第5話
妖と陰陽師には位がある。
陰陽師の強さは使える術で決まり其々下から"下位級" "中位級" "上位級" "最上位級"となっている
下位級は霊力を持たない一〜三人の農民が束になった強さ。
中位級は武士、ニ〜四人程度の強さ
上位級は将軍が四〜六人程度の強さ
最上位級は最早人を辞めている強さ
となっている。妖の強さ分けも似たもので
妖は下から"下位階" "中位階“ "上位階"そして最上階段の"王"。
下位の妖は下位級陰陽師が一〜三人程度で狩れる強さで、知性はない。
中位階は、中位級の陰陽師が三〜六人程度で狩れる。少しだけ知能がありよく群れを作っている。
上位階は上位級の陰陽師が二人はいないと勝てない厄災だ。知能をもち残虐性が増す。
王は最上位級陰陽師が一人ではでも歯が立たない大災だ。国一つ滅ぼせるを持ち人間よりも勝る知能をもち、言葉を解する。
前の俺は国で九人しかいない最上位級陰陽師の第一柱であった。
人と妖の両方から恐れられていたという自覚があった。
…過去に想いを馳せるのはやめよう。今は目の前の敵に集中しなければ。今回の敵の毒蜘蛛ーーーそれは妖の中では中位階の存在。粘着のある硬い糸に噛みつかれたら全身が麻痺する毒のある牙。非常に厄介だ。だが…
「倍速・二ノ段」
術を発動させ毒蜘蛛に一気に近付き距離を詰める。
「倍速・四ノ段」
腕に倍速をかけ毒蜘蛛の頭に向かって拳を突き出す。速さは重さとなり力が増し毒蜘蛛の頭に拳が到達した。瞬間毒蜘蛛の頭が凹む…!
毒蜘蛛は何故死んだかも分からないという悲鳴をあげながら地面にめり込み絶命した。
(…よし。簡単に狩れたがやはり刀が欲しい。)
素手では限界がある。もし今回の敵が硬い表皮であったら俺の腕の方が負ける。
早急に刀を用意しなければ後一ヶ月しかない。
その前に死骸をどうにかしなければ。この時代の俺では下位階の妖一匹も狩れない雑魚だ。それがいきなり中位階の毒蜘蛛の死骸を持って帰ったら大騒ぎになる。少々勿体無いが…
「倍速・終ノ段」
死骸の時間を加速させ塵になるまで風化させ処理した。
(…きっとまだ毒蜘蛛はいるであろう。)
俺は毒蜘蛛の残りを探す為自分の霊力を薄く網状に森一帯に伸ばし索敵する。
(…十匹程か。ここから少し北上したところ。そう遠くはない。)
俺はまた倍速をかけ北上していく。目的地についた為さっきと同じ容量で倒していく
「停止」
時間を停止させ相手の動きを止める。
「倍速・四ノ段」
また腕に術をかけ毒蜘蛛の頭を殴っていく。
一匹…二匹…十匹っと
「解除」
時間は動き出し毒蜘蛛等は一斉に死んでいく。
(殲滅終了っと)
それにしても、もうこの場所に斥候を送ってくるとは…さすが蠱毒王・巫蠱。用心深い。
蠱毒王・巫蠱は妖の王の一人だ。毒を用いた能力で相手を圧倒する。
未来ではこの王だけで帝都まで崩壊した。
…だがそんな未来は来ないだろう。何故なら俺が変えるからだ。待っていろよ蠱毒王よ。お前の居場所は分かっている。すぐに此方からお前の元に行ってやるから首を洗って待っていろ…。
死骸を処理している間そんな事を思いながら蠱毒王が潜伏しているだろう三ヶ岳の方を見遣る。
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