3. 『れんかの』
3. 『れんかの』
衝撃的な暴露でボクは頭が混乱する。いや……別に偏見とかそういうのじゃなくてね?まさか憧れの葵ちゃんが女の子が好きっていう事実に驚いたわけで……
今は多様性の時代だし、別に女の子を好きになるのも全然ありだと思うけど……
ちなみにボクは別に男の子が好きなわけじゃない。普通に女の子が好きだ。そして女の子になるのも好きなだけだ。
「実はね。私、結構学校では男子から人気あるんだ。でもさ……私と付き合ってるステータスとか、ヤりたいだけって下心見え見えでさ……男の子のこと好きじゃなくなったの」
「そっそうなんだ……」
まぁ……こんな美少女が彼女になったら男子は皆そう思うよね……陰キャでオタクのボクだって少しくらいはそういうことを思ったりするけど……
「それで……それからずっとどうしても男の子のこと好きになれなくて、もしかして私って女の子が好きなのかもしれないって思って、さすがに友達には言えないしさ?今日試しにレンタル彼女サービスを使ってみたんだ。そしたら相手が来なかったんだけどねw」
つまり葵ちゃんは『レンタル彼女』を利用して、女の子を好きになるかどうか確かめてたってことか。なんだ……別に本当に女の子が好きかはまだ分からないのか。でも……恋に真面目な子なんだな。そんなところも……可愛い。
「ごめんね変な話しちゃって。でも……私本気だから。本当に恋愛したいの……自分の気持ちを確かめたいって思ってる」
「……なんでそれを私に?今日初めて会ったばかりだし、隠しててもいいのに……」
「うん。なんか不思議と話しちゃった。雪姫ちゃんは話しやすいし、それに雪姫ちゃんなら信用できるかなって」
「え?」
……葵ちゃんはこれからレンタル彼女のサービスを継続して利用するつもりなんだろうか……
確かにボクも葵ちゃんとは話しやすいし、憧れの彼女についてもっと知りたい。そんな想いが頭を過る。そして不思議と口から言葉を紡いでいた。
「なら……わっ……私と『レンタル彼女』やってみる?」
「え……」
「あっいやその……葵ちゃんが嫌じゃなかったら……その……」
ボクは何を言っているんだ?こんな提案、彼女に迷惑なだけだろう。しかもボクは男の子なんだぞ?でもボクの口は止まらなかった。ただただ……彼女のことが知りたいという気持ちだけが大きくなっていた。
「雪姫ちゃんも……女の子が好きなの?」
「あっいや違くて!そういう訳じゃないんだけど!私……友達いなくて……その仲良くなりたいって……思って。それに週末だけ!週末だけの約束。それなら葵ちゃんもお金がかからないでしょ?それに……まだ葵ちゃんが女の子を好きか分からないし、私は友達ができるし……」
「そっそうだね。雪姫ちゃんは私のこと友達として、私は雪姫ちゃんを彼女として。でも本当にいいの?迷惑じゃない?それに……私のこと変な子だと思わないの?」
「変だなんて全然!恋愛に真面目なんだなって思ったよ!それに……私も……また葵ちゃんに会いたいし……」
「本当に?嬉しい……ありがとう雪姫ちゃん!」
そして別れる時、連絡先を交換し次の週末の約束もした。こうしてボクは週末だけ『白井雪姫』として、葵ちゃんの友達兼レンタル彼女になった。
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