第73話 悪魔? 脅威?
「行くなら、俺達も連れて行ってくれ。案内くらいなら出来る」
冒険者の二人が、起き上がってくるけど。
さて。困ったかも。
少し前から、マップで確認しているんだけど。
オークは5匹。
最上級のオークはいないけど、オークって本当に厄介なんだけど。
カラさん一人なら守りながら戦えるけど、正直やりたくない。
「とりあえず、装備を渡すから、明日、出発しよう」
僕は空間収納から、革鎧を2着取りだす。
防具の作成も最近、暇を見つけてはやっているけど、その試作品の一つだ。
まあまあの防御力と、速さが上がるように作ってある。
ついでに、試作品の剣も取りだす。
これは、スケルトンバーンの素材を使った剣で、ヒートエッジになるけど。
相当な魔力を流さないと発動しないから、二人には使えないと思う。
「今は、しっかり休んで」
僕は冒険者と、カラさんに微笑む。
「では、ご飯にしましょう!」
カラさんの言葉で。
僕たちは、カラさんのご飯をごちそうになった。
どこからこの食材を持ってきたのか、聞いちゃ駄目だと思えるくらいの豪華さだったけど。
僕は、そっと修道院を抜け出していた。
カラさんからお酒も進められたけど。
まったくと言っていいほど酔いは回ってない。
この世界は、成人に見えたら成人というなんともアバウトな世界だから、僕がお酒を飲んでも全然大丈夫なんだけど。
「だからって、原酒を勧めてくるとか。カラさんは」
小さくため息を吐くしかない。
目的は、オーク。
多分、二人にあれだけの傷を負わせたオークが、1匹遠くにいる。
そして。
村からそう離れていない所で、僕はオークの群れを見つけていた。
4匹。
それだけで、村の脅威だ。
この4匹がやけに村に近いところにいたから、どうしても気になっていた。
「さて、、行くか」
僕はニヤリと笑う。
恐らく危険。
頭の中で小さくアラームが鳴っている。
けど、心は。体は沸き立っていた。
空間魔法を発動。
禍々しい槍を取りだして、空いている方の手で氷の魔法を撃ちだす。
僕の腕くらいの太さの氷が、オークの一体に突き刺さる。
グギュルゥ!
走って来るオーク。
氷が突き刺さっているのに、まったく気にしている様子はない。
オークが剣を振りかざす。
「遅い」
一撃で、オークの腕を斬り落とす。
ガルゥグゥ!
オークの叫び声と同時に、無事な腕を振って来る。
殴りに来る予定だったんだろうけど。
斬られた腕はすでに肉が盛り上がり始めている。
そう。オークの特徴は、この異常な回復力と、異常な体力。
腕を斬られても、数日で生えて来るし片手や、足を斬られたくらいでは、まったくひるまない。
突き刺さっていた氷が、回復した肉に押し返されて空中で消える。
剣で付けた傷くらいなら、数秒で回復してしまう。
けど。
それがどうした。
殴りに来た腕を飛んでかわすと、そのまま、オークの頭に槍を突き刺す。
一気に青く燃えた穂先に瞬間で焼き切れて顔半分が真っ二つになる。
「まず一つ」
そのまま、空中で槍を振るい、頭を焼き切り落とす。
「がぁあぁぁぁぁ!」
仲間を殺されて、怒ったのか。
残りの3匹が同時にこちらに走って来る。
土魔法で柵を作るが、一切お構いなしに柵を壊して走って来るオーク達。
傷だらけになるけど、すぐに血は止まる。
グルグァ!
近づいてきた2匹が同時にその手にもったこん棒と、剣を振るってくるけど。
僕の頭の上で、光る壁に受け止められる。
「絶対結界。破いたら、褒めてあげる」
楽しい。
笑みが止まらない。
2匹の両足を一気に薙ぎ払い、焼き切る。
倒れた2匹の片方の頭に槍を突き立てる。
命乞いをしたように見えたけど、気のせいだろう。
熱で沸騰した中身が飛び散る。
殺気を感じて、とっさに魔法球を発動。
飛んで来たこん棒を光りの壁で受け止める。
足を斬られたから、武器を投げたらしい。
そいつに近づいた時。
後ろから殺気を感じる。
すぐに魔法球を掴み移動させる。
絶対結界の盾は本当に便利だ。
遅れて来た3体目のオークの剣を受け止めながら、僕は笑みが止まらない。
倒れ込んでいるオークに槍を突き立て。
「おらぁ!」
そのオークを持ち上げ、3体目の頭へと打ちおろす。
力のステータスは4000超えだ。
オークくらいなら、投げれる。
2Mくらいはあるけどね。オークの身長って。
衝撃で倒れ込む2体同時に槍を突き立てる。
「終わり。弱いんだよ」
一気に魔力を流して。
2体が一気に青い炎に包まれ燃える。
「あ。やりすぎた」
炭になった2体のオークを見て、もったいない事をしたなぁと思ってしまう。
オークの肉って、おいしいんだよね。
2体のオークを空間収納に入れて。
僕は槍を一振りして槍も空間収納へ入れる。
誰か見ていた気がしていたけど。
まあ、気のせいだと思う。
僕はそのまま、村へと戻るのだった。
【???】
「私に気が付くとは。。。。腕が鈍りましたかね。私も」
ゆらりと影が動く。
隠れるところなどどこにもないはずなのに。
はっきりとその姿は見えない。
「しかし、、あの戦い方。あの表情、、、、」
今見た姿を思い出して、思わず身震いする。
「あれでは、魔物より魔物ではありませんか」
何が彼をそうさせるのか。
人影は、帰っていったシュンを見ながら冷や汗が出ている事に、今更ながら気が付いていた。
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