第3話
「ちょい津木華、面貸しな」
「……へい」
ある日普通に学校に行くと、何故かクラスの女子生徒からそんなお声がかかった。なんか怖い。
きちんと面識あるわけじゃないけど、この人そういうキャラだっけ? 勝手に委員長系キャラって考えてた自分を恥じたいレベルで怖いですけど。
取り敢えずついていくと階段の踊り場。若干人の通りもあるし、私刑的な何かじゃなさそうなことには安堵……したら何か察したのか凄まれた。怖い。
「え、えーっと
「……その喋り方やめてくんない?」
「いや怖い人……じゃなくて目上の人には敬語を使えって餓鬼の頃に習ったもんで」
「同級生なんですけど」
それに顔面偏差値高い人と話すと鳥肌が立つんだよね。
佐久間さんはスマホをいじる手を一旦止めて、大きなため息を一つ吐いた。
「ところで今日、陽織に会った?」
「ヒオリ……?」
「白露陽織……アンタら小中も一緒なんでしょ? どうして覚えてないのよ」
「へぇー、そうだったんだ――あ、すみません単純に知りませんでしただから凄まないで」
下の名前ヒオリって言うんだ……奇麗な音ね。
というか小中も同じだったんだ。意外……でもないか? 殆ど毎度会うし。するとなんだ。白露さんの家は僕の通学路の途中にある可能性があるのか。だから会話相手に選ばれた説あるねコレ。
「で、白露さんとは今日は会ってないよ」
「はぁ!?」
「なんで凄まれてるの?」
「アンタが来てるのに陽織が来てないからよ」
「え、それ関係なくない?」
「本気で言ってるの?」
「イエス。というか何? 白露さんいないと僕は学校来ちゃいけない的なルールでもあったの?」
「そういうわけじゃないけど……というかそんなピンポイントなルール適用してどうするのよ」
「白露さんを休ませて僕の内申点を限りなく最低まで落とすとか?」
「陰湿! そんなことしないわよ!」
されても困るんですけど。
「じゃあなぜ白露さん関連で僕呼び出されたし」
「……はぁ」
「理不尽な溜息が僕を襲う」
「アンタはいつから〇ケモンになったのよ」
「朝は頭回んないから実質ボケモンよ」
「ちょっと何言ってるのか本気でわからないわね」
「意味不明なボケが僕を襲う」
「ボケじゃないわよツッコミよ……はぁ。無駄に疲れる」
「大丈夫?」
「誰のせいだと……」
僕なんだって。理由は知らん。
「じゃ、話それだけなら僕は失礼していい?」
「……どーぞ」
なんで若干投げやりなんですかね。
その後、教室に行って白露さんが座ってた席……と思われる辺りをみれば、確かに白露さんの姿はなかった。まだ来てないのだろう。
んー、さっきは謎に責められたような感じだったけど、白露さんも朝に弱いらしいし、ふつーに寝坊したんじゃないのかねー。今日のように会わない日もあるし。
……まあ、今日はいつもとは違う道を通ったから、会わなくて当然ともいえるけど。
そんなことを考えていると、凄い勢いで教室の戸が開かれた。驚いて顔を向ければ、肩で息をしている白露さん。何故か僕の方を見て驚いてるようだけど……いや怖いって。目ぇ血走ってるって。
自分の席についた白露さんは、何故か時折こちらに目を向けながら佐久間さん達と何かを相談していた。
いや、僕を見てるは自意識過剰か。さ、今日も一日頑張りますか。
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