第7話

物心ついた頃から僕はみんなに囁かれていた。王家の証が弱いと。だから王家の親戚の青い瞳の子が婚約者に選ばれた。


そんな自分が嫌いで小さい頃から努力した。今では見た目以外ではそれなりに認め出した。もうすぐ成人する。そうしたら父の仕事を引き継ぐことになる。だけど最近この国は斜陽だ。自分が王にたってどうにかしなくては。

そう思いながら庭を見ると無邪気に微笑む妹達がいる。


王子は気づかない。そのお茶会に来た令嬢達がどんな思いでその席に座っているのか。

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なんてこと。リーシャが王妃になっていればこんなことにはならずに済んだのに。

かつてよく一緒に遊んだ友達はあの二人のせいで…


「お母様」


不安そうに呟く娘

「ダメでしたわ。こちらからのアピールに耳を貸してくださらなかったわ」


「そんなに自分をせめなくてよいのよ。こうなることなんてわかっていたもの。謝るのは止められなかった私たちだわ」


「そう思ってるなら協力してくださいますよね?」


「な、誰です!急に来るなんて」


「わかりませんか?」


「そんなのわかるわけないじゃない」


「それじゃあこれでどうです?」


僕は自分の姿をもとに戻す。


「な、その髪の色って」


「貴方まさか…」


「どうもこんにちは。牢屋で生まれ石を投げられ森に捨てられたリーシャの娘です。」


その言葉に娘の方はどういうこと?という顔をする。

そして母の方は泣きながら自分に謝ってきた。


「別に謝って欲しいわけじゃありません。どうします?このままだとこの国は滅びますけど、僕なら救える。娘のために僕に協力しませんか?」


「協力って…」


「別に難しいことではありません。もうすぐ時がくれば王都にある貴族たちは選択を迫られる。ただその時に最初に私の人家になると宣言すればいいだけです。」


「………なぜ私に」


「僕は母が好きなんですよ。だからあなたのところに来たんです」


その言葉を聞いて母は覚悟を決める。


「わかりました。わが公爵家は貴方様のそばにつきます。夫も必ず私が説得します」


その言葉にふっと笑その顔はリーシャの面影があった。

契約書を書くとその子はまた一瞬でどこかに消えてしまった。

その後娘に当時の事を話すと娘も国王夫妻に怒ってくれた。

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