告白

「あのさ、言わなきゃいけないことがある。」

そういったのは私のほうなのに、言葉が詰まって出てこない。

鼻の奥がツンと痛くて、声を出したら泣いてしまう、それほどプレッシャーを感じていた。

何も言わない私にさすがに違和感を覚えた親友は振り返って私を見る。驚いた顔をしていた。いつもふざけているから、泣きそうな、真剣な顔をしているのが不思議だったらしい。

親友と目が合って覚悟が決まった。お母さんとの約束は破ることになるけど、私が親友として悩んだ結果だから。


「出会ったのは、高2の時だったね。」


「…ん?」

予想外だと顔に書いてある。少し気の抜けた顔に緊張が解けて、理解が追い付いていない親友に話を続ける。


「修学旅行で仲良くなって、一番遊ぶ友達になった。境遇が似てたから、相談がしやすくて、何でも話してたな。」


話がつかめない、そんな表情に見えた。


「本当は、まだ言うつもりはなかったんだけどね。」


「うん」


「背中、痛いって言ってたでしょ?病院、行ったんだ、ちゃんと。」


「うん」


「ガン、なんだって。」


驚いた、ではすまない顔だ。この表情を表す語彙は私にはない。


「もう、治らないんだって。」


飲み込み切れない、受け入れられない、そんな感じだろう。


「うそ、でしょう、…ねえ!嘘って言ってよ!いつもみたいに、笑って、「ごめんね」


…しばらくの沈黙を破ったのは親友だった。


「どれくらい、なの。残ってる時間」


「長くて一年。最短で、…三か月。」

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3ヶ月 琴寄 ひかる @hkr51047

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