第81話穏やかな生活

「あの、、シュン様、、私も戦ってよろしいでしょうか?」

ミュアが、突然僕の顔を見て、真剣な顔をする。


ミュアの絶対不幸のおかげで、エンカウント全開になっているうえに、休憩している拠点でも無限にエンカウントしてしまう今の状況を逆手にとって、絶対結界で完全に囲んだこの拠点は、見事に魔物ホイホイとなっていた。

毎日、数百体の魔物は倒しているし、魔法球は絶対結界の外に出しっぱなしにしていた。


そんな無茶苦茶な使い方をしても僕のMPは全く問題ないくらいに上がっていた。

けど、これだけ魔物を倒し続けているのに、まったく魔物が尽きる様子が無いのだから、森の中の魔物はどれくらいいるのか見当もつかない。

改めて、40年もこんな魔物の中を良く生き残れたと思う。

ここの魔物みたいに、弱い魔物なんて一体も居なかったし。


そんな時、ミュアが、真剣な顔をして僕を見て来たのだ。

「私、何も役に立ってません。シュン様の役に立ちたいです」

「いや、僕としては、ご飯を作ってくれるだけでも、すごく嬉しいんだけど」

真剣な顔なミュアに、思わず返したけど、嘘ではない。

ミュアと一緒に寝る夜は、本当に温かいし、昔とは大違いだ。

街で、マットレスと、掛け毛布を買っているから、寝心地も十分だし、第一僕は火起こしが出来ない。

ミュアの精霊魔法の、火球のおかげで火が使えるようになっただけで、どれほど温かいか。

もう。ミュアの全てが温かいのだから。


「私は、もっと、シュン様の役に立ちたいのです」

全く引かないミュア。

僕はとりあえず、そんなミュアの頭を撫でて、武器を作る事にしたのだった。


素材が、、良いのがないな、、

とりあえず、スケルトンバイパーの骨を使って。


コンパウンドボウを作ってみた。

和弓ほど引く力がいらないコンパウンドボウなら、ミュアでも使えると思う。


電撃を付与できる、なかなか強い武器になったと思う。

ちょっとデータベースさんにアクセスしてみる。

【ショックボウ】

世界に数十本しかないコンパウンドボウの一個。

本来なら、異世界において、金属をふんだんに使った最新式の弓であるが、魔物の素材を使う事で、金属に引けを取らない強度を保つ。

完成度が高い一本。 放たれた矢には、電流による、一時的なマヒ効果がある。

値段は、、プライスレス。



そんな表示が出てしまった。


「これは、、、やっちゃったか、、、」

ついでに、僕の槍については。

【火骨の槍】

スケルトンバイパーの骨で作られた槍。

地獄の管理者が持つとも言われる、悪魔の槍。

凄まじく軽く、凄まじく硬い。

槍の刃部分は、高熱を発し、青くなる。

膨大な魔力を消費して、刃は、数千度にまで上がるのだが、持ち主の魔力に応じて、数万度まで上がる事もある。

その時、刃は、まぶしい光りに包まれる。

膨大な魔力が無いと、、ただの切れ味の悪い槍である。


なんて表示になっている。


まあ、そんな事はおいておくとして。


「これを使って、結界の外の魔物を打ち抜いて見て」

僕が渡した弓をミュアは不思議そうに見た後。

とりあえず矢をつがえる。

ミュアが、矢を放し。

絶対結界を叩いていた魔物の頭を打ち抜いた。


絶対結界の便利な機能。

向うからは攻撃は絶対届かないのに、こちらからは攻撃できるという、反則仕様。

その反則仕様を全力で利用させてもらう。


ミュアの休憩中でもエンカウントするほどの絶対不幸の絶対エンカウントを利用して、集まって来る魔物をミュアの矢が打ち抜いて行く。

今までは、僕の魔法球から撃った魔法で死ぬまで打ち抜いていたんだけど。

これからは、ミュアに打ち抜いてもらってもいいかも知れない。


きちんとEPが増えた事を確認しながら僕はもくもくと矢を放つミュアを見つめていた。



レベルが次々と上がっていく。

そんなミュアのステータスを、データベース経由で何度も更新しながら見ていたのだが。

変な称号がミュアに付いている事に気が付いてしまった。


【称号】

シュンの所有物(神の加護)



なんだと思って検索をかけてみる。


シュンの所有物(神の加護)

神の加護の一種。シュンリンデンバーグの所有物に有効。

レベルが上がりきると、ステータスが必ず999になる。

レベルが上がりやすくなる。



絶対に、誰かに見つかってはいけない物だった。

この世界、レベル99になったとしても、ステータスが999になるとは限らない。

ゲームなら、リセット&レベル上げをしないといけないくらい厳しい。

最悪、ステータスが、700とか600代でレベルカンストする事すらあるのだ。

そんな中で、必ずステータスが999になる。

どれほどとんでもない事か。


あまりに優秀すぎる称号だった。

「マスター私は強くなれますか?」

ミュアが、添い寝をしながら、僕を見つめていた。

「大丈夫。強くなれるよ」

優しく、ミュアの頭を撫でる。

嬉しそうな顔をして、僕の胸に顔を摺り寄せるミュアを見ながら、僕はウトウトとし始めていた。









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