第4話

「邪魔が入りました」


ー念の為に聞くが4人向かって?君にしちゃ珍しいなー


「面目ない…変な男に邪魔されました…すみません、お願いがあるのですが…」


ーなんだね?ー


「今例のアパート近辺に居ます、周辺のカメラを全てこちらに送って貰えませんか?どれかに写っています」


ーわかった、しかしこのペナルティは…ー


「申し訳ございません、万事迅速に対処いたします」


ー心強いね、それと例の子供は必ず生かして私の所に連れてこいー


「承知しました」


ピッ


「迫田、この携帯から通報しておけ」

片桐はもうひとつのスマホを迫田に渡すと迫田は顎に手を当てながら

「この所轄は…東部署か…あそこには跳ね返りがいます、帳場がここに立つと面倒ですね」

片桐がスマホを操作しながら

「所詮は所轄の犬2人です、問題児なんですからこちらが首を抑えればいいんです…あ、もしもし…片桐です……」


片桐は電話をしながら車に戻った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


車に押し込んだん子供はしばらくは大泣きしていて話もできなかったが泣き疲れたのかそのまま寝入ってしまいも窓に寄りかかっている

弟村も事態を整理するためにハンドルを握りながら考えていた


ー絶対厄介事だ…クソ…どんな連中かもわからんがおそらくプロだ、状況が何もわからんが…狙いはこいつか。放り出すなら今だぞオレ……ー


そんな事をできるわけも無いが自分1人じゃ何もできないことに歯がゆさを感じるがそんな場合じゃないと理解し頭を切り替えた


時間的に道は空いていたので国道の左車線沿いに車を止めて沿道のコンビニへ、時間的に人も少なく品物もあまりない

カゴを手に取り飲み物や食べ物、フェイスタオルやお菓子も放り込み会計して車に戻る。


ーただ事じゃない…何かもう報道されているかもー

そう考えナビをTVに変え音を静かにして辛うじて聞こえるくらいに

ニュースは当たり障りのないスポーツニュースだったので他局に変えようした時、弟村の目に飛び込んできた内容はとんでもないモノだった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名城は1人ホテルの施設でトレーニングをした後に部屋に戻りシャワーを浴びて髪を乾かしていた

1人になる事は滅多にないので落ち着かず生活音が無い事がこんなに喪失感を産むと理解するとなぜだか少し恥ずかし様子

誤魔化す為に普段見ないTVをつけると公共放送を唄うチャンネルで他局に変えようとした時臨時ニュースに切り替わった


「番組の途中ですが臨時ニュースです、先程、東京三反田のアパートで女性が倒れていると通報があり警察官が駆けつけるとアパートの住人で「ササモト アヤ」さんが殺害されていたと発表がありました、現場付近で怪しい男が走って行ったと目撃情報があり警察はこの男の行方を追っているとの事です。?今防犯カメラの映像が届いたとの事です、ご覧下さい」


映し出されたのは薄暗い道で弟村が後ろを振り返りながら走っていく姿が映し出されていた


「!!何…これ?!」

名城は直ぐにスマホを取り松田に電話をかけた


「もしもし!!社長!大変な事が起きてます!今どちらでしょうか?!」


ーなーにー?可愛い女の子が僕を訪ねに…ー


「バカ言ってないで!ニュースみて!ニュース」


ーえ?ニュース?ちょっ…涼木ちゃ…ニュース…………?!なんだこれ!ー


「今どこです!」


ー僕のGPS見られるだろ?!いや、直ぐにホテル帰る!椿ちゃんはそのままニュース見てて!弟村には僕が電話する!ー


「分かりました!調べられることはこちらでも…」


ー頼んだ!ー


名城は濡れた髪も乾かさずに自身のPCの電源をつけてキーボードを叩いたのだった


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだい?!これ?それにこいつアンタの所の…」


「僕だってわかんないよ!僕帰るから!あ、これ支払いと足代ね!足りなきゃ勝手に僕の口座から抜いて!じゃあね!」


そう言うとポケットからゴムで束ねた万札を出して卓に叩きつけて店を出た後にタクシーを探しながらスマホで弟村に電話をかけた


「ったく…!アイツ!何やって……もしもし!弟村君!何やっ…」


ー社長?!なんすか!これ?!俺殺しなんてしてないです!信じ…ー


「バカ!分かってるよ!何があった?!」


ー飯食って車戻るときアパートから叫び声と物音がして子供が…それを追うように4人ほど男も…ー


「場所は?!分かる範囲でいい!」


ー品森区岡田山5丁目ら辺までしか…ー


「その辺のパーキングだな?!わかった!俺が何とかするから!直ぐに弟村くんはホテルに帰ってこい!その子供ってのは一緒なの?!」


ーはい…でも…迷惑かけ…ー


「大バカ!そんな事言ってる場合じゃない!ったく!」


ー大バカとはなんすか?!ー


「だってそうだろう!!また突っ込まなくていい事にクビ突っ込んだだろ!子供なんてほっときゃ…」


ー放っておけって言う気ですか?!ー


「僕はね!知らん他人より君の方が必要なんだ!だか…」


ー…そうやって!相変わらずっすね!子供ですよ!訳分かんねー大人に追いかけられて…見過ごせるか!見損なったよ!アンタを!もういい!当てにした俺が馬鹿だったわ!ー

語気を強めた弟村は電話を切った


「おい!弟村!弟……クソ!切りやがった!おーい!タクシー!」


スマホをしまいタクシーを止めて松田は乗り込みクライトンベイホテルへ向かったのだった


「クソ!こんな事言いたい為に電話した訳じゃ…」

自分の歯がゆさに苛立ち大きく舌打ちをすると

「おじさん誰?」

助手席の子供が弟村に話しかけた

「目が覚めたんなら言えよ」

「あんなに怒ってたら言うに言えない、おじさん誰?」

「おじ…?!2回も…誰でもいいだろ!」

弟村の返答が気に入らなかったのか子供はシートベルトボタンを探し外そうしていたので弟村は慌てて止めた

「何してんだ?!」

「お母さんに知らない人についてくなって言われてる、だから降りる」

「バカ言うなよ!お前…」

「バカじゃない!お前じゃない!」

「はぁ?」

「僕には名前がある!それにバカじゃない!!」

子供は車の中で叫び出した

弟村は耳を塞ぎながら

「わかった!わかった!俺が悪かったよ!バカって言って悪かった!」

「わーわー!」

「悪かったって!頼むから大人しくしてくれ!」

「…お母さん…お母さん…うわぁーん!」

「お母さん…間に合わなくてごめん」

「ヒッ…ヒック…お母さん…血が出てた…」

「お前のお母さんの仇は俺が取ってやる、とりあえずこれ食え、腹減ってるだろ?」

弟村がコンビニの袋を渡しても子供は無反応

「…食いたくなったら食え、答えられる範囲でいいから俺の質問に」

「知らない人とは喋らない、お母さんとの約束」

「俺は弟村 史、お前に何かをする気はない、君の名前は?なんて呼んだらいいか分からないと不便だ」

子供は袋の中の物を物色しながら

「…佐々本 正樹…」

「マサキ君か…難しいと思…」

「僕食べられるのない」

袋を弟村に突き返した

「好き嫌いが多いのか?喉も乾いてるだろ?」

「僕は炭酸は嫌い、お茶は麦茶じゃないとダメ、それにアンパンは食べられないしおにぎりはシーチキンじゃないとダメ」

「…勝手にしろ、車の出すぞ」

弟村はサイドブレーキを解除し車を発進させた

しばらく車を流していた時弟村が口を開いた

「なぁマサキ?」

タカシは窓の外を見ながら

「何?オジサン」

「…あの時何があった?」

「……」

「辛いのは分かる…でもマサキのことを俺も知らないとこの先どうするか決められない…なんでもいいから教えてくれ」

「おじさんに話すことなんかない!」

マサキが強めに反論した瞬間


「グゥゥゥゥ」


空腹を知らせる音が車内に響く


「お前腹減ってんだろ?」

「減ってない!」

「強がんなよ、食いたいもん言ってみ」

「……イス」

「??」

「……ライス」

「ライス?」

「オムライス…」

「オムライスか…わかった、ここから30分で行けるから連れてってやる」

「いいの?」

「子供が遠慮するな」

そういい弟村は来た道をUターンし車を走らせた


「おじさん?」

「…ったく……俺は…」

「さっきテレビでやってた、おじさん犯人だって、それに…」

「ん?」

「これ…」

マサキはどこからかスマホを出すとそれは松田から緊急用と弟村に渡した物だった

「おいおい…どこから引っ張り…それによくパスワード解いたな!」

「簡単だよ、この車の中にヒントがあると思った、フミトはちょろいし」

「フゥ〜〜〜…ちょろいね…ありがとうよ…嬉しくて涙が出るわ」

ハンドルを握る手に少し力が入るが深呼吸して抑える

「で?なんでパスワードわかった?」

「そこの箱の番号、それ日にちだよね?チョロそうなフミトでもさすがにそのままじゃない、逆さまにしてイニシャル入れた」

「へぇ…マサキは凄いな」

「これ…見て」

マサキが弟村にスマホの画面を見せるとそれはSNSで弟村の逃げる姿がバッチリ写っている写真に様々な書き込みがあった


ーこいつ人殺しかー


ー悪そうな顔ー


ー絶対やってるー


ー特定班はよー


見るに堪えない誹謗中傷もたくさんあった


「ふーん…俺悪モンじゃんか」

「だね、おじさんは悪い人なの?」

「そんなもんマサキが決めろ」

「なんでピストル持ってるの?」

「ナイショ」

「あのさ、おじさん?」

「お前…もう少し食いつけよ…何?」

「この写真の人誰?」

マサキは松田と名城、そして自分が写ってる写真と付き合っている彼女の不意の表情の写真を見せた

「マサキさあ?あんまり人のもんいじんなよ」

「ごめん…お母さんにも先生にも言われるんだ」

ちょっとしおらしくしたマサキ

「まぁ気にすんな、その写真は俺の上司と同僚、もう1枚は…彼女だ」

「へー美人だね、お母さんには負けるけど、このおじさん…ズボンのチャック開いてるよ?だっさ…」

「だらしねぇだろ?マサキはこういう大人になっちゃダメだぞ」

「ならないよ…かっこ悪い、上司って何?」

「俺より偉い人、だらしねぇしワガママだし、性格悪い…それにかっこ悪い…でも最高にカッコイイ上司だ」

「どういう意味?」

「性格鬼悪い癖になんだかんだ困った人は見過ごせなくて守ると決めたら全力で人を守る、それに爆発的に頭がいい」

「おじさんより?」

「当たり前だ、俺は…フツーのなんの取り柄も無い人間、この人は違う」

「そういいながらオジサンだって僕を助けてくれたじゃないか」

「それは…まぁいい、1つ大事な事言っとくぞ?俺はおじさんなんて言われる歳じゃねぇ」

少し語尾を強めに弟村は言った、どうやらオジサンが気に触ったようだ

「…ごめんなさい…フミト」

「おぉ、んじゃマサキよろしくな、着いたら教えてやるよ」



ーーーーーーーーーーーーーーー


バァン


1628号室のドアが勢いよく開き松田が帰ってきた


「待たせたね、何かわかった?」

名城はシャワーを浴びた後でガウン1枚でPCにかじりつき調べていた

「これと言ったことは…でも社長…これ」

そういい名城は画面を見せた

それはSNSで例の弟村の動画が拡散しており罵詈雑言やくだらない憶測が飛び交っていた

「…どいつもこいつも…クソが…この国の人間はいつもそうだ、寄ってたかって誰かを袋叩きにする…何も変わってない……椿ちゃん、風邪ひくからちゃんと着替えるんだ、そんな格好でいるんじゃない、あとは僕が調べる」

「…?!」

ハッとしたのか名城は少し乱れたガウンを直しそのままPC操作をしたが画面を松田が閉じた

「おそらく僕らまでバレるのは時間の問題だ…万が一君の今の姿を撮られたりしたら俺は我慢ならない」

「私気にしてませんから、手を離してください」

「そういう問題じゃない、この国の連中は弱いと思ったらなんでも根掘り葉掘り探って晒し者にしないと気が済まない…クズみたいな連中だ」

この言葉の重みを名城は思い出したのもあるが一瞬見えた松田の顔が見たことない顔と口調が少し変わっていたのに気が付き

「…わかりました…着替えてきます、社長…少し落ち着いてくだ…」

「…うん、それと今日はもう寝ていい、ここから忙しくなるから休める時に休んでおくんだ」

「私にだって!こんな時に寝てなんて…!」

「休める時に休む、いいか?これは命令だ、わかったね」


バタン!


松田が目も合わさず自室のベッドルームに入って姿を名城はとても不安な目で見つめていた


「さて…三反田の防犯カメラ映像から探すか…」

PCの電源をキーボードを凄い速さで叩いていくと松田個人の端末にはSNSからの通知が鳴りはじめていた



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「マサキ着いたぞ?」

弟村に気づかれないように泣いていたのか目を擦り必死で強がりながらマサキは弟村に目を向けた

「ここどこ?」

「篠地だ、すぐそこのオレンジの看板の店に行こう」

弟村は車から降りて助手席のドアを開けマサキを連れて店に向かう


「洋食屋 トキタ」

オレンジの看板と言ったがだいぶ色あせてオレンジには見えない

篠地は一昔、市場があったが老朽化が原因で移転し、場外にある飲食店もその時撤退したが今では外国人観光客相手に商売している店も少なくない

トキタはそのひとつだ

暖簾をくぐり引戸を開けると中には数人の客がいて調理服を着た初老の男性が弟村達を出迎えた

「やぁいらっしゃい、弟村さん。待ってたよ、そこのテーブルに座って。オムライスはどうする?」

「マサキの食べたいオムライスは赤いやつか?それとも茶色いやつ?」

「ケチャップがかかってるのがいい」

「オーケー、えっとじゃあ俺はデミでコイツのはケチャップで」

「あいよ〜」

返事をするとすぐに調理に入る

弟村はコップに水を注ぎマサキに渡す

「ここのオムライスは美味いぞ、期待していい」

「…ねぇ?こんなことしてていいの?お巡りさんが追っかけてくるんでしょ?」

「…マサキ…大きな声出すなよ、でもまぁここは大丈夫、それに曖昧な目撃情報でそこまで大それた動きはしない。警察ってそういうもんだ」

「フミトはお巡りさんの事よく知ってるの?」

弟村は水を口に含み答えた

「ゴク…ゴク…まぁな、キツイとは思うが何があった?1日何をしたか教えてくれ」

「…朝起きるとお母さんが朝ごはん作ってくれてたからそれ食べてる時お母さんは朝の仕事に言ったんだ。それで家で勉強して…ゲームしてお昼食べてまた勉強して…の繰り返し。僕学校行ってないから」

「学校嫌いか?」

「うん」

「そんだけ勉強してんだ、嫌なら無理やり行くもんでもないよ、それで?」

「…7時ごろかな…お母さんが帰ってきた時、僕テレビのクイズ見てたんだ、そしたらクイズはあたってたのに違う答えが見えたんだ」

「違う答え?」

「うん、数字の後に「でんわをして」って」

「それで?」

「お母さんのスマホがあったから電話かけちゃったんだ…そしたら男の人がでて…僕の事聞いてきた…お母さんに怒られて切ったけど…その後ご飯食べてお母さんが夜の仕事に行くから寝ようとした時…した時……」

「わかった、それ以上はいい、さっき言ってたその番号まだ覚えてるか?」

「うん」

「その番号ここに書いてくれ」

弟村ジャケット内ポケットから自身の名刺とペンを出してマサキに渡すと番号を書き出した

すると

「はいよ、お待ちどうさま、熱いから気をつけてね」

調理着の主人がオムライスをマサキに運んだ

「ほれ、食べたかったんだろ?食えよ」

弟村は宅にあったスプーンをマサキに渡すとナプキンに包まれた大きなスプーンを取り出しオムライスのケチャップの海にスプーンを入れてオムレツとチキンライスを口に放り込んだ

「美味しい!フミト美味しいよ!」

「だろ?取らねーから早く食えよ」

「あいよ、お待ち」

弟村にもデミグラスソースが沢山かかったオムライスが目の前に配膳されスプーンを入れる

弟村は目をつぶる小さくガッツポーズ

「うまいなぁ〜!」

「フミトのも貰っていい?」

「おぉ食え食え」

マサキは弟村のオムライスにスプーンを入れすくい口に入れた

「…モグ…モグ…美味しい〜!……お母さんともこうやって食べた…もう無理なんだよね…」

「…ほらさっさと食え」

マサキは大粒の涙を目に溜めた

おそらくまた泣いたらそれを認めることになると思ったのだろう

溜まった涙が頬をつたう

「フミト…美味しい…美味しい…」

必死で我慢をしている子供を見て何かを察したのか他の客は顔を背け、調理をしていた男性は厨房奥に引っ込んだ

「マサキ…我慢するな、泣きたければ泣け、別にカッコ悪くない。子供が我慢するな…俺がお前の母ちゃんの仇をとってやるから」

バァン!

マサキがスプーン宅に叩きつけた

「僕とお母さんが何したって言うんだ!いきなり家に来て!ピストル出して!お母さんが何か悪い事したの?!教えてよ!フミト!」

「……」

「教えてよ…教えてよ…ねぇ…」

溜まっていた涙がオムライスに垂れた

「冷めるぞ…食べろ…な」


まだ幼い子供は泣きながらスプーンをすすめたのだった



ーーーーーーーーーーーーーーーー


時計は3時をまわり名城は松田の寝室の前にいた。

口調が穏やかではない松田

しかしどう声をかけていいのか名城には分からない、ここまで怒りを表に出すのは珍しいからだ


自分の時もそうだった

いつも飄々としているのに線の内側にいる人間が痛めつけられた時、彼の声は底の見えない仄暗い氷穴から吹く風のように冷たい

名城も死線をくぐってた経験もあるがそういう時の松田は底が見えない不気味さがある



救われたから救いたい

私に居場所をくれた人が

その氷穴に落ちる前に



しかし自分に何が出来るかわからないからいつも心配だけしか出来ない自分に嫌気もさしていた


そのドアが開いた時



「まだ起きてたの?ダメだよ?寝ないと〜」


いつもの松田に戻っていると期待をしていたが全く無駄だった


部屋のドアを開けると名城と目が合い

「寝ろって言ったろ?」

あの氷穴の風のままだった

「眠れなくて…すみません、社長何かわかりました?」

「監視カメラの映像が加工された後があってね、元のデータを探ったけど監視カメラのサーバー管理が(株)東都警備保障。おそらくここが関わってる。こんな時間に申し訳ないけどここの会社を洗ってくれない?」

「はい…わかりました」

「頼んだよ」

松田は部屋の冷蔵庫のから水のペットボトルを取り出し飲み干した

「社長…」

「ん?何?」

「……私も弟村さんが心配です!だから私のこと…もっと頼ってください!なんか社長…怖いです…」

「…」

何も言わず部屋に戻りノートPCを持ってきて名城に見せた

「見なよ、もう弟村の過去を根掘り葉掘り振りまいてるやつがいる、オマケに俺の事も」

画面には弟村への誹謗中傷や経歴が載せられていた

「…?!何…これ!酷い!」

「見るに堪えないよね。この国の連中はいつもそうだ…俺はこいつらも陽の差す所に引きずり出す、しかし…ここまで調べるには時間が早すぎる…おそらく後ろには東都警備保障がいる、もっと監視カメラを調べるからこっちは頼んでいいかな?」

「もちろん、社長こそ少しお休み…」

名城が返答し終わる瞬間



「俺は俺の大切なモノを痛めつける奴は許さない」



一人称が違う松田の拳には力が入り名城は一瞬背筋が凍ったのだった…

















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