第5話

16才になりだし、ある絵本をばら撒いた。

それは悪女の娘の絵本

どのように感じたのかの感情を描いた絵本で、夫の為に小さい頃から頑張ってきた令嬢が、夫の裏切りに会う。つまり浮気だ。

そしてもちろん浮気された妻は浮気相手に怒るのも当然。だが、結局全て悪いのは彼女になってしまう話。夫もなんの反省もせず、浮気相手も反省しない。そしてなんの罪もないその子供も罪人のように扱われて、なぜ?と訴える絵本。つまり遠回しに今の国王陛下夫妻が悪いじゃないかというおちに辿り着くようにできている。

これをいろんな商人、詩人、歌にして、いろんなところにばら撒いた。そして王都に広まるのも必然。情報が入った時には時すでに遅しの状態だ。

意外にもあの絵本は人気がある。特に女性が読み。同情の嵐だとか。妻から夫に話が行き今では皆疑いの目で国王夫妻を見つめる。

この絵本は隣国でも読まれてるらしい。なんでも新しい視点での絵本だとか…


一方でミカエリス



「おはようございます。アイリス様」


「ふわ〜おはよう!ミカエリス」

ギュゥ!


「はしたないですよ。王女なのですからもっと落ち着いてください」


「えーいいじゃん。ミカエリスは特別だもん!」


そう言って上目遣いで馴れ馴れしく、私に触ってこようとする主人の敵に殺気が出ないように注意する。執事として下っ端から始めるのかと思えば、採用された次のにはこの女の側近になれた。


「もう!私がパパにお願いしたから王女の側近にまだ慣れたんだからね?」


いけない。また殺気が

ニコ


「そうですね。」


「わかったら〜抱っこー」


「……わかりました」


王女の隙をつき廊下を歩く。向こうからは唯一の仲間が歩いてくる。


「そちらはどうです?」


「どうも何も相手は大人の女性ですから。そちらより大変ですよ。つねに欲ある瞳で見つめられて、、あれが主人ならどんなに嬉しいことか」


「そうでもないですよ。どうやら王女様はいろんな殿方に愛を振りまいておいでだ。」


「子供は親に似ますから」


「「ふふふふ」」


ここ数年で王妃と娘のことがわかってきた。二人ともイケメン好きで、王妃は隠れて何人かの男があることがわかっている。そして、アイリン王女は気さくに仲良くしましょと、自分の立場をいいことに婚約者のいるいろんな殿方にいいよっていて、口には言わないが女性陣から苦情がある。こんな人間達のせいで主人が悲しい思いをしたと思うとサッサと殺してしまいたいが、勝手に動いて嫌われたくない。自分達は悪魔でそれなりに強いが主人に嫌われるのだけは嫌なのだ。



他の人が見たらただ通り過ぎただけに見えるだろう一瞬の時間

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