第3話

翌日の朝、いつも通りに水を用意して罠を確認しに行く。すると、ウサギが1匹ほど罠にかかっていた。ガイさんもちょうど罠を確認していたようで、どうやら鹿が掛かっていたようでほくほく顔をしていた。それから、僕が初めて獲物を捉えた記念として解体用のナイフをくれた。本人曰く、予備のものらしいが新品であることは一目見て分かったので、お礼を告げて、僕はその後「今度美味しいものを食べさせあげる!」と言いウサギを解体しに行くのだった。


ガイさんと別れて後悔したことがある。それは僕が解体の仕方を知らない事だった。これは大きな問題だと思ったが、どうしようもできなかったので、可哀想だと思いつつ暴れているウサギに対してウインドカッターを放って頭を落とした。それから首の方を下に向けて血が落ちるようにしてしばらく干す事にした。血が抜けたらそれを持って家に帰ろうと思ったのだ。


血が抜け切るまで待つ間、時間があったので他の動物などが寄り付かないように結界をつくり周囲を囲んでおくことにした。結界といっても私が今作れる結界は脆く、魔法で少し攻撃されたら壊れると思う。だが、無いよりは良いと思い展開した上で散策行くことにした。


すると料理に使えそうな野草をいくつか見つけたが、わらび餅には合わないだろうと思ったので諦めることにしたが、蜂の巣を見つけたので今度ハチミツを回収しに来ようと思った。ハチミツを回収する時は専用の魔法を考える必要がありそうなので、それまでに考えておくことにする。キノコも多くあったのだが、どれが食べれるのかなど全然わからなかったので持ち帰るのはやめておいた。触るだけで手が被れるものもあるため、持ち帰らなかったのだ。今度直接教えてもらいたいものだが、教えてもらえるだろうか?


それから、干していたウサギを回収して帰ることにする。ちょうど日が傾いて来ているようだった。家に帰ると父であるアベルがいて、「お父さん!みて。うさぎがとれたよ!ガイさんに罠を教えてもらったんだ」というと、喜んでくれて「おお、凄いぞ。よくやったフィル」と返してくれた。思ったよりも父は、僕のことを何とも思っていないわけではないようだ。意外だった。それから僕は、「罠で捕らえた獲物を持って帰ってくるのに木綿の布を使うからちょうだい!」と言う。すると父は、「そうか、それは必要だな」と言って持ってきてくれた。


しばらくして、母と兄たちが畑から帰ってくる。いつも思うが農作業はとても大変なようだった。何をしているか聞いても僕に教えてくれることはなかった。今まで気が付かなかったが、父は私に教えたそうにもじもじしているようで、今まで怖いイメージしか無かったのでどこか面白かった。ウサギを捕らえたことを伝えると、父は喜んでくれているようだが、母と兄たちはどこか複雑そうな顔をしていた。


ウサギの解体の仕方が分からなかったので、父に教わりながら母と兄たちが帰ってくる前に解体は終わっていた。料理は、母の役目なので、ウサギの肉を渡したら最後調理に関与することはできなかった。私が捕えたのだから僕に調理させて欲しいと思っているのだが、母は怖いのでやめておいた。なお、僕がとってきたうさぎ肉であるにも関わらず、私が食べれる量が1番少なかった。年齢的にしょうがないのかもしれないが、それでもあんまりだと思ってしまった。


食事が終わってから両親が明日の準備をしているときに兄たちがやってきて、「お前はあと10年以内に追い出されるんだ、せいぜい頑張るんだな」と、どこかの悪役のように言いたいことを言って去って行ってしまった。でも良い話が早く聞けて良かったと思っている。これで早くから準備ができると思ったからである。今後僕はどうしようか考え出すのであった。


とりあえず、やらなければならないことを考えてみる。お金を貯めること、外の世界の知識を知ること、それからその後どうするか?である。その後に関しては、納得がいく和菓子や料理が作りたいので、屋台のような感じでお店を持ちお金を稼ぎ、お店を持ちたいと思っている。外の世界を知ることと、お金に関しては、月2回程度行商人がやってきているので彼になんとかしてもらおうと思った。名前も知らないので、今度挨拶に行こうと思う。


行商人に売ろうと考えているものだが、捕らえた獲物の肉を干し肉にしたものと、皮を売ろうと思っている。蜂蜜なんかも売れるとは思うが、それはわらび餅に使う予定のため選択肢には入っていなかった。何よりも、和菓子は優先すべきところがあると思っている。それは、僕が好きで食べたいからだ。


余談だが、はちみつを回収するための魔法はもうできている。範囲内の温度を下げる魔法だ。凍らせないようにするのは難しかったが今ならうまく調整できると思う。蜂は温度が低いと動きが鈍くなるはずなので、その間に取るための魔法である。一応、周囲の温度を上げる事で蜂を倒してからという反対の魔法も使えるようになったのだが、可能であれば全滅させたりする事なく定期的にハチミツが欲しいのだ。


とりあえず、お金に関しては罠にかかった獲物を換金すればいいと思う。全てを換金しては、何が言われるかもしれないので3回に1回ぐらいのペースで持って帰ろうと思う。その際にも当然皮は売り物にするためにするのだが…。


今度ガイさんに毛皮の売り方や、綺麗な剥ぎ方をならえないかお願いしてみようと思う。父親からも一応教えてはもらったがあれでは、売り物にはならないと思ったからだ。それはあの解体方法は肉が食べれればいい人の解体方法だったからだ。他に売れそうなものも考えておかなければならないが、今すぐに思い浮かぶわけでもないので、森の中で見つけたときでいいかな?と思った。

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