第118話  新しい物語

【ミュア】


「ああ。君は一人なのか」

目の前にいる人と目が合った時。

私は動けなくなっていた。


見た事の無い黒い服。服の前にはずらっと金色が並んでいる。

けどそんな服が問題なんじゃない。

この人は、、、


「彼は、、ああ。蛇討伐か」

彼がゆっくりと海へと視線を向ける。

不気味。そんな言葉が一番しっくりくる。

心の奥から恐怖を感じる。

その手が伸びる。

私に。


そして。私の頭が掴まれる。

「は、、放してっつ!」

必死に抵抗する。


いつ掴まれたのか。彼がいつ私の近くに来たのかすら分からなかった。

「はははは!」

突然笑いだす彼。

「なるほど!君も文字化けしているわけだ!これは、、、」

怖い。

怖い、、、何か、、、とんでも無い事をされる気がする。


「僕に対する、爆弾か。神も、楽しい事をしてくれるね」

私を掴んだまま。

彼は笑う。

「どうしようか?」

首もふれない。

彼の腕を掴むも、びくともしない。

「死んでもらおうか」

ビリッと体がしびれる気がした。

「神への見せしめに、潰れて死んでもらおうかな」

両足が熱い。


「マスター、、、、ごめんなさい、、」

思わず私の目から涙があふれた時。


「ミュアッ!!!!」

マスターの声がした。


緑の風が。

私を包む。

男の人を振り払う。

「ははは。まさか、間に合うとはね。なるほど。このスキル、、、【共有譲渡】で、見つけれたという事か。なるほどね。【魂】を【繋げる】いや。【魂】を【同化】するスキルかな。本当に君たちは興味深い」

「お前は、、誰だ?」

マスターが、珍しく低い声で警戒している。

「【神に選ばられた子】だよ。シュンリンデンバーグ君。君も、僕もね」

マスターが、マスターの武器を構える。

その槍斧を。

「それはちょっと痛いかもね」

彼は一言呟くと。


私を

慌てて受け止めるマスター。


「本当に、興味深い二人だね。また会えたら嬉しいな」

私たちが顔を上げると、彼は空に浮かんでいた。

隣にいる女の人にも見覚えがある。

確か、、、、


「4S」

マスターが歯を食いしばる音が聞こえる。

「そう。僕は、【皇の】って呼ばれている。よろしくね」


挨拶をしながらも。

【皇の】と呼ばれている彼は空高く消えていった。

「大丈夫か?」

ぎゅっと抱きしめてくれるマスターの顔を見て。

私は泣いていた。


マスターを。

シュンリンデンバーグ様を、全身で抱きしめた。

全身で抱きしめてくれる。

「怖かった、、、です」


私はそれだけ言うのが精いっぱいだった。






【皇の】

「良かったの?」

隣の【明星の】が、僕を見ていた。

「ああ。本当に。危なかったよ。爆弾ってあるんだね」

僕は小さく笑う。

本当に。

絶対不幸。

僕の持っている強奪は、スキルを奪う。

奪われた相手は死ぬけれど、そんな事は些細な事。

けど、そんな僕に対して、このスキルは爆弾だ。

「スキルを取った瞬間から、命を世界から狙われるスキル。社会的に殺しにくるスキル。そんなスキルがあるなんてね」

僕を殺すためだけに作られたようなスキルだ。


【共有譲渡】までついている彼女。

「彼女のスキルを取れたら、きっとシュンリンデンバーグのスキルも盗れたと思うけど、、僕が死ぬね」

その言葉にはっとする【明星の】


本当に。

彼二人のスキルが見えなかったのも。

【絶対不幸】それを隠すための文字化けだったのか。


僕は、そっと彼女の腰を引き寄せる。

「逃げ切ってやったぞ。今度はお前につきつけてやる」

小さく。

僕は宣戦布告する。

「ゲートは、無事安定したみたいだからね。様子を見て来よう」

「行こうか」

僕は笑っていた。


新しい物語の始まりの予感を感じて。




ーーーーーーーー

なろう版と流れを変えていきます。

ミュアがどうなるのかは、、、、、


ゆっくり書いていこうと思いますので、のんびり待っていただけると嬉しいです。

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