第78話不幸な少女 2
「エリュぃlみ」
ミュアが、小さく呟いている。
僕は小さくため息を吐く。
≪すみません≫
そんな声が聞こえる。
データベースさんにアクセス。
データベースには、自動翻訳機能がある。
だから、僕には、兔の言葉も分かる。分かるけど、、、
≪きみ、、名前は?≫
僕が声をかけると、ミュアはびっくりした顔をしていた。
聖霊言語を話せる事にびっくりしていたらしい。
≪私は、ミュア。森の根のタイアと、高い白花のミンの子供≫
へぇ。エルフにも2つ名なんてあるんだ。
森の根とか、高い白花とか、森を守ったり、森を飾る二つ名で、エルフらしいと思う。
≪君は、僕が買った。君は、不幸 身に覚えある?≫
≪分からない。気が付いたら、お父さんもおかあさんもいなかった。今は人間につかまって、好き放題されてる≫
あなたも、今からするんでしょ。
そんな鋭い目をしている。
だからといって、反抗しても無駄だと分かっているのか。
諦めているように、体の力は抜けている。
「そっか」
別の事を考えていた僕はうわのそらで返事をする。
不幸の原因は多分あのスキルのせいだと思うけど。
あれをなんとかしないと、街も歩けない。
「データベース検索」
不幸解除を検索してみるが、該当なし。
他に何かないかと、いろいろと検索してみる。
ん?呪い解除? これなら大丈夫か?
≪マスター? マスター?≫
ミュアが、僕の持ち物扱いなら、スキル付与が出来るんじゃないかな?
そう思って顔を上げた時。
目の前に、ロックバードの脚が見える。
ガキっ!と激しい音をたてて、光りの壁にロックバードの脚が弾かれる。
「す!すみません!突然こいつが暴れ出してっ!」
御者さんが、慌てた声で叫ぶ。
血走った目をしている鳥を見ながら、僕はその首を撫でてやる。
しばらく撫でていると、ロックバードの目が穏やかになって行く。
鼻頭を寄せて来るロックバードをゆっくりと撫でてあげていると。
「ほんとうに、この鳥が暴れるなんて、今まで無かったのですが。本当にすみませでした。謝礼は、、」
御者さんが、申し訳なさそうにしている。
「ああ。大丈夫です。気にしないでください。怪我もないですし」
僕は、にっこりと笑っていた。
それにしても、街の中にいると危険すぎる。
絶対結界があったからこそ、生きているけど、普通の人なら今のロックバードの一撃で死んでいる可能性すらある。
スキル付与するにしても。
≪とりあえず、街の外に出よう≫
僕は、ミュアに声をかけるも、ミュアは下を向いたままだった。
街の外。
少し壁から離れた場所で、僕はミュアに呪い解除を付与してみる。
スキルは、ミュアの中へと入って行き。
≪あああああっ!≫
突然、ミュアがバリバリと激しい音を立てながら体を押さえる。
付与したはずのスキルが削られている。
「ミュア?」
倒れたミュアを抱き上げる。
何が起きたのか。
付与したはずのスキルが、削り取られていた。
「絶対不幸?」
もう一度検索してみると。
【絶対不幸】
神の呪い。通常での解除は不可能。スキル切除不可能。
呪い解除無効。自分と周りに不幸をまき散らす。
説明文が増えていた。
というか、神の呪いって、、、邪神でもいるのかよっ!
これは、無理だ。解除は出来ない。
データベースを検索。
呪い解除の方法を考える。
≪マスター?マスター!危ないっ!≫
ミュアが叫ぶのが聞こえる。
大進攻でも来たかとおもえるほどの魔物がいっせいに光りの壁にぶつかり、弾き飛ばされる。
「ああ!もう、集中できないなっ!」
魔法球を同時発動。
20個の魔法球を空中に浮かべる。
「風の監獄!」
20個全てから、風の魔法を発動。
周りにいた全ての魔物が風の塊に包まれ、切り刻まれる。
魔物の死体の真ん中で、僕はまだ呪いの解除方法が無いか調べていた。
「ああ!もう!」
全く分からない。
「とりあえず、街に戻ろう!」
街に戻った時。
ひそひそと噂が聞こえる。
というか、、、なぜか、僕の耳に入って来る。
「おい。あれ、、」
「ああ、、、暴緑、、」
「いや、ほら、あれが、、」
「ああ、、あれが、、」
「本当なのか、、、」
冒険者たちが、囁き合う。
『ロックバードが暴走したとき、ミュアがシュン様に抱き着いていたため、新しい二つ名がついたみたいです』
データベースさん?
不吉なアナウンスに、思わず自分を調べてみて。
僕はその場に崩れ落ちていた。
新しい二つ名。
不幸だ。。。
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