第2話

 朝は苦手である。

 目覚ましがなければ無限に……それこそ一日中寝てられるんじゃないかというくらいには朝に弱い。自覚した当初は寝不足かと色々試したけど……どうやらそういう類ではなく、ただ単純に朝に弱いらしい。両親も比較的夜型だから、遺伝かな?


「うし……今日は起きれた」


 僕を叩き起こしてくれたアラームは五時半過ぎを指している。いつものアラームより三十分は早い。しかし今日こそは、早く起きたい理由もあったので起きれたことを喜ばしく思う。


 母に怪訝な顔をされながらも、いつもより早い時間に家を出る。これで白露さんにあったらある種のホラーではなかろうか。

 そんなことを考えながらいつもは黒さんと合流する丁字路の近くまできた。そしてだけど三十分早いとそれはそれで生徒数がまばらだと知った。普段と何ら変わらないような気もする。まあ聞くところによれば電車通学が多いようだし、ピーク時間の前なのだろうけど。


「――あ、おはよう津木華君!」

「……」


 ――なんでいるの?

 そう口に出さなかっただけ褒めてほしい。

 普段通りに隣に並んだ白露さんは「今日は早いんだね」と何事もなかったように聞いてくる。


「まあ前にガチ寝坊したし、少し反省したからねぇ」

「そういえばそんなこともあったね……」


 まあそれでも数日は寝過ごしてるけど。そして毎日のように白露さんと通学してるけど。


「私もあれから寝過ごさないよう色々やってるんだよね」


 あれから数日経ちますが毎度通学時間合ってますよね。


「へー、参考までにどんなことやってるか聞いていい?」

「うん。とはいっても津木華君もやってるんじゃない? アラームを何分かおきに鳴るよう設定したりとか」

「あーやるやる。大抵最初のほうのアラームで起きれるけど、まだ幾つか鳴るからいーやって二度寝しちゃうんだ」

「わかる! それで寝過ごしちゃったりとか」

「わかりみが深い」


 それから学校に着くまで寝起きのあるあるで少し白露さんと盛り上がった。もしや白露さんも朝が弱いタイプなのかもと親近感が湧いて……来ることもなく。いや親近感以上に毎度一緒に通学してることに恐怖を覚える。もしかして家に盗聴器でも仕掛けられてたり……?


 本気で怖くなった僕はこの日の帰宅後、自分の部屋だけは隈なく探った。しかし何も見つからなかった。ちょっと罪悪感湧いた。

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