精を産み、そして眠りにつくものらしい。
聖国の本聖堂の中心にある木もかつて妖精を産んだ木で、その時に妖精に導かれた女性が7人の勇者と共に妖魔に導かれた魔王を討伐したらしい。
教皇は聖女の血を引く末裔で、上位の聖職者の多くも聖女か7人の勇者の末裔である事が多いらしい。
というか聖女って勇者の誰かとは結婚しなかったんだなと思ったけれど、400年ぐらい前の出来事らしいので、その辺は良く分からなかった。
ちなみに妖精と妖魔は魔王を討伐した後に、いつの間にか居なくなっていたそうだ。
多分「見つけ」「守り」「導く」を終えて自由になったから去ったかもと思うけど、お役御免とばかりババアの本体に消された可能性はあると思う。
妖精自体はそれなりに発生している事も分かった。現在世界には火と水と風と土の妖精がいて、人に俺が魔法という、こっちの世界を日本の言葉で言葉で直訳すると、便利な力という意味の技術を伝えたらしい。
光の奇跡と闇の禁忌、光の魔法と闇の魔法に類する便利な力だと思うのだけれど、文献の言葉を直訳するとそのような言葉で表現されていた。
俺が使える光の回復と結界や、マーニが使える闇の収納と身体強化と瞬間移動は当時の聖女の旅の同行者から見聞きした聖女と魔王の力のついての記録から、存在を知って使えるようになった。
残念ながら鑑定に関する能力の記載は無かった。だからあるのか無いのかまでは不明だ。スコルが使えるならば光の奇跡を使える俺も習得できるのだと思うけど、試してみたけど使えはしなかった。
文献によると、闇の妖魔が発生する時は対になる光の妖精が必ず産まれるそうで、魔法が使えない女性の1人が妖精に導かれて光の魔法を習得し、妖魔に導かれて闇の魔法を習得した魔王と戦って来たらしい。
魔王は40から60年ぐらいの周期で発生しているらしく、現在前の魔王が討伐されてから50年目なので、光の妖精に導かれる女性を探していたそうだ。
10歳まで魔法が使えない女性は聖女になる可能性が高いとして、各国にある大聖堂で保護しているらしい。スコルは5歳だったのでまだ保護対象では無いけれど、10歳になっても魔法が使えなかったら王都の大聖堂に保護される事が決まっていたそうだ。
ちなみに各国の大聖堂に行って集められた女性たちを見たけど、スコルのように俺の隠蔽姿を目で追いかけられる人は居なかった。
女性達は18歳まで聖女候補として育てられたあと、王族や貴族や聖職者の妾になっていて、王宮に居た妾の多くが、もとは大聖堂に保護された女性だった。
その制度の良し悪しは俺には判断が付かない。50年前後で教会のステンドグラスのような魔王が発生する世界では、それに対抗する聖女候補の保護は必要なのだろう。
でも多くの女を侍らせ、政を全くしない国王や、ブクブク肥え太った教皇とその一族を見るに、こいつら居ないほうが良いよなとは思ってしまうのだ。
「ソール待ってぇ」
舌足らずが改善しつつある幼女が今日も俺を追いかけてくる。
最近これぐらいしか暇つぶしが無いんだよな。
それにしてもスコルはめげないよな。今日も俺を捕まえたあと入れておくためらしい麻袋のようなものを持って俺を追いかけて来ている。
羽音を立てると他の村人にも場所を察知されるので羽で風を受けて進む感じで移動をしていてそこまで速度は無い。それでもまだよちよち歩きのスコルでは追いつくことは無いので段々声は遠ざかっていく。
追いつかれてもマーニの瞬間移動で逃げられるから大丈夫だと思うけど、ギュッと捕まえられて俺の中身が口から出て来るグロ展開は御勘弁だしね。
スコルは俺が見えない時に、俺の姿らしいものを木の棒で土の地面に書いている。それを見ると絵は汚いけれど人型に4枚の羽がある俺の姿を描こうとしているのは分かる。
ソールと文字も書いて居るので、スコルが追いかけているものが、妖精だと村人にもハッキリと認識されていた。
スコルの両親も既に10歳になったらスコルとお別れするのを覚悟し始めていた。
幸いスコルの家は2歳上の兄と3歳下の妹が居るため1人娘を差し出すというような悲壮感は漂っては居ないようだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます