7話 あるいは最悪の日
「そーいえばお前引っ越したんだっけ」
「ええ。前の家は家族を思い出してしまって、家に帰るたびにさみしい思いをするのもつらかったので」
「そうか」
「そういうあなたは?」
「俺は今も変わらずな。引っ越しも面倒くさいし。」
「そうですか」
お互いに少しぎこちなく始めた会話だったが、今では昔のように話せるようになっていた。
「この後、あなたの家にお邪魔してもいいですか?」
「は?」
久々の会話にようやくペースを取り戻しつつあった
「べつにいいでしょう?昔はよくお邪魔していたじゃないですか」
「しかしな…」
「まあいいじゃないですか。積もる話もあることですし」
「まあ…いいけど…」
こうして、流されるように
その背後を付けてくる少女のことなど、まったく気が付かないまま
ーーーーー
「ここは変わらないですね。」
「そんなに簡単にかわらねえよ」
くだらないことを話しながらバスに乗り換え、彼らは
「懐かしいですね」
「ここで話すのもあれだし、入らないか?」
「そうですね。では
「お姉さま!!!」
聞き覚えのある声が響いた
「
まったく予想だにしなかった呼びかけに、
「
「それは私のセリフです!お姉さま?お姉さまこそなぜここにいるんですか?」
「それは…」
「お姉さま言ってましたよね。自分より弱い人を好きにはなれないって!だから!だから私はお姉さまより強くなれるように…なのに、なんでそんな男に!!」
しかしそれも無理からぬことである。
梓の目から見れば、突然誰ともわからぬ男に自身の思い人たる
「あなたさえ…あなたさえいなければ…」
思い人を取られ錯乱した
「やめなさい!
しかし
「消えてください!」
この住宅街で能力を使うとは想像していなかった
「ふっざけろぉ!!」
叫びながら
ペンダントからほとばしる閃光は、正確に
「あなた、まさか…あの時の
「悪いが少し寝ててくれ!」
梓が
「
「大丈夫だ、威力は絞った。気絶してるだけだ」
「あなたはよかったのですか?こんな住宅街の真ん中で能力を使って」
「この辺はほとんど人も住んでない旧市街だしこの辺の防犯カメラはここをみてない。それに強力な魔力探知妨害を展開した。俺が全力を出しても探知されない優れものだぜ。だから誰も俺たちを見ていないし、気づいてもいないだろう」
「そうですか。ならいいのですが」
説明する
「しかし、こいつさすがにここに放置しておくわけにもいかないよな」
「そうですね、少し癪ですがこの子も一緒にお邪魔できますか?この子がつけてきたのは、元をたどれば私のせいなので。心苦しいのですが」
「この件は俺のせいでもあるからな。かまわんさ」
「ありがとうございます」
「きにすんな」
そうして2人は、気絶した1人を抱えながら
音速の幽霊 音速のとまと @onnsokutomato
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。音速の幽霊の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます