第2話

魔法の練習を始めてからもう一年が経ったと思う。ようやくイメージ通りに色々な魔法が使えるようになっていた。この一年間、毎日魔力を使い切っていた、僕の魔力量はかなり多くなったと思う。今覚えている魔法では。一日中魔法を使っていないと魔力を使い切るのが難しい。因みにウィンドカッターという風の刃を飛ばす攻撃魔法も覚えているのだが、こちらは切れ味が良すぎて危険なため封印している。


魔法はイメージであり、イメージできる事であればどんな魔法でも生み出せると僕は考えているのだが、それなら植物に作用する魔法も作れるのでは?と最近気づいて、畑の一部野菜に大きくなれというイメージを持ち、魔力を流し込んでいる。実際大きくなっている気がしているので収穫が楽しみである。なお、僕が畑に近づいていると兄たちが怒るため、「お兄ちゃんごめんなさい〜」と言っていつも逃げ出している。


それから、魔物から逃げるくらいはできるだろうと思い、森に近づいたこともあったのだが、いつも大人誰かがどこからかこっちを見ているようで森に入ろうとすると注意を受けて入ることができていなかった。夜であれば忍び込むこともできたかも知らないが、この体では眠たくなる事、それから夜の山は危険なのでそんなことはしなかった。


加えて、食事だがメインなどはあまり変わりはなく、鳥やウサギなどのお肉も少しは食べる機会はあったのだが、硬くあまり美味しくはなかった。魔物のお肉も食べたのだが、こちらも固くあまり美味しいとは思わなかった。前世の品種改良の凄さを身をもってしった。やはり、僕が美味しいものを作るしかないと思った。


それから、魔力を込めていた野菜なのだが、それだけ大きくなっていて、両親たちも驚いていたが運が良かった程度にしか感じていないようだった。大きくなれ!としか願ってなかったからだろうか野菜の味は変わらず、あまり美味しくはなかった。今度は美味しくなれ!と魔力を込めながら魔力を込めてみたいと思っているのだが、成長するにつれ畑付近に近づくことを徐々に厳しく咎められるようになったので、それ以降は試すことができていなかった。


また、魔法の練習を続ける日々が過ぎていき5歳になった。やることが特になかったので魔法の練習ばかりしていたと思う。魔法を使うことは面白かったので、魔法という娯楽があったことは良かったと思う。そして両親から5歳になったので家の手伝いをするように言われた。とりあえず洗い物などに使う水を川から汲んでくるように言われた。水は魔法でも出せるが、一日に必要な量を全て出すとなれば普通は足りないし、他にも魔法は使うために現実的ではないようで、本来は川から汲んでくるようだった。


そんなことは知らず僕は、両親が用意した桶に水を入れておくよう言われていたので、魔法で必要量の水を出した後に森に行ってみることにした。それは、もし水を入れ終われば森で食べ物を探してくるように言われたからだ。今は、食べれそうなものを何でもいいから持って帰ってくればいいようだった。それで持ち帰ったもので、これは食べれるかどうか教えてくれるようだった。


森の中に入るとそこには、蕨があった。僕は、料理の中でも和菓子を1番よく作っていた。中でもわらび餅は僕が初めて作った和菓子である事、和菓子の中でも人気が高い事からよく使っていたお菓子だ。その元になる蕨が生えていることに気づいた。これはわらび餅を作らなくては!と思ったのだが、蕨一本から取れる蕨粉はごく少量であり、それこそが本当のわらび餅や蕨粉を高価たらしめている所以であった。僕は、魔力で蕨の根を風味良く、大きくなるように魔法をかけてみることにした。どれぐらい魔力を注いだだろうか?わからないが魔力を注いでいると、蕨が大きくなるのが目に見えてわかる。


上手くいったことが嬉しかったが、作る工程を考えると足りないものがいくつかあるのでどうにかして手に入れる方法を考えるのであった。とりあえず、わらび粉作成にあたって必要な木綿の布をもらえるように両親にお願いしなければならないなと思った。この世界で木綿は服によく使われているのでお願いすれば買ってもらえる範囲だと思う。だが、何もなく買ってもらうことはできないだろうことは容易に推測できたので、動物をとる罠をしかけて獲物を獲れるようになれば考えてくれるだろうか?と思い、この日は罠を仕掛けることと、他に見つけた蕨の根に魔法をかけていると夕方になったので帰ることにした。


家に帰ると両親は、必要な水を全て用意して森に行っていたに驚いているようだった。どうやら、将来的に必要な水を全て運べるようになっていたら良いと思っていたらしく、驚いていたらしい。それから兄たちは何故かはわからないがこちらを睨んできていた。因みに兄たちは、5歳になってから畑の手伝いをしているらしい。


翌日また水を魔法で必要なだけ出して、山の中に入る。昨日仕掛けた罠を確認するためだ。だが、どの罠にも動物はかかっていないようで、がっかりしたが罠の作り方や仕掛け方など習っていないから仕方ないのだろうと思うことにした。さらに、分かったことがある。それは、山は危険だと両親からは言われていたが少なくとも日中の間は、山の奥まで行かなければ安全のようだった。小さな子が入らないように村中の大人が、お互いの子がはいらないように確認していたようだった。


それから、また罠を仕掛け直そうと思っていると、猟師のガイさんに会った。ガイさんは村でも優秀な猟師という話を聞いたことがあったので、罠の作り方と仕掛け方を教わる事ができないか聞いてみることにした。するとガイさんは、快く承諾してくれて罠の作り方と仕掛ける場所などを教えてくれた。ガイさんは、僕と同じく三男だったようで自分を見ているようだったから快諾してくれたということがわかった。


しばらく時間が経って、作り方と仕掛ける場所をガイさんと一緒に考えたり、教わりながらしながら、夕暮れまでに5か所に仕掛けることができた。帰る時間になったので、ガイさんにお礼を言って帰ることにした。今度、美味しいものができたらガイさんに1番に食べさせてあげようと思った。

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