4. Win-Winな関係?
4. Win-Winな関係?
あれから家に帰り今はベッドに寝転びただ天井を見上げている。
……本当……なんだよね。本当にボクはあの藤咲さん……葵ちゃんと連絡先を交換できたんだよね?信じられないけど、夢じゃない。
ドキドキしながらスマホの画面を確認するとそこには登録した『藤咲葵』の文字。それを眺めていると突然スマホの着信が鳴る。そこには葵ちゃんからのメッセージが書かれていた。
『早速メッセージ送っちゃった。雪姫ちゃん!今日はありがと。嫌だったらすぐに言ってね?とりあえずこれからよろしく。週末会えるの楽しみにしてるね♪』
あぁ……本当に現実だったんだ……そう思うと嬉しさが込み上げてくる。すぐに返信をする。
『こちらこそよろしく。私も週末楽しみだよ♪』
『うん♪それじゃあまた週末ね~♪お休みなさい』
『おやすみなさい♪』
……でも良いのかな。こんな夢みたいな話……でも彼女のことはもっと知りたいし、ボクも彼女に会いたい。だからこれはお互いWin-Winの関係なんだ。
「ねぇおにぃ!聞こえてる?」
「わっ!ノックくらいしてよ!」
「したよ何度も」
そこには妹の真凛が立っていた。全く気づかなかった……真凛は高校1年生で少し茶髪のボブヘアーで、学校ではオシャレに敏感で、クラスでも目立つ存在だと聞く。まぁ違う高校に通っているんだけどね。そんな真凛がボクのことをジト目で睨んでいる。
「はぁ……また女の子の格好してる……学校じゃ暗い、家では女装って……」
「いいだろ別に!」
真凛は呆れたようにため息をつくが、これがボクの日常だ。仕方ないんだ。だから放っておいてほしい……
「ご飯できてるって。莉桜姉が呼んでるよ?」
「あ。すぐ行く」
ボクは着替えて下に降りると莉桜姉さんがボクを待っていた。莉桜姉さんはボクの2つ年上で大学生だ。綺麗で料理も上手……それに優しくて自慢の姉だ。
「あら?着替えちゃったの?」
「え?あっうん」
「残念。可愛いのに~」
莉桜姉さんはいつも優しい笑顔でボクを見守ってくれる。ボクが女装をしていてもバカにするどころか、可愛いと褒めてくれる。本当に自慢の姉だ。
ボクの両親は仕事の関係で海外に行っている。今は姉と妹と3人暮らしだ。
「勇輝。そう言えば今日は遅かったね?」
「うん……ちょっと喫茶店に寄ってて……」
「そう?なら良いけど。でもあまり遅くなっちゃダメだよ?」
「うん。気をつけるよ」
「莉桜姉はおにぃに甘すぎ」
「そんなことないわよ?」
確かにボクはいつも莉桜姉さんに甘やかされている。今まで1度も怒られたことがないし、むしろいつもボクのことを心配してくれている。
「大体。おにぃが女装してても何も言わないし……」
「それは……まぁ勇輝の自由だしね?それに可愛いじゃない?」
「可愛いとかの問題じゃないんだけど……」
「ずっと引きこもってた勇輝が、こうして外に出掛けてることがお姉ちゃんにとっては嬉しいの。それに……なんかもう1人妹が出来たみたいだしね?」
そう言って笑う莉桜姉さん。こんなボクでも優しく接してくれるし、いつも見守ってくれる。
「はぁ……まぁ別にいいけど。でも絶対他の人にはバレないでよ?実の兄が女装が趣味とかバレたら嫌でしょ?」
「うっうん。気を付けるよ」
確かに……それはその通りだ。真凛には認めて貰えてないけど、そんな家族に支えられながらボクは毎日生活を送っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます