親友
後悔したくないから。
ついこの間まで、同僚が生理的に無理だから仕事に行きたくないだの、背中が痛くて動けないだの、毎日のように弱音を吐いていた彼女は、何か吹っ切れたような顔で、
「仕事、やめてきた」
といった。
曇りのない笑顔、見るのはいつぶりだろうか。
「まあ、あんたがいいならいいよ」
口ではそう言った。応援しているふりをした。彼女にはいいひとだと思ってほしいから。
それでも心の中では応援できなかった。私は夢をあきらめた人間だから。彼女のように大っぴらに夢を語れたことはないから。だから、夢を追う選択をした彼女が、うらやましくて、妬ましくて、。
少し意地悪をしたくなった。
「成功する保証もないのに」
不意だった。しまったと、思ったのに
「だからだよ」
彼女は、屈託のない笑顔で夢を語り続けるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます