第3話:あはは、レベルひく〜。

僕と高坂さんが付き合うようになったからって僕は、まだ彼女に遠慮があった。

そんなにすぐに彼氏ズラなんてできない。

こういうのは少しづつお互いの気持ちを育んで行くんだよな。

だから急がなくていいんだ。


僕と高坂さんの家は、逆方向だから、一緒に登校って訳にはいかない。

会えるのは学校に着いてから・・・。


あきらかに気持ちは昨日とは違う。

もう僕たちは付き合ってるんだから・・・そう思うと高坂さんの朝の挨拶が

爽やかに感じる。


「おはよう小鳥遊たかなしくん」

「昨日はありがとう・・・とっても楽しかった」

「お好み焼きも美味しかったし・・・また連れてってくれる?」


「いいよ、行きたいって思ったらいつでも言って、連れてってあげるから」


って、教室であまり高坂さんと仲良くしすぎるとクラスの連中に怪しまれて

絶対、冷やかされるに決まってる。

まあ、別に知られたっていいんだけど・・・。

僕は好きな人とどこでもイチャついてたんだ。


登校時一緒ってのは無理だけど下校時くらいは途中まで一緒に帰りたいよね。

僕と高坂さんが仲良く一緒に帰ってる姿は、たぶんクラスの誰かに見られてる

と思う。

いいんだ、ついに高坂さんをゲットしたんだから・・・。


「あのさ、高坂さん・・・週末一緒に映画観に行かない?」


「うんいいよ、それって付き合い始めて初めてのデートだね」


「二度目のデートだよ・・・一度目は、お好み焼き屋「福ちゃん」へ行った日ね」

「あの日が一度目・・・だから次は二度目のデートだ」


「さうか、そうだね、最初のデートは私にとっては忘れられないデートになった

から・・・要平は私の王子様だよ・・・一生忘れないと思う」


「王子様って・・・僕もそうかな・・・まさか付き合ってくれるなんて思って

なかったから・・・」


「もし、って言い出したらキリがないけど告白した人にフッてくれてありがとう

って言ってあげたい」


「運命の分岐点だね」


「で?・・・今、なに上映してるの?・・・映画?」


「え〜と・・・怪獣映画にスパイ映画・・・あとは和製中国の時代劇」

「恋愛映画にラブコメもあるしサスペンスにホラー映画も、いろいろやってる」


「そう、で?なにが小鳥遊くんのお勧めなの?」


「それなんだよな・・・迷うんだよね」

「逆に高坂さんはなにがいい?」


「ホラー映画・・・」


「うそ、ホラー映画が好きなんだ・・・意外?」


「そう〜お?・・・女の子はホラー映画、好きな子けっこういるよ」


「僕はダメだ・・・ホラーなんか観に行ったら夢に出てくるよ」


「ん〜じゃ〜小鳥遊くんが決めて」


「え〜なにがいいかな?」


「って言うか・・・小鳥遊たかなしくん・・・私のこと高坂さんじゃなくて

優奈って呼んで?


「あ〜分かった・・・高坂さんのほうが呼びなれてるから・・・それにまだ

名前で呼んでいいほど、その〜・・・」


「もう彼女だよ・・・一度目のデートの日から私たち付き合ってるんだよ」

「自分の彼女のこと苗字で呼んでるなんて他人行儀だよ」


「じゃ〜優奈ちゃんって呼んでも?」


「うん・・・優奈でもいいし」


「じゃ〜優奈で・・・」

「それなら優奈も僕のこと小鳥遊さんじゃなくて・・・」


要平ようへいくんって呼ぶから・・・」


「君が優奈なら僕のことも要平って呼び捨てでいいじゃん」


「分かった・・・」

「要平」


「なに?」


「呼んでみただけ・・・ぐふふ」


「ああ、そうなんだ・・・あ、そうだ・・・優奈?」


「なに?」


「呼んでみただけ・・・」


「あはは、レベルひく〜」


「いやいや言い出しっぺは優奈だからね」


この会話を他人が見て聞いてたら、なんてアホらしいやりとりって思っただろうね。

まあ、言って見ればノロケって言えるのかも。


なんとなくだけど昨日とまた違って今日1日でかなり優奈と打ち解けた気がする。

彼女に対す遠慮ってのも、いっきに払拭された。


で結局、映画は恋愛映画を観に行くことに決まった。

まあ、付き合ってるカップルには選択として一番無難かもしれない。


それにしても優奈がホラー好きと知って僕は少し驚いた。

やっぱり付き合ってみないと分からない。

なんか優しそうな性格してて意外と怖いもの好きだったとは・・・。


そこは僕とは違うな。

僕はホラーは苦手だからスルー・・・なんでホラーなんか作るのか意味が

分かんないし理解できない。


もし優奈と結婚して家で毎晩ホラー映画、観られたらどうしよう。

付き合い始めたばっかで先が見えないのに結婚って・・・そんな先のこと・・・。


つづく。





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